もしも僕がADHD大学卒業式のスピーチを任せられたら
ADHD大学の皆さん、こんにちは。
初めましての方もいるかもしれません、私はPONKO2株式会社代表取締役のこーたと申します。
先ず始めにこの言葉を言わせて下さい。
この度はおめでとうございます!
卒業生) アリガトウゴザイマース!
今ありがとうございますと言った方、何か勘違いしてませんか?
今のは私自身に対して言った言葉ですよ?
今日遅刻せずにちゃんと来れたねって。
卒業生) ワハハハハハ
冗談はさておき、みなさんご卒業おめでとうございます。ADHD大学の卒業式に参加できて、私は誇りに思います。私もこのADHD大学を卒業して、まさかここに登壇する日が来るなんて夢にも思いませんでした。人生何があるか分からないものですね。
実はこのスピーチ、締め切りが2週間前だったんですが、3日前まで完全に忘れていました。それで昨日の夜まで「過集中モード」に突入して一気に書き上げたら、今朝になってその原稿をどこに置いたか忘れるという、まさにADHDらしいドタバタ劇です。でも大丈夫。そんな僕でも何とかここまで生きてこれてます。
さて、ここから少し真面目な話をします。
初めに、皆さんが衝撃を受けるであろうことを言います。
いいですね?心して聞いてください。
皆さんは、世間で言われるような「普通の人生」を歩むことはできないと思ってください。
普通に会社に勤めて、普通に結婚して、普通に子供を育てて、普通に出世して、普通に老後を迎えて、普通に死んでいく。
そんな誰もが思い描く、レールに沿った「普通の生き方」は、決して歩めないと思って下さい。それは近くにあるのに、掴もうとしたら大怪我を負う火のようなものです。
ショックを受けた人も多いでしょう。ただ、一度考えてみて下さい。
遅刻します、人の話を聞いてません、うっかりミスが多いです、部屋は散らかってます、衝動的に動きます、すぐに忘れます。
こんな人を信頼できますか?こんな人に仕事を任せたいって思えますか?こんな人が上司に気に入られると思いますか?こんな人と結婚したいと思いますか?
僕は思えません。なので、もう一度言います。皆さんは一般社会で言われる「普通の人生」は諦めて下さい。
ただ、ここで大事なことを言います。
「普通の人生が歩めない」ことは、決して不幸ではないということです。むしろ、それは特別な人生を歩むチャンスだということです。
私たちの特性――集中力の波があったり、忘れっぽかったり、衝動的に動いてしまったり――これらは確かに「普通の人生」を歩む上ではハードルになることが多いです。職場では「なんでそんな簡単なことをミスするんだ」「なんでそんなに時間かかるんだ」「話聞いてたのか」と言われたり、家庭では「ちゃんと片付けてよ」「また鍵無くしたの?」「私の話聞いてる?」と言われたりするかもしれません。周囲の「普通」に合わせられない自分に、何度も打ちのめされ、絶望し、自分を信じられなくなる瞬間が何度も訪れるでしょう。
でも、もう一度言います。それでいいんです。
私たちは「普通」になるために生まれてきたのではありません。私たちは、自分の道を切り開き、自分だけの特別な人生を歩むために生まれてきたんです。
もちろん、その道は平坦ではありません。これからも多くの誤解、偏見、そして壁にぶつかるでしょう。でも、その度に思い出してください。「普通じゃない」ことは、同時に「可能性が無限大である」ことを。
世間が「普通」という箱に収まることを求めてくるなら、私たちはその箱を壊して、新しい形を作ればいいのです。私たちは、ユニークな視点とエネルギーを持っています。ルールを疑い、枠を超え、誰もが考えつかない方法で物事を成し遂げる力があるんです。
私自身も「普通の人生」を歩むことはできませんでした。組織に馴染めず、何度も転職を繰り返し、失敗ばかりしてきました。でも、失敗を重ねる中で気づいたんです。「普通のやり方が合わないなら、自分のやり方を見つければいい」と。そして、自分に合った生き方を模索した結果、自分で会社を立ち上げ、今こうして皆さんの前に立っています。成功の形は人それぞれです。そして、その成功を定義できるのは、あなた自身だけです。
これからの人生で、あなたたちは何度も「変わってるね」と言われるでしょう。でも、そんな言葉に傷つく必要はありません。むしろ誇りを持ってください。あなたたちの「普通じゃなさ」が、世界に新しい価値をもたらすのです。
普通に働けないなら、普通じゃない働き方を見つければいい。
普通に生きられないなら、普通じゃない人生を楽しめばいい。
最後に皆さんに一つお願いがあります。社会があなたたちを理解してくれない時、自分自身を否定しないでください。そして、他の誰かが同じ特性を抱えて苦しんでいる時、その人を助け、支えてあげてください。私たちは孤独な戦士ではありません。共に力を合わせれば、社会の「普通」を変えることだってできるんです。
さあ、卒業生の皆さん。今日ここから、あなたたちだけの特別な人生が始まります。困難があっても、ユーモアを忘れずに、自分らしく堂々と進んでいってください。
ご卒業、本当におめでとうございます!
ありがとうございました!