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妄想オタクは死神に語る 3

『幼馴染×昼休み』

咲月:迎えに来たよー!〇〇先輩!!

放課後、学校と言う呪縛からの解放のチャイムを聞きつけた〇〇は、教室を出て靴箱へと向かおうと自席から立ち上がった時、1人の少女に捕まったのだった。

〇〇:げっ……咲月……また来たの……?

〇〇の所属する2年4組の教室に訪れていたのは、1年生の間でマドンナと呼ばれる"菅原咲月"だった。

咲月:またって何?!せっかく悲しい悲しい〇〇先輩のためを思ってここまで来たのに!

〇〇:別に悲しくないわ!!

咲月:ま、そんな事は置いといて…

咲月:一緒に帰ろ!〇〇先輩!

――

〇〇:ふわぁ〜……眠っ……

午前8時12分、眠い瞼を必死に持ち上げながら〇〇は自身の通う高校の最寄駅の改札口を抜ける。

夏樹:よっ!眠たそうだな!〇〇!

佑助:どうせ昨日の夜も遠藤さん達とあのゲームでもしてたんだろ?このモテ男め!!

眠たいからか、ノロノロと歩く〇〇に声をかけたのは2人の少年達だった。

〇〇:お、夏樹と佑助……おは、うぶぁっ!!

挨拶を交わすため声のした方に〇〇が振り返ろうとその瞬間、1人の少女が〇〇と衝突した。

??:おはよう!〇〇先輩!!

衝突したと言うより、飛び込んで来たのだった。

〇〇:いてて……って咲月!朝一から何してんの?!

咲月:えへへ、駅降りたら〇〇先輩の後ろ姿が見えたから嬉しくなっちゃって…へへ//

そう言って、咲月は照れながら弁明をする。

〇〇:い、いや…それでも…

咲月:ごめんね〇〇先輩…今度からは気をつけるからさ…嫌いに……ならないで?

そう言って、少し悲しそうな顔をした咲月は〇〇の手を握り、上目遣いを駆使しそう言った。

〇〇:ば、ばかっ…なんでこんな所で手繋いでんだよ//

周りの目を気にするような様子で〇〇は、咲月に繋がれた右手を早急に引っ込めた。

咲月:もう、ケチ!みんなに見せつけたかったのに〜

〇〇:はぁ…相変わらず俺の事を揶揄いやがって

咲月:揶揄ってなんかないよ!私は昔から〇〇先輩の事が大っっっっっ……好きなんだよ!!

〇〇:……あっそ//

咲月:あっ、〇〇先輩照れた!可愛い…好きぃ…

〇〇:もう!いいからさっさと行くぞ!

揶揄われながらも、〇〇は咲月を上手く誤魔化しながら学校方面へと誘導していた。

夏樹:あいつ1年の咲月ちゃんとも幼馴染なんだって

佑助:美人なお姉さんと二人暮らしの上に、遠藤さんと賀喜さんと筒井さんに気に入られ、しまいには1年のマドンナ菅原咲月と幼馴染…

佑助:あいつ、前世にどんな徳を積んだんだろうな…



さくら:〇〇くん!やっとお昼だね!一緒に食べよ!!

4時間目の授業が終わる合図であるチャイムが鳴ると同時に、隣の席に座るさくらはそう言った。

あやめ:相変わらずさくちゃんはお弁当が好きだね笑

遥香:通話中でもずっとお菓子食べながらだしね笑

そう言って、あやめと遥香もお弁当を持ち、いつも通り〇〇の席の周りに集まる。

さくら:だってお腹空いちゃうんだもん!!

〇〇:ふふっ、まぁ遠藤さん細いんだし、よく食べるところも可愛いし、いいじゃん笑

さくら:あ、う、そ、それより!早く食べよ//

思わぬタイミングで誉められたさくらは、頬を赤く染めた事を誤魔化すため、机の向きを急いで変えた。

そして机を並び終え、お弁当箱を開こうとしたその瞬間の事だった。

咲月:〇〇先輩ー!お昼ご飯!一緒に食べよ!!

そこに現れたのは、またもや彼女だった。

〇〇:げっ、咲月……また来た…

男1:あ、あれはいっ、1年生のマドンナの菅原咲月殿!

男2:ぐぬぬ…またもや黒川氏とマドンナが仲良くなってるでござる……

咲月:ねぇ!ねぇ!〇〇先輩〜、早く一緒に食堂いこーよー

そう言って、咲月は〇〇の袖を何度も引っ張る。

〇〇:バカ言え、俺には弁当がある!だから食堂まで行く必要はない!

