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アルデンテの謎

私は14年間生きてきていろいろなものを食べた。そしていろいろなパッケージを見た。だが、その中でも特に惹かれるのがこれだ。
「アルデンテな噛みごこち!」
みんな大好きと言っても異論はないであろうフェットチーネグミの謳い文句だ。お世辞抜きで純粋に美味しい。
だが、「アルデンテ」とはどういう意味だろう?と首を90度傾げながら食べていると、首が痛くなってしまいそうなので、調べる前にちょっと考えてみることにした。

「アルデンテ」という言葉の響きから、私はまず氷山をイメージする。恐らく「アルペン」から来ているのであろう。しかし、「氷山のような噛みごこち」ということではないだろう。歯が砕けてしまう。
「アルデン」や「アルペン」と同じ母音構成なのが、「カルメン」だ。ハイドンの曲を問われて「びっくり交響曲」しか出てこないように、カルメンの曲は「闘牛士」しか知らない。教養不足が祟る。
同じ母音構成でいえば「マルゼン」もそうだ。ハイドンの曲を問われて「びっくり交響曲」しか出てこないように、マルゼンにはタイヤとホイール(のCM)のイメージしかない。ハイドンがかわいそう。
いや違う、「アルデンテ」の意味を解明しなければ。フェットチーネグミの食感を言語化してみよう。
最初のうちは歯がトランポリンで遊んでいるようだったが、段々とグミが歯に分解されてゆき、最後は穴だらけになって飲み込まれてゆく…。
こ、これは、「バッドエンド」というやつではないか。
ラスボスと戦い、善戦するも逆転され、激闘の末跡形もなくなってしまうどこかの漫画の主人公に、私はフェットチーネグミを重ねてしまったのだ!
『ああ!なんてこと!勇者が死んでしまったわ!』
『こんなのあんまりだ!だが、彼は何も遺さずに死んでいったわけじゃない…彼はヤツの歯に、彼のかけらを遺していったんだ!
それはそのうち、歯を蝕む「酸」となり…ヤツの歯は溶かされてゆく!
彼のお陰で我々食物は、ヤツの魔の歯から逃れることができるんだ!!』
しかし彼らは、「歯ブラシ」という真のラスボスをまだ知らない。

そんな事を考えていたら、グミを10個も食べてしまっていたので、袋のジッパー的なやつを閉じた。
袋にはこんな事も書いてあった。
「きゅんとあまずっぱフルーティー!」
私は14年間生きてきていろいろなものを食べ、いろいろなパッケージを見たが、「きゅんと」という擬音を見たのは長い年月の中でもフィットチーネグミのパッケージだけだ。
「きゅん」とは何だ?「胸キュン」のようなことなのか?そもそもなぜひらがななのか?
謎は深まるばかりである。

追記 2024/11/23
売られているピュレグミをふと見たら、「きゅんと、果肉食感」と書かれていたので脊髄反射で購入した。
果肉食感が「きゅん」の原因であるならば、「瑞々しい」のようなことなのかもしれない。
少し謎が解けた気がした。

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