自作映画「ヴァルタージング珍推理」台本①

シーン1「豪邸にて」
新聞の文字:「大富豪サミュエル・T・パーカー男爵の娘が変死 パーカー男爵夫人は無名の探偵と電話で契約」
(カット変わって、豪邸。)
カーサ夫人:探偵はまだかしら。もう約束の時間をとっくに過ぎているわ。
(バタンとドアを開けて探偵ジング、助手ハーボンが入ってくる。カーサ夫人は「やっと来たのね!」と言おうとするが、二人は異様な速さでドアの向こうへ戻ってゆく。カーサ夫人は何か言おうとするが、また戻ってくる。そしてドアを開けて外へ出る。それの繰り返しで、だんだん早くなっていく。ジングは野球選手の走り方になり、カーペットに滑る。)
助手ハーボン:アウト!
カーサ夫人(間があって)ようこそ、随分遅かったようですね。
探偵ジング:それほどでも。
カーサ夫人:何かあったんですか?
ジング:ああ、あったとも!身の程を知るがいい!
カーサ夫人:お気を悪くされましたか?誤解です!
ジング:言い訳は無効だ。ハーボン!ハーボン!
カーサ夫人:違うんです!やめてください!
ジング:ハーボン!ハーボン!
ハーボン:なんでせう。
ジング:裏切り者リストに「カーサ・パーカー夫人」と書いとけ!
カーサ夫人:やめてください!
ジング:黙れ!これも仕事だ。
ハーボン:「チャーシューメン街46の、タルタルソウス夫人」と。
ジング:「チャーシューメン」のところはニ母重音だぞ!あれほど練習したのを忘れたのか!
カーサ夫人:私の話を聞いてください!
ジング:こんにちは!カーサ夫人。ハーボン!「タルタルソウス」はニ母音じゃない、三音程だ!
(スーツ姿のカーサ男爵が出てくる)
カーサ男爵:こんにちは、なんです!?これは。
カーサ夫人:私にも良くわかりませんわ。
カーサ男爵:ジングさん、ハーボンさん、こんにちは。(握手しようとする。ハーボンはその手の上にボンドをつける。)なんですか、これは一体!?
ジング:そのパジャマ似合ってないな。
カーサ男爵:うぬぬぬ…(拳を握る。手をもとに戻せない)ボンドが…何しに来た?お前ら。。。。
カーサ夫人:シッ!探偵ですよ、契約した!
カーサ男爵:探偵!?あまりにも無礼ではないか、この探偵は!?
カーサ夫人:落ち着いてください!
カーサ男爵:敬語を使ってるんじゃない!
カーサ夫人:親しき中にも礼儀ありです。
カーサ男爵:なんだと!?
ハーボン:やーい、やーい、夫婦喧嘩〜。
カーサ男爵:うぬぬぬ…(ボンドで固まった方の片手の拳を振り上げる。ハーボンはそれにロープを巻いている)何するんだ?
ジング:きっと儀式でしょう。こら、巻き方が甘いぞ!あなたは生贄です。
カーサ男爵:ギギギギ…(もう片方の手を拳にして振り上げる。しかしハーボンに止められ、ロープを巻かれる)何なんだこれは?私を捕まえに来たのか???
ジング:これも仕事だ、お前口ばったいぞ。
カーサ男爵:うぅぅぅ……
ジング:お前さっきから猛獣っぽいな。
カーサ男爵:黙れ!(両足で二人をけろうとする。しかしハーボンに一本のロープで縛られる)
カーサ夫人:なんですの?これは一体!
ジング:儀式です、儀式!
ハーボン:違いますよ、ジング隊長。
ジング:私は私立探偵だ!(ハーボンは天井に手足を縛ったロープをくくりつける。ハーボンは下の方のロープを思い切り引っ張る。カーサ男爵が天井に上がる)
カーサ男爵:降ろしてくれえー!!!
カーサ夫人:もう、次こんなことをやったら、別の探偵に頼みますからね!
ジング:いいアイデアだ、君も別の男と結婚するんだな。

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