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フィラメントの絡まりの原因を考える

3Dプリンタにおける巻き出しでのフィラメントの絡まりについて、フィラメントを作っている側から見た見解を置いておきます。

フィラメントの絡まりは、よく巻きの品質とセットで語られます。ただ、必ずしも製造側できっかけを作っているわけでもありません。そもそも量産機では絶えずテンションをかけ、かつトラバースをかけて巻いてます。途中で巻き崩れがあれば別ですが、そのような状況はテンションの異常ですぐに検知でき、条件はすぐに出しなおせるので、頻繁に起きているとは考えにくいと思われます。パッと見で巻きがきれいでも、造形で使っていくと絡まることもあります。

多くのフィラメント式のプリンタでは、スプールにテンションがかかる構造になっていません。フィラメントの自重により、送り出し方向のみテンションがかかりますが、このテンションは成り行きで、かつフィラメント消費とともに小さくなります。フィラメント吐き戻し方向に対してはテンションはかからず、完全にフリーです。

スプールにテンションがかからないことから、フィラメントの送りと戻しがスプールの動きに同調せず、造形に伴って、次第に巻かれたフィラメントに表層にたるみが蓄積してしまうことになります。

造形中はフィラメント表層にテンションがかからず、大なり小なりゆる巻きになっているわけですが、この状態でフィラメントが引き込まれると、まれに全体がガサっと大きく動いてしまうことがあります。これが主要因と推定されます。

フィラメントを脱着する際、意図せずにユーザー側で先端のフィラメントがくぐらせてしまうのはよくある話です。かならず使用後のフィラメント表層は緩んでいるとして扱い、表層の数巻きをほどいてからしっかりと巻き直すのもいいと思われます。

基本はフィラメントの巻き芯にいくにつれて同じ長さでもスプールの回転が多くなるので、巻き芯にいくほど絡まりトラブルは起きやすくなります。紙などスプールが軽い場合も同様にフィラメントの動きに対しスプールが動きやすくなるので絡まりは起きやすいです。

スプール巻き径が小さいのもトラブルを起こしやすいです。巻き芯にいくほどスプール回転数が大きくなり、表層がゆるむ可能性が高くなります。飛び石造形が多い場合もフィラメント送りとリトラクションを繰り返すので、表層のゆるみを起こしやすくなると考えられます。

ある程度巻き芯に行ったらスプールからはずしてフリーで使うのも一案かもしれません。そもそも末端が固定されているから絡まるので、フリーにすれば絡まるリスクは減ると思います。

絡まりのトラブルは、決してユーザー側の扱いで起きているのだと決めつけるわけではありませんが、考えていくと、造形やハンドリングで発生する要因の方が多そうだという話です。この辺りは理屈というより推測になってしまいますので、間違いがあればご容赦を…。

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