キャリアコンサルタントのあるべき姿勢を結局母に学んでしまう
今日職場で母親の高齢者保険証なるものを渡された。
家に帰ってそれを見ながら、母と「まだヒラ高齢者やな」とか「一般高齢者やな」とか言って笑っていたけど、内心では、もう70歳なのかという思いと、あっという間に後期高齢者になってしまうんだろうなとあんまり笑えない思いがあった。
私が子どもの時の母は20代で、青春時代は30代で、成人してからは40代、50代、60代で・・・。当たり前のことなのに、70代のお母さんと一緒にいることは想像していなかったよ。
母が、娘のキャリア形成に多大な影響を及ぼしていることは今となっては否定したくても否定できない。
小学生の頃、「あんたな、結婚しなくても自分一人で生きていけるようになりや」と言われた時は、「そうか、そうなのか」と素直に思ってしまったし、中学生の頃、「私の人生はあんたのためにあるんちゃうんやで」と言われた時は、大きな石で頭を殴られたような気がして「確かにそうやんな」と納得した。大学院生の頃、「結婚せえへんのはええけど、子どもを育てるのは面白いから経験はしてほしいねんけどな」と言われ、「え、未婚の母でええんかいな」と驚いた。
振り返るとこの他にもなかなか強烈な言葉を浴びせられてきたように思う。
母は娘の進路について、歳を取れば取るほど何も言わなくなった。大学院に進む時も、さらに博士課程に進む時も何も言わなかった。「ふーん」という感じだ。別に裕福な家でもなかったので、そのことを何年か前に聞いたときに「中学生の時に自分で決める子なんやなと思ったから」と言われた。
キャリアコンサルタントってどういう姿勢であるべきなんだろうと割といつも自問自答している。色々な要素はあるけれど、私がベースにしたい姿勢は「その人を信じる」ということなんじゃないかなと今は思っている。
昔、兄弟がひきこもりっぽくなった時、私はイライラして「あの子はこのままじゃなダメだ。なんとかしなきゃ」と息巻いていたが、母は特に何もせず、普通に「信じてるから大丈夫」と言っていた。その時の母に対してなんて無責任なんだと苛立ったが、結局、彼は部屋から出て、働いて、今は妻がおり、一児の父になっている。
母はキャリアコンサルタントではないけれど、もしかしたらキャリアコンサルタントになったら有能なのかもしれない。頭でっかちにならずに等身大でいることは私にとっては難しくなる時がある。でも、そんな人に自分のキャリアについて相談なんてできるはずがない。少なくとも私がクライエントだったとしたらそうだ。
流されるままに生きているだけに見える母は、昔は反面教師だと思っていたけれど、結局はそうでもなかったということだ。これが時の流れが教えてくれたことなのだとしたら、歳をとるのは決して悪いことではないのだろう。