話の縦軸と横軸
コミュニケーション能力を高める際に最も大事なのは、今、行われている話の本質を理解することですが、次に大切なことは今話している本質からずれが生じていないかを認識することです。
特に話し合い等の意見を擦り合わせる会話においては、大きなずれが生じる程に相手を困惑させてしまうことになるでしょう。
基本的には話の本質からズレないことが望ましいですが、自身が話のずれを理解していればー
「先の話になるけど」
「少し話は変わるけど」
等の前置きをすることで相手を困らせることなく、より多くの会話を楽しむことが出来るようになると考えます。
ですから、今回は会話の中で起こりがちな「本質からのずれ」を「縦軸のずれ」と「横軸のずれ」に分けて解説したいと思います。
・縦軸のズレ
私の考える縦軸のズレとは、ステージ違いの話をすることー要するに、今のテーマに対して次の段階の話をしたり、前の段階の話をしたりしてしまうことを指します。
例えば、
・テーマの解決策に対して、その先の回答を求める。
・テーマに対して明らかに実力違いの回答をする。
といった本質自体は理解しているものの、今話したい部分の上下、または前後に位置している話をしてしまうことが縦軸のずれにあたります。
話を深掘りする際には必ず生じるものですが、脈絡なく、そういった話を進めていくと
「話が飛躍し過ぎている」
「何故、皆が解りきっていることを今更話すのか?」
等の話の本質から離れている不可解さを相手に感じさせてしまうことになります。
特に議事録などを取らない日常会話においては、喧嘩をしていたにも関わらず最終的に何の喧嘩をしていたのかが解らなくなることや本来、解決策しなくてはならない答えがうやむやになり、最悪見失ってしまうことにもなりかねません。
ですから、縦軸のずれが生じる際には会話を一段落させた上でー
「更に話を進めたいのだけど」
「理解度の確認の為に改めて聞くけど」
といった前置きをして話し出すことが重要だと考えます。
・横軸のずれ
次に横軸のずれというのは、本質から見て広く捉えれば関連性のある話ではあるものの、明らかに今の内容から変わってしまっているものを指します。
例えば、
・猫の話をしているのに「動物」繋がりだと犬の話を始めたり、サッカーの話をしているのに「スポーツ」だからと野球の話をしたりする。
・会話の中にあったワードから閃いた話題を脈絡なく話す。
といった内容によっては本質からかけ離れ、話自体が切り替わってしまう可能性のあるものです。
こちらに関しては前置きをせずに始めてしまうと、相手の話を遮った、奪ったといった悪印象を抱かれかねません。
特に頻度が多くなると
「自分の話しかしない」
「人の話を聞いてくれない」
など、自己中心的な人間だと疑われ、敬遠されてしまう可能性さえあります。
ですから、横軸のずれが生じる際にはまず相手が十分に話したのを確認した上でー
「今の話で思い出したのだけど」
「少し話は変わるけど」
などの前置きをし、相手の会話をちゃんと理解したことを伝えた上で話し始めれば、不快感なく転換することが出来るようになると考えます。
・最後に
本質からずれというのは、会話という流動的な行動において必ず生じるものです。ですから、どれ程、考えて話したからといって全てを防ぐことは困難と言えます。
しかし、多くの人が出来ていないことですから、気づいた際に上記の様な前置きを入れる癖をつけることでー
「気遣いが出来る人」
「何だか話しやすい人」
といった会話が上手である印象を持たれる可能性は格段に上がることでしょう。
もし、今回の記事を見て思い当たる節があった人は是非とも参考にして頂ければ幸いです。