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クラフトコーラをゼロからローンチしてみる PART1
「クラフトコーラつくってみた」記事をnoteで3回にわたって書いてきましたが、最近はご家庭でコーラづくりをする人も多くなり、このタイトルだとレシピ記事と混同されるかもしれない、と感じました。「きちんと間違いのない製品を作って、それを商品化・販売し、飲んだ人に満足してもらい、なおかつ収益化する....」までが僕らの手帳には書いてあるわけで、本当に面白いことは「つくってみた」の先にあります
製品になった「Lagoon Cola」
僕らが製品化にこぎつけたクラフトコーラの名前は
「Lagoon Cola(ラグーンコーラ)」
原材料には天然素材、それもなるべく国産にこだわり、保存料、着色料、香料など食品添加物は一切使わない。複数の香辛料を重ねたオリジナルレシピでつくる。シロップは丁寧に手づくりする。こだわりがブレないように小ロットでつくる。ちゃんと美味しいこと。
いくつかの約束事は、僕らが考える「クラフトコーラ」としてのアイデンティでもある。
「クラフト〇〇」なる商品はある意味、作り手のこだわりの表現。極論かもしれないが他者に向けた競争力を持つ必要がない、とさえ僕は思っている。もっと言えば「消費者に合わせた商品開発」は必要なく、「商品開発に合った消費者を抽出する」ことだとも思う。だから「ここはこだわりたい部分だけど原価を考えると難しい」や「こだわりは大切にしたいけど消費者に届くだろうか」は考える必要がないと、僕は思う。商品が「寄せにいく」のは「クラフト〇〇」としては違うのではないか。
それでもなおかつ「赤字にはできない」現実が、実に難しいところ。
こだわりは表現はした上で、なおかつ最低限の収益化はしなければならない。
その意味で、製品化までこぎつけたラグーンコーラは、細部まで妥協することなく最大限こだわらせていただいたし、味と品質には自信を持っている。
こいつは本当に美味しい。
良いプロダクトはできた。
これをどう売っていくか、である。
昔の校長先生も言いました
「家に帰るまでが修学旅行です」
フードメッセinにいがた2020
ラグーンコーラのデビュー戦は11月中旬に新潟で開催される食の国際見本市
「フードメッセinにいがた2020」と決まっていた。
コロナ禍に見本市、いったいどれほどのバイヤーが訪れるのか。
もともとフードメッセへのラグーンコーラ出展について、
僕は少し戸惑いがあった。
まず僕は、地方都市で開かれる展示会、見本市について、その存在意義があるのかないのか疑問なのだ。大消費地であり、数多くのバイヤーがいる東京都を中心とする首都圏から、わざわざ離れて開く見本市に需要はあるのだろうか。それでもドイツのハノーバーのように規模で圧倒するなら納得できる。しかし幕張メッセやビッグサイトよりも規模的に劣る見本市を見に新潟を訪れるバイヤーは、よほどの物好きか新潟びいきなのではないか、とさえ思っていた。ましてや今は特殊な状況でもある(かといって出展料が例年に比べて安いわけでもない)。
新潟の客に新潟のものを売りこむ趣旨なら、仰々しく「国際見本市」など銘打たずに直接マッチングしてくれればよほど話が早いし親切ではないか。
出展勧誘をする主催者側は言う
「今年はコロナで見本市や展示会が軒並みキャンセルになっているので、全国のバイヤーの注目度は逆に高いですよ」
ホントかね.....
いくら地方都市とはいえ、見本市に出るというのは相応のコストがかかる。出展料だけではない。それ以外がバカにならない。まあ、カネを出していない僕が言うことではないのは確かだ。
プロジェクトのリーダーであり、ラグーンコーラ販売元の社長でもあるモトムラもギリギリまで思案していたが、最終的には出展の判断。
説明すると面倒な話になるが、要は”しがらみがしがらんで”いるわけで。
ビジネスには甘さを持ち込まないタイプではあるが、基本やさしい男なのだ、モトムラは。
まあ出るとなったら、出展に懐疑的だった僕も前向きな気持ちにはなる。
ラグーンコーラに対する反応や、クラフトコーラに対する関心度をはかってみたかったのもある。
こんな感じに。ラグーンコーラは瓶入りの製品をディスプレイし「有償ノベルティ」として、シロップを持ち込んで炭酸で割り試飲してもらった。
案の定、訪れるバイヤーの数は例年よりもかなり少ないように感じた。地元新潟のバイヤーが大部分で、見学ノリの若手とか学生の数が目立つ。
それでもそんな中でラグーンコーラのブースはかなりの人が立ち寄っていただいた、と思う。
クラフトコーラの響きは、新潟ではまだ目新しい。商材として面白いという声も多くいただいたし、もちろん味についてはかなり好評だった。
ブースを訪れた人が一様に、必ずといって良いほど口にする疑問
「コーラの定義ってなんですか?」
これは聞かれるだろうと思っていたが。。。。
「コーラの定義はない」が正解で良いと思う。
もともとコーラナッツを使った健康飲料として生まれたコーラだが、
現在世界中で「コーラ味」と認識され飲まれている「コ〇コーラ」には
コーラの実が使われていないし、他の大手メーカーもしかりである。
ビールのように「麦芽が何パーセント使われていないと」のような原材料のレギュレーションも存在しない。
ラグーンコーラにもコーラの実は使っていない。デカフェがひとつの売りになると思ったので、敢えて使わなかったところもある。
うるさ型の客からは
「これはコーラじゃないよね」としたり顔で言い放たれることも。
ただ単に「あなたの知っているコーラ味ではない」というだけなのだが。
神様、コーラにもっと自由を!
フードメッセの手ごたえ?
フードメッセの3日間が終わった。
僕がブースに立ったのは3日間のうち2日だけだったが、
それでもたくさんの人の反応を確かめられたのは
それはそれで貴重だったのだと思う。
前述したように、この時期の地方開催見本市に、
過度の期待は無意味だったと思うし、
出展したことによって多くの引き合いにつながった、
というわけでもない。
ただ、有償ノベルティとしてプライスカードも付けずに並べた
瓶入りラグーンコーラは、
3日間で40本程度が売れていった。これは予想外だった。
クラフトコーラへの関心度は高いし、
ラグーンコーラは売れる商品だ、と実感した。
ブースを訪ねてきた新聞社からも取材のオファーがあった。
何より、スタッフがみな尽力して
デビュー戦にこぎつけたのがとても有意義だったと思う。
開発者のタカナシ女史はもちろん、
長野に帰ってブース来訪者への対応を済ませ
すぐさまECサイトを立ち上げた総務のマイちゃんには頭が下がる思いだ。
「これから始まる」というキックオフのホイッスルとして
フードメッセ出店は無意味ではなかったのかもしれない。
そしてモトムラは、
もっともっと先のことをちゃんと考えていた。
このラグーンコーラの売り方、そのための発信の仕方。
それはまた、この後の話になる。