〇〇:それに今日はみんなと…

そう言いかけた時だった。

咲月:あの〜、先輩方…本当に申し訳ないんですけど、今日だけ…今日だけ…〇〇先輩…借りても良いですか?

涙目を浮かべ、上目遣いをうまく駆使するようにさくら達3人組を下から見上げた。

さくら:う、うぅっ…かわいぃ…

遥香:ダ、ダメ!この上目遣いなんでも言うこと聞いてあげたくなる!!

あやめ:本当君たちは可愛い子に弱いね

あやめ:ま、いいよ。今日は君に〇〇くんを譲るよ。だから2人で楽しんでおいで

そう言うと、あやめは〇〇を押し出すように咲月に差し出した。

〇〇:ちょっ、ちょっと!筒井さん?!

あやめ:行ってらっしゃい、〇〇くん

咲月:ありがとうございます!遠藤先輩!賀喜先輩!あと…あやめ…先輩…//

咲月:さ!行きましょ!〇〇先輩!

〇〇:もう…分かったよ。その代わり食堂行っても俺弁当あるから何も奢んないよ?

咲月:構いませんよ?私は先輩がいれば笑

咲月は深く頭を下げた後、赤く照れた表情を隠すようなすぐさま〇〇を連れ教室を去った。

あやめ:あの子……やべぇな……//

さくら:あやめん、後輩の子に名前呼びされるのが憧れだって言ってたもんね…

遥香:なんだかんだあやめちゃんも負けたみたいだね笑



咲月:じゃあ!いただきまーす!!

両の手を合わせ、胸の前に掲げると、咲月は勢いよくそう言った後、目の前の弁当に食らいついた。

咲月:んっ、おいしいー!

無邪気にご飯を頬張る咲月の姿が目に入ると、〇〇は自然と笑いが溢れていた。

〇〇:ふふっ、あははは

咲月:えっ、な、なんですか?私顔になにかついてます?

不意に笑われた事の原因を理解できない咲月は顔に米などが付いていないかを確かめた。

〇〇:あぁ、ごめんごめん。そうじゃなくて…

〇〇:そういや咲月は昔からご飯食べる時、いつも美味しそうに食べてたなぁ…って思ってさ

咲月:そうですよ!私、〇〇先輩とご飯食べてる時はなんだって美味しく感じますからね!!

隙あらば思わせぶりをするような言葉を使い、〇〇の反応を見て揶揄うつもりだったのだろう。

だからこそ〇〇の焦った反応ではなく、静かに、そして明るい、そんな笑顔に見つめられ、咲月は動揺した。

咲月:あ…えっと…〇〇…先輩?

〇〇:ごめんな、咲月

〇〇:最近、色々合ったからか昔みたいに咲月と遊びに行ったりとかしてなかったな

咲月:……

〇〇:今日久々に咲月とご飯食べて思ったよ

〇〇:10年以上経っても、俺に懐いてくれてありがとう

〇〇:この気持ちが咲月と同じものなのかはわからないけど……俺も咲月の事大切に思ってるよ

〇〇:だからまた、お昼ご飯食べよう、咲月

咲月:うん!!食べる!!

咲月:えへへ!〇〇先輩やっぱり好き!

〇〇:はいはい、もうその手には乗りません〜

咲月:もう〜、本当なのに〜

2人は、束の間の昼休みを楽しんだ。



咲月:……するとね、先輩がそう言ったんだよ!ほんと……カッコ良すぎない?!カッコ良すぎるよ!〇〇先輩って!!

数々のスナック菓子やチョコレート、ジュースを机に並べた部屋で咲月は1人の友人にそう話す。

??:ふぅん、確かに良い先輩だね…

咲月:だよねだよね!!やっぱり和もそう思う?

和:うん、すごく良い人だと思うよ?

和:(今すぐにでも咲月と付き合って、その他の女との関係を切れば…だけど…)

和:(話の限りでは仲の良い女が3人いるな…咲月の話的にまだ女の陰がありそうだね…)

咲月:ふふっ、和にもいつか紹介出来たらなぁ…

和:そうだね、私も会ってみたいよ

和:(黒川〇〇…覚悟してなよ。まずはあんたの周りの女全部刈り取ってやる)

心の中で真っ黒な思惑を浮かべた、菅原咲月を愛してやまない井上和は、一つの行動に出る。

和:ほんと…会うのが楽しみだよ…

咲月:(あっ、すっかり忘れてたけど…あの手を繋いでた女の人誰なんだろ…)

…to be continued

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