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罪人(殺人犯)(短編)

何もしていない人を殺すのは、気が狂っているとしか思えない。何にしろカルロス・エルヤミンは二人の人に傷を付け、殺したのだから。
裁判長は中年女性のグロリアだが、カルロスが傷付けたうちの一人はグロリアの愛人だった。
グロリアはカルロスに向かってしかめっ面をし、それから木槌を叩いて「静寂に!」と言うだけだった。
「私はあなたを許しませんよ。私はあなたが私の名前「グロリア・パウルスレット」とと言う前に、あなたの腹を切り裂くことだってできるのですから。」
カルロスは苦笑いを浮かべた。そしてゆっくりとまばたきをし、それが段々早くなると、段々変な顔になっていく。
グロリアは小さいしかめっ面をしていた。
だんだん裁判官が苦笑いしだし、グロリアのしかめっ面は悪態をつく表情に変わっていき、やがてそれは屈辱の表情に変わっていった。
グロリアは木槌を叩き、「静寂に!」と言った。
うなるほど静かなのに。
結局、カルロスは死刑を宣告されたが、カルロスは笑っていた。初めは音もなかったが、それは高笑いに変わっていった。
人生の心理が分かったようだった。

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