私の親指は生き続ける
親指集合!ザ・ベスト・オブ・ザ・サム(1999〜/アメリカ)
監督:スティーブ・オーデカーク
出演:スティーブ・オーデカーク ロス・スチャーファー
映画にはパロディがつきものだが、それを親指に演じさせるというバカバカしさが憎めないシリーズ。
でも汚いんだねえ。親指って。これを見るまでは知らなかったよ。
指の腹に顔が合成してあり、そいつが後ろを向くとツメが見えたりする。それが、特に手入れもしていないフツーのツメなの。絶対に男のツメなの。そのまんまだから、皮のむけ具合なんかがリアルで、でかいスクリーンで鑑賞するようなシロモノではない。
でもそこが面白かったりして、気持ち悪いのとアホくさいのと、こんなものを作った監督に対するある種の尊敬でもって、忘れがたい珍作といえよう。
これは親指シリーズをまとめたもので、「ベスト」ではなく「総集編」。なにせ1本が30分前後と短いから、まとめてもらって好都合である。
内容は『親指ゴッドファーザー』『親指バットサム(バットマン)』『親指フランケン』『親指ブレアサム(ブレア・ウィッチ・プロジェクト)』『親指タイタニック』『親指ウォーズ(スター・ウォーズ)』の6本で、よく見ると、誰でもよく知っている映画を原作にしているようでいて、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』だけが浮いている。
なぜいきなり「ブレア」を?監督の趣味?
ところで、原作の映画を知らないと笑えないのがパロディというものだけど、この映画は、知っていてもあまり笑えないのがミソ。
だって、親指なんだもん。
出演者がみんな親指である時点で、「ようやるなあ」という半笑いがあるわけよ。だからパロディとしての評価なんかどうでもいいっていうか、結局のところ話よりも親指なんですな。
親指のインパクトがすべて。親指バンザイ!
なので、短い時間でたった1回プッと噴出してもらえたら、それで大成功だと思う。そういう映画。私も1回くらいなら声を出して笑わせてもらったので、見た甲斐があってよかったよかった。
この中でどれか1本といわれたら、やはり原作の華やかさからいって、「親指タイタニック」を推したい。デカプー(デカプリオ)が演じたジャックが、親指化されるとバカっぽくてやらしげ。いいよ~。
「赤ちゃんの頃、ずっと親指であやされたことがトラウマとなり、こんな映画を作るようになってしまった」という監督。
でも小さな子供には、これを見たことがトラウマになるかもね。保護者のみなさんは、お気をつけください。