自己紹介Vol.4~喪失から生まれるもの~
こちら↑からの続きです。
大好きな人も、その人との未来も失って実家に戻ったわたし。当分何をするでもなく、ただぼんやりと毎日を過ごしてた。
そんなある日、かつて食育活動をしていた時にわたしのことを高く評価してくれていた方から声がかかり、地域の有機農産物をPR販売する期間限定チャレンジショップの店長をやらせてもらうことになった。
「いいですか、この店で一番先に売るべきものは野菜じゃなくて、食の伝道師であるあなた自身です。」
わたしにチャレンジショップを任せてくださったその方に最初に言われた言葉。彼は仕掛け人かつプロデューサーとして、店長のわたしに素晴らしいアドバイスをくれた。この一言でわたしの心はすっかり輝きを取り戻した。
そして冬の一番寒い時期、常に北風にさらされるような環境のもと、わたしは約2ヶ月間一日も休むことなく毎日それはもう楽しく仕事した。管理栄養士としての食の知識や料理教室で培った経験などを活かし、生産者さんのひととなりや栽培方法も伝えながらの対面販売。毎日少しずつお客さんが増え、わたしや食材のファンになってくれた。
「ここで野菜を買うようになってから、主人に”料理の腕が上がったんじゃない?”ってほめられたんです!」
ってわざわざ伝えに来てくれたお客さんも。本当に自信を持ってすすめられる食材ばかりだから、愛をもってその価値を伝えられる。そしてその価値を受け取り、体感してくださったお客さんが喜びの声を届けてくれる。その声を今度は生産者さんたちに伝える。すると生産者さんたちが喜んでくれるから、今度はそれをお客さんに伝える。そうして徐々に売り上げもあがり、認知度が増してきた中で、国の補助事業だったチャレンジショップは期間満了で閉店した。
生産者さんからは「あなたに売ってほしい。」お客さんからは「あなたから買いたい。」それはわたしにとって最高の賛辞であり、自分の存在意義だった。一緒に働いてくれたスタッフも毎日の仕事にそれはもうやりがいを感じてくれて「またいつか一緒に働きたいです!」って。チャレンジショップに関わるすべての方々に惜しまれながらの閉店。わたしにとって、間違いなく天職だった。あんなにも働くことが楽しい、朝目覚めることが楽しいと思った日々はない・・・。
今度は天職を失ったわたし。なんだろう?このかけがえのないものを繰り返し喪失していく人生って。光と闇は、交互に訪れる。光がまぶしいほどに、闇の暗さが増してしまう。与えられては奪われる。その繰り返しの中で、何度も何度も自分を見失い、”それまでの自分の死”を通して”それまでとは違う自分の生”を見つけ出す。
数々の喪失を振り返りながら思う。
大切なものを失うことによってしか、得られない学びや気づきがある。失うことによって、生まれるものがある。何かが終わるからこそ、次の何かが始まる。獲得と喪失はいわば表裏一体で、切り離すことはできないのだ。
繰り返される獲得と喪失、そこにはたくみな循環があって。わたしたちはその循環の中で自己の生と死を繰り返す存在なのかもしれない。
・・・もはや自己紹介というジャンルの文章ではないと思われるけれど、わたしは自分という人間のことを伝えるために、何を為してきたかという実績ではなく、どう生きてきたかという軌跡を語りたいから。これはこれで、わたしなりの自己紹介のスタイルの一つとして認定☆
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