見出し画像

二人で踊って!

Shall we ダンス?(1996/日本)
監督:周防正行 
出演:役所広司 草刈民代 竹中直人 渡辺えり子

社交ダンスはまだブームなんだろうか。というか、本当にこの映画の影響で、ブームになっていたんだろうか。男性はともかく日本女性は、好きでもない人と手をつないだり、グルグル振り回されたり腰に手を回されたりするの、イヤじゃないんだろうか。むしろ、それがいいんだろうか。

この映画を見たお父さんたちは、「ひょっとして、オレにもこんなことが起きるかもしれない」と淡い夢を持ったんだろうなあ。かわいいかわいい。

でもダンス教室のドアを開ける前に、「自分は役所広司ではないし、草刈民代もここにはいない」ということに気づいてくれたかな?

どんくさい(役所広司)、チビ(徳井優)、デブ(田口浩正)というダンスとは縁のなさそうな3人組が、ある日社交ダンス教室に入門する。主役は、くたびれた中年サラリーマンをやらせたら日本一(ということは世界一)の役所広司だ。

夜の公園で一人黙々と練習する役所広司。会社でもトイレでもステップを踏んでしまう役所広司。なんだかもう情けないやら滑稽やらで、でもその一生懸命さが嫌味にならず、愛すべき哀愁と誠実さを漂わせるのが役所広司である。

ダンス教師に友情とほのかな恋心を抱いても、相手にその気がないため、それ以上は発展しないなと思わせなきゃいけない役にピッタリ。

決してカッコ悪い男じゃないのに、そのチャーミングな不器用さが役所広司の魅力なんだよね。

役所広司っていろんな役をやってるけど、基本的に明るい人だなと思う。そういう意味でも、この役はハマっていたのではないだろうか。

ではもし、役所広司以外の俳優がこの役を演じていたら?と、ヒマなので考えてみた。

佐藤浩市←女の方が惚れてしまって× 
渡辺謙←コメディに不向き 
真田広之←結構いい感じだけど、ダンスが最初から上手そうで× 
中井貴一←ユーモアセンスはあるが、ちょっと硬い 
西田敏行←浜ちゃんになってしまう 
大杉漣←個人的には推すが、地味なので集客が見込めない 
20年前の高倉健←観客が引く 
オダギリジョー←たぶん出演しない  

うーん。なかなか難しいですね。

ところで、女手一つで子どもを育てながら昼は仕出し弁当屋で懸命に働き(このシーンはカットされたらしい。こんなに大切なシーンを!)、夜はなりふり構わずダンスに打ち込むおっかさんを渡辺えり子が好演。いっそこのおっかさんを主役にすえてもらっても、いい話ができそうだ。

ああ見えても「ダンスは亡き夫との思い出」という純なエピソードが、泣かせます。

一方、草刈民代はバレリーナとしてはどうか知らないが、女優としてはいま一つ興味のわかない平凡なヒロイン。彼女を絶賛しているのは監督だけ(だからのちに結婚)という気がしないでもなく、でもまあ主人公が本気で惚れないのが不自然なくらい魅力的でも困るので、このくらいがちょうどいいのかもしれない。

この映画がハリウッドでリメイクされたのは、周知の通り。しかし、原作では清楚だったダンス教師をジェニファー・ロペスがやり、無駄に情熱的だったのはまあよしとしても、役所広司の役がリチャード・ギアになって、ダンスしなくても十分カッコイイっつーのは、根本的に何かが違うのではないでしょうか。

ではもし、リチャード・ギア以外の俳優がこの役をやっていたら?と、ヒマなので考えてみた。

ロビン・ウイリアムス←どんくさく見えないので× 
エド・ハリス←キャスティングがマニアックすぎ
ブラット・ピット←コメディに不向き 
ジョニー・デップ←絶対に出演しない 
ソン・ガンホ←個人的には推すが、韓国人というハードルが高すぎ 

ええっと、それからそれから…もうやめよう。


いいなと思ったら応援しよう!