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野辺山ウルトラマラソン42キロ走ってきました。
野辺山ウルトラといえば、
そのコースの過酷さで有名なレース。
わたしはまだ
100キロを14時間以内に走る力はない。
でも、景色が美しいと聞くこのレース、
出てみたい一心で42キロにエントリーした。
「上りか下りしかないから!」
経験者のラン友から聞いていた通り、
本当に平坦な道は存在しなかった。
制限時間6時間半。
ロードのフルマラソンなら充分に余裕がある。
はずだった。
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スタートは4:55。
睡眠時間3時間程度。
2:00に起きて、
3:00過ぎにおにぎりを食べる。
4:10のシャトルバスでスタート会場へ。
思いのほか寒くない。
装備は服装も含めて充分だった。
100キロ第2ウェーブスタートの仲間に
見送られながらスタートゲートをくぐった。
序盤に坂道はないとたかを括っていたけど、
やはりそこは野辺山。
JRの最高地点駅なだけある。
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細かいアップダウンで平じゃない。
さらに、
スタート地点がすでに1300メートル。
空気が薄い。
酸素が少ない。
辛い。
10キロあたりから始まるダートコースは
いつ終わるのかと思いながら、
足を取られながら、
うんざりしながら走る。
走りにくいことこの上ない。
結局。
舗装された道は1/3程度だったと思う。
しんどかった。
最初のエイドを過ぎるとまも無く
長い登りが始まった。
上っても上っても終わらない登り。
コース最高地点は1900メートル。
そこまでは下れない…
12キロのエイドを過ぎると
上るにつれ目がグルングルンしてくる。
ペースが保てなくなったので、
一緒に走ってた仲間とは
15キロあたりの地点で離れた。
みるみる背中が見えなくなるけど、
このペースに巻き込むわけにはいかない。
途中、ふらふらして浅い側溝にハマった。
我ながらウケたケド、
滑落しなくてよかった…
17.5キロのエイドで
「もうすぐ最高地点です!」
と言われた頃には
完全に目の焦点が怪しかった。
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42キロコースの関門は一箇所。
最高地点から下ること約5キロ。
23キロのエイドステーションに8:40。
12キロの地点では時間的な余裕が全く無く
DNFが頭をよぎる。
「わざわざ着替えを持って来たんだ、
フィニッシュして温泉入らなきゃ!!」
と自分を奮い立たせる。
だいたい、リタイヤしたところで
どうやって回収してもらうんだ。
めげなかったのは
逃げ場がなかったからかも知れない。
幸い、最高地点を過ぎると
関門まではほぼ下り。
ここでペースの帳尻合わせができた。
脚はまだ大丈夫そうだった。
トイレも済ませ、給食もいただき、
顔を拭いて気分を整える。
関門をすぎたら次の制限時間は
42キロフィニッシュ地点に11:30。
あと19キロを2時間50分。
一般的なロードなら充分お釣りが来る。
でもここは野辺山。
残りも時間との戦いだ。
上りは開き直って歩く。
上り切ったら走って稼ぐ。
それを繰り返しながらとにかく進んだ。
35キロあたりの上りは斜度がきつかった。
YouTubeで予習した通り
「八ヶ岳ビューライン」の標識が見えた。
ここから先は下るだけのはず。
そう思うと、スタッフのおじちゃんも
「あとは下だけだよー」
と声をかけてくれる。
残り約5キロ。
脇目も振らず駆け抜けよう。
間に合う!
「ラスト3キロ」の看板が見えた。
40キロ地点にエイドがあるけど、
そこはスルーしようと決めた。
こんな終盤をキロ6分切りで猛烈に飛ばす。
残り2キロは芝のふかふか道のはず。
その先で仲間がきっと待ってるはず。
確信を持って前へ。
フィニッシュは、目より足より耳が先。
大会のアナウンスが聞こえてくると、
「ゆんゆーーーん!!!」
仲間の声援も聞こえて来た。
記録6時間23分44秒
号砲から6時間24分15秒
清々しかった。
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今回のわたしは、前向きお化けだった。
上りを歩いたおかげで足が残ったのか、
下りで挽回できるような気がしたのか、
温泉に入りたすぎたのか、
理由はよくわからない。
でも、いつものレースでは出る
30キロからの失速も、
35キロ過ぎの泣き言もなく、
フィニッシュゲートに辿り着くことしか
考えられなかった。
余計なこと考える余裕が
1μもなかったかも知れない。
そして気づいた。
脚はまだ残ってる。
もうダメだと思ってるのはアタマだけらしい。
つくづく、
本気を試されてると思った。