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宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』と実践への意識

昨年の発行より話題で売れている本ですね。ようやく手にとってみました。

著者の医療少年院での勤務体験をベースに書かれたこの本は、非行少年たちの特徴と更生について述べられています。単に理論家ではなく実践家である著者は、問題の説明だけではなく、解決への取組み方の提案も行なっています。そしてその取組み方が現場の方が極力時間とお金を比較的かけないで行える方法を意識されているのが印象的でした。

この一冊の本の中には付箋をつけた箇所がいくつもありますが、私がその中で最も太い付箋をつけたいと思った文章はこれです。

子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない(p.153)

(ただこれは著者本人の言葉ではなくある人が言った言葉で、著者も共感する言葉として紹介されています。)

少年院にいる少年たちへの教育においてだけでなく、学校教育全般に当てはまるという文脈で引用されていますが、これを読んだ時、キャリアカウンセリングにも当てはまると思いました。

キャリアコンサルタントに答えを求める人はどうしてもいます。クライエントの立場としてそう思う気持ちももちろん分からないではありません。ただ、自分のキャリア・生き方を決めるのはやはり自分しかいないのです。

取手に手をかけられるよう、何ができるのか。

大学生のキャリア支援だとやはり、世の中には色んな生き方があることを知ってもらうのが一番なのかなと思いますが、ではそれをどうやって実践するかという方法になるとこれはなかなか難しくて・・・。手探り手探りの日々ですぐに結論は出ないですが、この本を読んだことで、より実践への意識を強くすることが出来ました。


宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書) 新潮社、2019年


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