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去年と今年。
「今日めっちゃ天気いいー!夏まだ終わってないね!全然まだ夏じゃん!」
なんて日が無くなった。
晴れててもさみぃ。
もう確実に秋。
てか冬。凍てつくほどの冬。
なんならもう今年も終わりそう。やっべ。
終わるな終わるなと願ったけれど、夏は足早に「ばいばーい!」と無情にも過ぎ去っていった。
結局今年も、車の中で誰が歌ってんのかよくわかんねぇけどテンション上がる洋楽を爆音で聴きながら、サングラスかけて海行ってスミノフ持って「クッソ気持ちぃ〜」とかほざくこと出来なかったなぁ。
ほざきたかったなぁ。
夏だけ唯一ほざいてても許される季節だからさ。
秋に紅葉見ながらスミノフ持って「もみじまじオレンジすぎてクッソ食らうわ〜」なんてほざいてたらさすがに周囲の人から「ほざきすぎ」って注意入るもんね。
そういや去年の夏はたくさんほざいてたなぁ。
2019年の夏はEXITさんのイベントに事あるごとに呼んでいただいていた。
早朝に渋谷を清掃してからライブをする朝フェスや、きつねさんとのクルージングツアーにMCとして呼んでいただいたり、それまでの芸人人生でも、一人の笹本としても貴重な体験をさせていただいてホクホクサマーだったなぁ。
当時のEXITさんは若手超新星でグイグイ人気を獲得していっていて、そんな人に呼んでもらえるたびに「うれぴー!!!」とほざき狂ってた。
EXITさんがすごいだけで別に俺らがすごいことなんか何にもなかったのに、なんか忙しい雰囲気とか出しまくってた。
でも、一緒のライブやイベントに出るたびに突きつけられる現実(リアル)。
EXITさんが登場するたびに沸きまくる「きゃーーー!!!!!!」と「かっこいいーーー!!!!」の応酬。
対して僕らが出たときの「ぱちぱちぱち」と、成人式で市長が壇上上がってきた感じの一応してますみたいな拍手の音がすごく辛かった。
もともとはEXITさんがコンビ結成の時、ずっと「EXITさんには負けないよ?」と兼近さんにもりんたろーさんにも挑発していた感じの関係で、兼近さんに会うたびに「なんかテレビとか決まりました?」と聞いたら、その質問に嬉しそうに「朝のネタコーナー呼ばれたよ!」と笑顔の兼近さんを見て「ふーざーけるんじゃねーよー」なんて楽屋のソファで2人で言いながら戯れあっていた。
横並びでスタートしたレースだったはずなのに、気付いたら僕が一周する頃にはEXITさんは213456798554231669周ぐらいしてて、しかもまだ走り続けてて、汗だらだらになりながら「こりゃ参った」と何度も膝をつきそうになってた。
次第に、あんだけほざき狂ってた僕の口から「テレビなに決まったんですか?」なんてほざきフレーズは出てこなくなっていた。
出るテレビ出るテレビクリティカルヒット出すもんだから、わざわざ聞かなくても勝手に耳に入ってくるのよ。
そんなEXITさんに、いろんなイベントに呼んで頂いて、ずっと気にかけてくださっていて、けれど期待に応えられなくて、去年の夏はただ何となく「俺結構すごい先輩に好かれてるなぁ」という漠然とした自信だけで過ごしていた。
初めて無限大ホールで単独ライブをやったり、坊主になったり、なんか色々あったけれど、この日本国内で言えばなんてことない日常で、初めて目の前で信じられないぐらい歓声貰ってる人たちを見て、人の心を尋常じゃないぐらい動かす姿に、ライバルだったけれど「こうなりてぇ」と舞台の袖で思った。
それが2019年の夏。去年。
そして2020年の夏。今年。
EXITさんは、相変わらずどころか、去年の夏なんかまだ序章ぐらいの感じで全てのテレビを網羅していて「え、本当に新宿レフカダで漫才道場一緒に出てましたっけ?」ってな感じ。
売れレベルがもう止められなくなっている中、僕が去年と大きく変わったのは、その兼近さんがプロデュースしたユニット「泥水すすり隊」に入隊していることだ。
