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桜咲く街でもう一度君と#3


お母さんに髪をとかしてもらってる。

それを見てその子はこう言った。

??:髪きれいだね〜

少し照れくさくて下を向いた後頷いた。









転校初日。

授業のレベルの高さに疲弊していた。

そのうえ、村井優さんという現時点でおかしな子認定をしている子と話す予定をしている。

◯◯:何を聞かれるんだろう…

引っ越し自体何度もしているため、その都度質問を受けることは多かった。

だが、こんな一直線で無計画なのは初めてだ。

今僕は用事があって職員室に向かっている。

なので先に下駄箱に行ってもらい、待っててもらっている。

初日でこんなに疲れるのは初めてだな…

そんな事を考えながら角を曲がろうとしたら目の前に女子生徒が現れ、その子とぶつかってしまった。

??:きゃっ!!

その子はぶつかった勢いで転けてしまった。

◯◯:あ、ごめんなさい

◯◯:大丈夫ですか?

僕はそう言い彼女に手を差し出す。

その手を彼女は掴み、立ち上がった。

??:こちらこそごめんなさい

彼女は深く頭を下げると、僕の後ろにいた同級生に呼ばれる。

同級生:??ー!!大丈夫〜?

??:大丈夫だよ〜!

??:では、失礼します

そう言って彼女はもう一度頭を下げ同級生の方に走って行った。

◯◯:(中学生かな?)

◯◯:(あの制服)

◯◯:(の割には身長高かったな)

僕は心の中でそう思った。








図書室で勉強していたらスマホから通知音が鳴る。

同級生L:テスト近いから勉強教えて〜

私は友達にそう頼まれたから図書室から教室に向かった。

少し小走りで向かい、遠くにある教室の前で手を振ってる同級生に私も手を振り返した。

すると、手前の教室の角から曲がってきた人とぶつかってしまった。

??:きゃっ!!

ぶつかった衝撃で私は床に倒れてしまった。

相手は先に謝罪をしてきた。

その後私に手を差し出して、私はそれを掴んだ。

立ち上がって目の前の人に謝罪する。

??:こちらこそごめんなさい

私は深く頭を下げた。

その奥で同級生が私を呼ぶ。

同級生:??ー!!大丈夫〜?

??:大丈夫だよ〜!

??:では、失礼します

もう一度頭を下げ、同級生の方に向かった。

同級生:ごめんね〜急に呼び出して

その子は目の前で手を合わせて謝ってきた。

??:別にいいよ

??:暇だったし

同級生:やっぱり勉強教えてもらうなら…

同級生:美青が一番だからねっ!!

美青:やめてよ…私そんなに賢くないよ

同級生:なんだと〜笑

同級生:去年の学年1位さまが何をおっしゃる笑

美青:だからっ!やめてってばっ!

会って早々にそんな会話をした後私達は教室に入った。






職員室に着き、担任とこれからの勉強内容について話しをした。

話しはすぐに終わり職員室を出た。

◯◯:さて、問題はここからだ

当然、今から下駄箱に向かうのだが。

そこに行けば村井さんと話しをする事になる。

憂鬱になりながらも下駄箱に向かう。

少し歩いた後、下駄箱に着いた。

そこには僕を待ってベンチに座ってる村井さんがいた。

彼女は僕と目が合うと満面の笑みでこちらに近づいてきた。

優:あっ、◯◯くん!!

優:もう用事は終わったの〜?

◯◯:ごめん、待たせたよね

優:ううん、待ってないよ〜

優:楽しみだったよ〜

相変わらずよく分からない返事をされるが、僕はそれを軽く聞き流しながら靴を履いた。

◯◯:それで、お話しってどこでするの?

優:そうだな〜

優:学校の外にある公園とかどうかな?

◯◯:じゃあそこまで行こっか

優:うん!!

彼女はまた可愛い笑顔を見せてくれた。

まぁ、可愛い子なのは否定できないよな…

そう思いながら村井さんと一緒に公園に向かった。







校内の窓から並んで歩く男女のペアを見る。

??:あの子が◯◯ね…

??:本当に似てるわね…

そう呟いた。






村井さんと話すために公園に行く。

すぐに着き、そこまで大きくないベンチに近づく。

優:よいしょ〜

そんな可愛らしく座る人いるんだ…

続くように僕も隣に座る。

優:まだちょっと暑いね〜

◯◯:そうだね…

◯◯:一応これでも9月なんだけどね

◯◯:それで?話したいことって?

