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これでやっと…

バッド・エデュケーション(2004/スペイン)
監督:ペドロ・アルモドバル 
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル フェレ・マルティネス

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たまらんなあ。たまらんよ。

実は薔薇族みたいなチラシをひとめ見た時から、もうたまらんかったが、映画を見ている間も、この言葉を連発していた私。

でも私を、単なるスケベだと思わないでほしい。確かにゲイは好きだけど、ボーイズラブに興味があるわけではない。私はただ、大ファンの監督ペドロ・アルモドバルと、これまた大ファンの俳優ガエル・ガルシア・ベルナルが共演した(しかもこんな映画で)のを見て、いつになく鼻息が荒くなってしまっただけである。

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それにしても、映画の中には正真正銘の女も登場したであろうに、ほとんど印象に残っていないのはなぜ?思い出すのは、女装ガエル・ガルシア・ベルナルのとんがった唇と、フェレ・マルティネスの前髪。そして、涙で溶けたマスカラのあと。

己の全存在を賭けて愛を求め、そして愛に殉じていく男愛が切ないね。

この監督の作品には、いつもサスペンス的な要素があるのだけれど、この作品は特にその色合いが濃い。何を考えているのかわからない男がいて、主人公にはワケありの過去があって、昔の恋人は謎めいた手紙を残す。

しかし、こうしてストーリーを思い返してみると、何がどうなっていたんだか、実はよく説明できない私。見ている時は、ちゃんと理解していたはずなのに。

ま、どうせ何回も見直すから、いいや。ふふ。

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覚えているのは、劇中劇と現実が交差しながら、次第に真実が浮かび上がってくる様が、舌を巻くほどよくできていたこと。うーん。さすがペドロ!自身の体験を込めているだけあって、気合い入ってます。

それにしても、男がこんなによく泣く映画って、インド映画以外ではめずらしいと思う。ただし、インド映画には「うれし泣き」「もらい泣き」もいっぱいあったが、この映画にはそれがない。ペドロの映画に出てくる男は、そんなことでは泣かんのじゃ。

愛よ。愛。男が泣く理由は、愛のみ。

誰かを愛しすぎては涙を浮かべ、過ぎ去った愛を思い出しては涙を浮かべる。愛の前には大人も子供もなく、人は人をどうしようもなく愛してしまう動物なのだよ。

エンディングにも久々にドキドキ。やられました。

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実は前作『トーク・トゥー・ハー』があまり好きになれず、『オール・アバウト・マイ・マザー』以来メジャーになっちゃったペドロが、何かちょっと作風が甘くなってきたような気がして、内心ガックリしていた私。でも、この映画で復活!っていうか、本領発揮!

やっぱり女より男だよ。男を中心にすえて描いてほしいよ。

ところで、ここでもうひと言いわせてほしい。本人は否定しているようだが、ペドロ監督がこの主人公に自分の姿を投影しているとしたら、そりゃずうずうしいってもんだ。だってこの俳優カッコイイもん。

ともあれ、いろんな意味(ってどんな意味)で、目の保養ができる映画である。こういう映画は、今の世の中でありそうでない。

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