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琵琶のみならず、邦楽界のチェンジメーカーを

「チェンジメーカー」とは、社会の課題を自分ゴトととしてとらえ、自分を変えて社会に変化を起こす人のことを指します。

チェンジメーカーという言葉は
「ユナイテッド・ワールド・カレッジ ISAKジャパン」というインターナショナル・スクールの卒業生に教えてもらいました。

そのスクールで行われている、裕福ではない環境にある才能を支援する仕組みについて、以下の本で学びました。

こちらの全寮制のハイスクールは、年間の学費が700万円弱です。
しかし、裕福ではない家庭環境の生徒も学んでいて、彼らの学費は返済不要の奨学金や寄附などで賄われているそうです。

日本人的な感覚で言えば、金持ちは金持ちの世界、貧乏は貧乏の世界ではっきりと分たれて育つのが当然なので、私は聞いた当初、とても驚きました。

しかし、金銭的に貧しいからといって、貧しい家庭環境や低い教育レベルが代々受け継がれていくことは、世界的な視点で見れば、いいことではありません。
貧しい環境、アナログな環境で育ったからこそ、
獲得できた貴重な視点や思考回路が、
15歳の子どもにだってあるはずです。

彼らが最高の学習環境、さまざまな言語や文化、価値観に触れる環境で3年間学び、大学などを経て
社会に出たら、必ずや良きチェンジメーカーに
なれると思います。

このスクールの仕組みについて知り、
これまでのような
「貧しい者は切り捨てる」
「金持ちだけが受け継いでいけばいい」
「日本以外の国だって同じだ。どこだって階級社会じゃないか(笑)」
「行政がやるべきことだろう。なぜ税金払ってるのに、民間が人や金やアイディアを出さにゃならんの?」
という日本的なやり方、考え方では、
日本のさまざまな文化や伝統が衰え、
消えると確信しました。

お金がないとダメだ、続かないと決めつけられ、
才能があるかどうか、試す機会すら
与えられず、冷酷に弾き飛ばされる例は
日本中に溢れています。
 
お金を持っている人が、若い意欲や才能を
全面的に支援する仕組みがあれば、いいのになぁと思います。
 
東京の琵琶教室のサイトを見ていると
若い先生方が楽器を格安で貸し出したり
お月謝をかなり低めに抑えていたりと
お金のない人でも琵琶に親しめるように
努力されているのがわかります。
 
しかし、それでも才能ある子どもや、
若い世代を引きつけるのは難しいことでしょう。
ピアノやギターのようにサイレント機能が
付いていない琵琶は、東京の住環境では
練習環境の確保が難題ですし、
お稽古だけ淡々と続けていくだけではなく、
人前で演奏を披露したり、
演奏を聴きに行ったりするのには
お金がかかります。
 
例えば、前回、前々回と書いた琵琶学コンクールは、予選の選考料で20,000円
本戦の出場に50,000円かかりますから、
一般の感覚では大変な出費です。

流派ごとの演奏会などでも
お金が発生するでしょうし、
和服の着付けやヘアセット+顎足枕なども
かかります。
 
知り合いの器械体操をやっているお子さんも
国内外遠征やら、整体治療やら、衣装代
コーチング代などで
家一軒分のお金が吹き飛んでいました。
裕福ではない、中間層の家庭です。
 
習い事にお金がかかるのは当然ですが
現代の日本は、急激に二極化が進み
中間層が消えつつあります。
楽器に限らず、将来的なリターンをはっきりと
見込めない習い事は、続けられない人が増えるでしょう。
 
すでに日本は貧しい国になったのです。
だからこそ、お金に余裕のある人が
若い意欲および才能を支援する仕組みが必要だと
考えます。
 
タニマチ文化は日本だけでなく
古くから世界中にありました。
お金の心配をせずに、精いっぱいにアートや
スポーツ、学術研究などに打ち込んで欲しいと
支援する人がいて、支援を受けて自己実現に賭ける情熱があって、そこには夢があったのでしょう。

琵琶だけに限らず、担い手の減りつつある
伝統芸能、芸術に若い意欲と才能を集めるために
気軽にわかりやすく支援出来る仕組み作りをしてほしいと願います。

私の周りには、金が使い切れないと
いつも言っているお年寄りがよくいます。
彼らのようなお年寄りに、
「お金を使うことの真実の喜び」を教えてあげられる、そういう仕組み作りのプロがいるはずです。

どんな分野でも、若い意欲と才能が集まらなければ、ファンは絶対に増えません。
特に邦楽は、最初こそ物珍しさで外国人やアニメなどを入り口にしたにわかファンなどにチヤホヤされても、それがいつまで続くかもわかりません。 
やはり邦楽は、若い日本人にも継続的に興味を持たれなければ、消えるでしょう。

日本の伝統文化を守るために今、
真のチェンジメーカーが必要だと思います。



 



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