人の顔が覚えられない!
私は、人の顔が覚えるのが苦手だ。たいていの人の顔は、1回や2回会ったくらいでは覚えられない。もちろん名前と顔も一致しない。前に会ったことがあるということさえ覚えていない。
きっと、2回め3回めにお会いしても全く気づかず、相手を傷つけていることが沢山あると思う。相手は「なんて失礼なやつ!」と腹を立てているに違いない。
しかし相手が単なる知人ならまだいい。
1番困るのは職場である。
私は医療従事者だが、職場関係者が多くなればなるほど覚えられない。患者さんもなかなか覚えられない。
これはちょっと致命的だ。
患者さんの名前を呼んで、その人がちゃんとこちらに来てくれたり、「はい」などと答えてくれればよい。が、いつもそううまくはいかない。同時に複数の人が立ち上がったり、違う人が来てしまったり(これが違う人ということになかなか気がつけない!)、全くだれも反応なかったり。そうなるとこちらも半分パニックだ。何回かその人の名前を呼んで、必死で、当人らしい?反応をしてる人を探す。今はみなマスクをしているのでなおさらわからない。よく今まで何十年も勤務を続けられたものだと思う。
自閉症スペクトラムが人の顔を覚えにくいのは、「中枢性統合」が弱いからという説が一般的なようだ。認知の仕方が細部に偏りすぎ、全体的にまとめての認知が不得手だそうだ。私自身のWAISの結果でも中枢性統合の弱さが示唆されていた。
しかし、発達障害も「発達する」のである。何十年も同じ仕事を続けているうち、昔より少しは人の顔を覚えやすくなった。毎日、顔を覚える「訓練」をしていた成果かもしれない。だからといって、私は自閉症スペクトラムの人の苦手さに訓練や練習を用いるのは、もちろん反対だ。苦痛の方が大きく、実りは少ない。長所を伸ばす方がよほどいい。私の場合、その人の「声色」「声音」で、覚えている方も多い。
実は私の娘の方が、人の顔の覚えにくさにかけてはうわてである。娘に、何年も通っているカウンセラーの印象を聞いたところ、「知らない」と言う。「いつもぜんぜを顔見てないから、どんな顔か知らない」「名前も知らない」と言う。これは予想外のことでびっくりした。確かに娘は他人に興味がない。ずっとお世話になっているカウンセラーも他人か・・そもそも娘はカウンセリングを自分で受けたくて受けている訳でないので、カウンセラーと関係があるとは思えないのだろう。
だとすると、私が人の顔を覚えにくい理由のひとつも、人に興味がないから?もしかしたらそうなのかもしれない・・・でもそれはちょっと悲しい。