一年前までは、芸人が芸人をプロデュースするユニットが出来て、それに自分が入って、ましてやライバルだと思っていた兼近さんがプロデューサーで、なんて想像もしてなかった。
まぁ想像なんかするわけない、未来なんか当たるわけないから。
にしても当たる可能性低すぎる未来だった。
アルバイトも辞めて、仲良しのブラゴーリさんと、一番可愛がってたまんぷくユナイテッドとコロナウイルスの自粛期間ほぼ毎日連絡取り合って、EXITさんのおかげでテレビ出れて、なんならレギュラーも決まって…
これ未来予想難易度SSSクラスだよ。
去年の「俺すごいっしょ?」のほざきモード突入している俺にこれ全部教えたら、真顔で身体中すべての水分無くなるぐらいションベン漏らすと思う。
そんなわけで、去年まではライバルとして一緒に走っていたレースが、気づいたら今年は兼近さんが買ってきてくれた電動自転車で周回遅れを取り戻すレースになった。
去年の夏は、早朝に清掃のアルバイトをやって、深夜はコールセンターで目が真っ赤になりながら「はやくこの生活から抜け出したい」という一心で毎日を過ごしていた。
眠い眠いと、ただ人間として生活するための収入を手に入れるだけに動いていて、かえって人間から一番遠ざかっていた気がする。
そして、今年はアルバイトも全部やめて、ようやく手に入れたバイトをしない生活。
するとしっかりと明確になる目標ができた。
「はやく売れたい」
これ。
純度100%。
初めてちゃんと思ったかも。
去年まで言っていた「EXITさんに負けないよ」って言葉は、アルバイト生活を抜け出したいという気持ちだけで、漠然とした言葉だったように思う。
「売れたい」っていう気持ちはなんとなくで口にしていたけれど今年は違う。
あの頃ライバルだったEXITさん。
今はもう見えなくなって、なんなら引き上げようとしてくれている。
去年は負けたくない、ただ、愚直に、目の前にいる敵を倒す、そんな気持ちだったけれど、今は、そんな相手に恩返しをしたい気持ちが強い。
自分がしっかりとした生活をするぞぉというエゴだけの「売れたい」ではなくて、人のために使う「売れたい」って言葉。
まっさか自分がそんなこと思うなんて。
だからこれからは兼近さんに恩返しするんだ、売れて。
と、、、、思っていたら。
作家さんに聞いた話。
兼近さんは僕たちのことを
「ライバル」と言っていたらしい。
プロデュースをする立場でありながら、僕たちを「ライバル」として、認めてくださっている。
あれれれ。
こんなに売れても、プロデュースする側になっても、なおも、まだ、芸人として僕たちをリスペクトしてくれて、敵として認識してくれている。
目が覚めた。
一番倒さないといけない人は、師である兼近さんだったんだ。
俺はまだ、ほざいてたんだ。
師匠から教えていただいた技を使って、師匠を倒したとき本当にその技を皆伝できるように、俺は、恩を返すために、倒さないといけなかったんだ。
そう気付いた。
というより気付かされた。
少し平和ボケしていた自分の生活に喝が入った。
自粛期間が明けてすぐに僕らは今までやったことないぐらいネタ合わせの日を増やした。
そして先日、芸人人生で初めてM-1グランプリの準々決勝へ進めた。
EXITさんと一緒に。
まだ、並んでるんだ。
自分がまだ、並べることができているんだ。
あの頃一度諦めかけた「一緒に走るレース」を、いま少しだけ横で走っている。
EXITさんは何周目かわかんないけど、少なからず、そこにいま並走している。
電動自転車じゃなくて、自分たちの足でしっかりと。
だから、この足を緩めないように、何周も遅れた周回を少しでも取り戻せるように、手を抜かないで走らないといけない。
あの頃「やべー、売れてきたわー」とわけのわかんないほざきごとを抜かしていた俺に「やべー、若ぇー、なちぃー」と胸を張って言えるように。
ということで、今年頑張るぞ、頑張るぞ頑張る頑張るぞ!!!
とはいえ先日のEXITVの収録最高すぎたからこれからも見てくださいたますぃー!!!!
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