僕がそう聞くと彼女は上を向いて考える。

◯◯:まさかとは思うけど…

◯◯:何も考えてないの?

優:あはは〜笑

優:そうなっちゃうね〜笑

これは困った。

僕からは特に聞くことはない。

だけどこうなった以上無理やりにでも話題を作らないと。

◯◯:じゃあ僕から質問していい?

優:えっ?うん!!

優:いいよ!!何かな〜?

◯◯:村井さん何か部活とかしてるの?

我ながら無難な質問だ。

優:ダンス部に入ってるよ!!

◯◯:へぇ〜ちょっと意外かも

◯◯:村井さん動きとか遅そうだし

優:そうかな〜笑

優:体動かすの好きなんだ〜

優:あとは…

◯◯:あとは?

優:憧れの人いるんだ…

村井さんは少し照れながら言った。

優:あの学校の人ですごくダンスが上手だったんだよ!!

優:その人を見て私もダンス始めたんだ…

◯◯:へぇ〜なんて名前の人?

優:星咲美奈(ほしざきみな)さん!!

どこかで聞いたことあるような…

特に思い出すような事はなかったため続けて彼女の話しを聞いた。

優:1度だけ彼女のパフォーマンスを生で見たことあって〜

優:動きとかキレキレで!!

優:私もあんな風に踊りたいなって!!

◯◯:目標があるのはいい事だね

優:うん!!

優:◯◯くんは何か部活入りたいのあるの?

◯◯:特にないかな

◯◯:僕は転校する事が多かったから

◯◯:入ってもすぐに退部しちゃうし

◯◯:それなら入らない方がいいかなって

優:え〜!!もったいないよ!!

優:たくさん部活あるんだよ!!

優:今度部活が休みの日にでも一緒に見学行く?

◯◯:そんなにあるの?

優:うん!!

優:理事長先生がやりたい事やりなさいって

優:申請通す必要あるけど

優:学生が自分で好きに作っていいんだよ!!

理事長…小田倉麻美か…

確かに好きなようにさせてるイメージはある。

だが…

◯◯:ちなみに一つ聞いていい?

優:なぁに?

◯◯:村井さんって中学から入ってるの?

優:うん!!そうだよ!!

◯◯:入る前は何をしてたの?

優:えっとね〜幼稚園を卒園した後は

優:月一で市から教材が届いて

優:好きな時間にお勉強してたの!!

優:私は勉強好きだから毎日やってたけど笑

◯◯:ずっと家でやってるの?

優:ん?◯◯くんは違うの?

◯◯:うん

◯◯:小学校に行ってたよ

優:あ〜そっか〜

優:私はないな〜だって…

優:この街小学校ないもん

そう。

この街は確かに輝かしい部分が数多くある。

だが同時に表沙汰になってない部分もある。

それが小学校がないということ。

櫻高等学校の理事長に小田倉麻美が就任した時。

多くの学習システムを変更した。

それは市全体のサポートがあってこそなのだが。

小学校を街からなくす。

誰も止めるような事はしなかった。

僕が調べた限りでは、自然の中で子供の才能を開花させていきたい。

それが理由らしい。

しかし、それは小学校があったとしても可能なはずだ。

僕が少しの間沈黙していると彼女から口を開いた。

優:小学校って楽しいの?

◯◯:ん?あぁ、そうだね

◯◯:楽しい人は楽しいんじゃないかな?

優:◯◯くんは違うの?

◯◯:僕はそこまでかな…

◯◯:あまりいい思い出はないよ

◯◯:色々あるけど…

◯◯:それに小学生の時は入院してたから

優:えっ!!入院!?

優:ど、どうして…?

◯◯:それは…

優:あっ!話しにくいなら聞かないよ…

僕を心配して彼女はそう尋ねてくる。

またいつ居なくなるか分からない。

なら、話しても問題はない。

◯◯:…記憶がないんだ

優:えっ…?

◯◯:正確には小学校に入る前

◯◯:幼稚園に居た頃の記憶が

優:…

◯◯:ごめん

◯◯:こんな話し聞いても楽しくないよね

言い終わると彼女が静かになったため少し顔を見ようとすると。

優:…グス

泣いていた。

◯◯:えっ!なんで?

優:だって…思い出…なくなるとか…

優:さみしいよ…

◯◯:…

それが泣くに繋がるのか…?

僕は立ち上がり、彼女の前にしゃがみこんで声をかける。

◯◯:大丈夫だよ?

優:ごめんなさい

◯◯:ん?何が?

