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#2  「ミシンの事」

中学校の頃、家庭科の授業でエプロンを作った事があった。
家にはミシンは置いて無くて多分その時初めてミシンを踏む事になったんだけど
とにかく凄く苦手だった思い出が。
糸の掛け方すら分からなくて何度も何度も先生に聞いたりしてたなぁ。。。
おっかなびっくり扱うものだからミシン目もガタガタで真っ直ぐ縫え無い。
半泣き状態の自分に見かねた先生が放課後に補習として教えてくれたっけ。
「もう、こんな授業嫌だ!」なんて当時は家庭科の授業が嫌で嫌で仕方がなかった。

それからウン10年。
そんな不器用な自分がまさか、ミシンに携わる仕事をする様になるなんて。
今はすっかりミシンをかけるのが当たり前で当時の自分よりも上手い(笑)。
いやホント、分からないものですね・・・人生って。

いう訳で今回はそんなミシンの話を少々していこうかなぁと思います。

「ミシン」

手に取らなくとも一度は聞いた事があるかと思います。
服や布小物などを作るときに使用される縫製用機械ですね。


直線縫い用工業ミシン


「ミシン」という名前。実は和製英語でsewing machine (ソーイング・マシン)の「マシン」が鈍って「ミシン」になったそう。
日本に伝わったのは1854年、黒船で二度目に来航したペリーが徳川家に贈ったのが最初と言われています。

今では様々なミシンが生み出されて色々な素材に対応できるミシンが世に出ています。
代表的なのは靴用のミシンとか。
靴底(ゴム材)と本体(革)を繋げるミシンなどは職人さんの技術はもちろん、
それに使われるミシンの性能も問われる所ですよね。

ファストファッション全盛の今日、製品の完成度と共にスピードも重視されて
とにかく早く、大量にが求められてきました。
ミシンもまた、それに対応するために複雑化・多様化されていきます。
「ある部分を縫うためだけの」ミシンというものがどんどん開発されて
短時間で難しい部分を縫うことが可能になりました。

ただ、基本的に工業用ミシンはニッチな分野。
使う人も専門的な人達だけのものなので絶対数がそう多くはないです。
必然的に値段も高くなってしまい、物によってはウン千万もするミシンもあるそう!
ボタンひとつで機械があっという間に縫ってしまう。
何時間、何年とかけて得たモノがあっという間に形に出来てしまう。
これから先のミシンを使った物作りの世界がどう変わっていくのか・・・
興味深くもあり、また不安でもあります。。。
 

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その、ミシンの元祖と言いますか、構造自体を発明したのがおよそ今から200年以上前と言われており一人の英国の家具製造業者だった方によって生み出されました。
その後、いろんな国々で開発が行われ機能の向上が進んでいきます。
当時はチェーン・ステッチと呼ばれる縫い方が主流でしたが解けやすいという欠点があった様ですね。。。


デニムに見られる裾のチェーンステッチ始末


そこであるアメリカの発明家がチェーンステッチに代わる本縫い用のミシンの開発に成功します。
これは近代のミシンのベースとなるほどの発明だった様です。
そこからさらにさまざまな人達によって新たな開発を試みますが
なかなかうまくはいきませんでした。

紆余曲折・試行錯誤の繰り返しの中180年ほど前、遂に現代にも共通するミシンの開発に成功します。
これは今現在のミシンには当たり前に付いている機能なのですが
ボビンとボビンケースの誕生。
先端に穴のある針の使用。
布の自動送り。
などなど・・・。


ボビンとボビンケース



このミシンを発明したのはアメリカ人の「エリアス・ハウ」という人物で
彼は後にその発明に対しナポレオン3世から勲章を贈られています。
言うなればそれほどの功績だったという事ですね。。。

「先端に穴のある針の使用」についての開発でちょっと面白いエピソードがあります。

ある日、ハウは野蛮な王様のために24時間以内にミシンを完成させなければ殺されてしまう、という夢を見ました。
ハウは必死になって作ろうと試みましたが完成させる事が出来ずにその王の兵士達の元へ連行されてしまうのです。
その時です。
その、兵士達の持つ槍の先に穴が空いていることに気づき、それがミシンの開発のヒントになったそうです。。。



現代の外国製ミシン。飾っておくだけでもサマになるデザインです。


初めて実用に値するミシンを開発したのがエリアス・ハウと言われていますが
その前にも他国でミシンを発明した人もいるとかいないとかで
文献を読んでいくと色々と諸説がありそうで面白いですね。


さて、所変わって日本。
ペリーの二度目の渡航によりミシンが初めて日本へ渡ってきたのですが
普及し始めたのは明治維新以降。
文明開化における欧米化によって洋装する人も増えていきます。
ある職業に携わる人たちの制服も大量に必要となったためそれと比例して
ミシンの需要も高まっていくのです。

又、貴婦人の夜のパーティドレスや舞踏会用のドレスなどを作るために
港町からミシンが輸入され少しずつ一般の家庭の中にも浸透し始めるのでした。




しつけ用のミシン 抑えがねが無いのが特徴



輸入に頼っていた日本ですが
当時の外国製ミシンは故障が多く品質も安定していなかったそうで
とある兄弟がミシンの製造を決意します。
「安井ミシン商会」を創業し、まず手始めにドイツ製のミシンなどを主に改良販売や修理などを手掛けました。

皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
後の「ブラザー」という会社の誕生です。



ハンドステッチ用ミシン  最新式は1千万円以上も!



国産化の第一号ミシンは大正時代に入ってから。
「パイン裁縫機械製作所」が1921年に出したものが初と言われています。
この会社は後に「ジャノメミシン」の生みの親になります。
日本の家庭用ミシンといえばジャノメミシンが思いつくのでは無いでしょうか?
最近は分かりませんが昔はテレビCMをよく見かけたという記憶があります。

ちなみに「ジャノメ」の由来は当時のボビンの形が「蛇の目」に似ていたから
だそう。
ダジャレじゃありませんが日本のブランドネームの由来って調べてみると結構面白いものがあったりしますよね。

その他にもトヨタ系や三菱などのメーカーでもミシンを製造していた事がありました。
今でも製造しているのかは分かりませんが。

そして・・・自分はと言いますと、JUKIのミシンが好きで良く使っています。
使い勝手が良いといいますか、縫いやすいのですよ。
オプションパーツもたくさんあって色々な縫い方が出来たりします。
ここがこうだったら良いなぁが結構実現しているんですよね。
ちょっと前までは世界シェアNo.1だったこともある位ミシン業界では有名なミシン屋さんです。
新しい工業用ミシンが欲しいのですが・・・高いっ


さて、軽くではありますがちょっとだけ歴史のお話をさせて頂きました。
こうやって他のミシンメーカーさんの成り立ちを紐解いていくとまた面白いエピソードが出てきそうです。

「人に歴史あり」という言葉を聞きますが
物にも歴史あり、ですねっ。

普段手にする小さな小さな物でも遡って見てみると色々な人の手によって生み出された物なんだろうなぁと今回思わされました。
お手元のお気に入りの物達、一度調べてみたらいかがでしょうか。。。?
もしかしたらきっと素敵なエピソードに出会えるかも?















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