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からかってるの?

ピアニスト(2001/フランス)
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:イザベル・ユペール ブノワ・マジメル

若い男のさわやかな笑顔が、これほど憎らしかったことがあるだろうか。ああ、いっそ死んでしまいたい。主人公でなくてもそう思ってしまうだろう。

シューベルトが結びつけた2人。彼女の音楽の才能に引き寄せられた彼は一直線に愛を告げるが、彼女にとって問題だったのは年の差ではなく、歪な形にこじらせている性への葛藤だった。

母親からの過干渉と監視と命令と禁欲の支配下で生きてきた彼女のことを、欲求不満のイタイ処女だと誰が笑えるだろう。彼女はとまどい、抗い、身を任せ、ついには愛憎を持てあます。

それにしても、長い間抑圧されてきた女の嫉妬のぶつけ方は、こうも陰湿で的確なのかと感心する。

ところで彼女が手紙で自分のことを告白するシーンがあるのだが、日本ならそこで観客が一斉に凍りつくのに、フランスではなんとクスクス笑いが起きたらしい。フランス人恐るべし!

彼女は一体どうすればよかったのか。パンドラの箱はもう開かれてしまった。


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