優:昨日米田先生が助けてあげてって言ったから

優:◯◯くんが知りたい事とか

優:分からない事とか教えてあげようって

優:そう思ってたのに…

優:辛いこと言わせちゃった…

◯◯:…

そうか…今わかった。

この人は純粋で優しい人なんだ。

ちょっと不器用がすぎるけど。

◯◯:ありがとう

優:えっ?

◯◯:ちゃんと話聞いてくれて

◯◯:話せる人竜也と牛島しかいなかったから

◯◯:村井さんが話し相手になってくれて嬉しいよ

優:ほんとうに?

◯◯:嘘でこんなこと言わないよ

僕がそう言うと、彼女は涙をふいて笑顔で答えた。

優:なら…良かった

◯◯:うん

優:…あのさ…

◯◯:どうしたの?

優:優って呼んで欲しいな…

◯◯:えっ…?

優:ほらっ!!その…お友達になったんだし…

…そうなのか?

今までの会話でどこにそんな要素があったのかは分からないが、また泣かれても困る。

◯◯:分かった…

◯◯:優ちゃん

僕が名前を呼ぶと何度も見た満面の笑みで。

優:うん!!◯◯くん!!

彼女も僕の名前を呼んだ。

優:そうだ…今日大狼くんと話してたけど…

優:彼の成績、私たちの学年の全体1位だよ

まじかよ。

あんなチャラい奴が?

優:だから教えてもらうなら大狼くんに頼んでね

◯◯:まぁ、それはいいかな…

◯◯:優ちゃんは?

優:私は夏休みの前のテストで

優:2学年の全体12位だったよ

やっぱりレベルが高いんだな…

◯◯:十分すごくない?

優:全然だよっ!!

優:私たちの学年はいつも大狼くんと麗奈ちゃんが1位2位だから

優:その2人と比べたら私なんか…

◯◯:(そりゃトップ2と比べたらね…)

心の中でそう返答する。

◯◯:僕も頑張るよ

優:そういや、◯◯くんって転校試験受けたんだよね?

優:どうだったの?

◯◯:…普通だったよ

優:そっか〜でもあの試験難しいって聞くから

優:◯◯くんも凄いんだねっ!!

◯◯:…

◯◯:たまたまだよ…

そんな会話をもう少し続けた。






もう辺りが暗くなるまで僕たちは話していた。

◯◯:そろそろ帰ろうか

優:そうだね…

彼女はどこか寂しそうな顔をする。

◯◯:また明日も学校で会えるよ

優:でも…こんなに話せるかな…

◯◯:なら連絡先でも交換する?

僕がそう提案すると、彼女はポケットからスマホを取り出した。

優:うん!!するする!!

中々の勢いだった。

交換した後、僕たちは公園を出た。

途中まで帰り道が同じだったため一緒に帰った。

そして、先に彼女の家に着いた。

優:送ってくれてありがとう

◯◯:一緒の帰り道だったからね

◯◯:じゃあ、また明日ね

優:うん…

僕はそう言って自分の家の方に帰ろうとすると。

優:◯◯くん!!

彼女に声をかけられた。

◯◯:どうしたの?

優:あのさ、その…

少し間をあけた後、彼女は口を開いた。

優:私と何か部活一緒にしない?

優:◯◯くんといると楽しいし

優:部活があったらいつでも話せるし

優:もし良かったらだけど…

意外な事を提案してきた。

僕がまた引っ越して居なくなるかもしれないのに…

でも、僕自身も今日話していて楽しかった。

家族以外とこんなに話したのは久しぶりだった。

だから…

◯◯:いいよ

優:えっ!!ほんとに!!

◯◯:うん

◯◯:どんな部活にするかは優ちゃんが決めて

優:分かった!!

優:明日までに決めておくねっ!!

◯◯:そんなに急がなくてもいいよ

優:いいの!!

優:私が早くやりたいから!!

優:じゃあまた明日ねっ!!

◯◯:また明日

楽しそうに彼女はそう言うと家の中に入った。

◯◯:たまにはいいよね…

暗くなった空を少し見たあと、僕も家へと帰った。







次の日。

優:◯◯くん!!

優:お助け部やろうよ!!

……………

…………

………

……

…ごめん。

なにそれ。



続く



あとがき


お読みいただきありがとうございました!
メロンパンです!
更新する度に長くなっていますね笑
大体の話しの流れを考えましたが
このままだと50話くらいになると思います笑
休みの日にでもまとめてゆっくりみてください
たまに目を休ませながら笑
それでは感想とかまた待ってます!
ありがとうございました!


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