刑法等の一部を改正する法律案(交付日令和4年6月17日)

色々書きますが、全体的に弁護士法人ルミナス法律事務所の中原先生の記事が分かりやすいと思いました。

https://luminous-law.com/news/14576/

以下、少し調べたり、思ったりしたことをつらつらと。

✅侮辱罪の厳罰化(施行済) 1条と附則第3項は令和4年7月7日から施行
第1条
第二百三十一条中「拘留又は科料」を「一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は 拘留若しくは科料」に改める。

(検証)
附則第3項
「政府は、第一条の規定の施行後三年を経過したときは、同条の規定による改正後の刑法第二百三十一条 の規定の施行の状況について、同条の規定がインターネット上の誹謗中傷に適切に対処することができているかどうか、表現の自由その他の自由に対する不当な制約になっていないかどうか等の観点から外部有 識者を交えて検証を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」

✅法定刑の引き上げにより、公訴時効が3年に(刑事訴訟法250条2項6号・7号)

2020年に女子プロレスラーの方がSNSで中傷され、自ら命を絶ったことから厳罰化の議論が進む。投稿者は科料9000円の略式命令?
量刑を重くしたのみで誹謗中傷が減るのかは個人的に疑問。

✅拘禁刑の創設(3年後に施行?)
刑務作業が義務付けられている懲役と義務付けられていない禁錮を一本化。
第2条3項「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うこと ができる。」

犯罪を犯した者に対する改善、更生を図るということは、これまで行われていたプログラム等では不十分だったということか。10年ほど前に某刑務所見学をしたときには、刑務官とのお話を通じても刑務所が更生を図る場とはあまり感じられなかった。

✅弁当切りができなくなった
奥村徹弁護士の見解の記事も詳しい。分かりやすさは中原先生の記事か。

「第二十七条に次の五項を加える。
2 前項の規定にかかわらず、刑の全部の執行猶予の期間内に更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるもの に限る。)について公訴の提起がされているときは、同項の刑の言渡しは、当該期間が経過した日から 第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しが取り消されるこ とがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、引き続きその効力 を有するものとする。この場合においては、当該刑については、当該効力継続期間はその全部の執行猶 予の言渡しがされているものとみなす。」

「4 第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行 猶予の言渡しがないときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければな らない。ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合に おいて、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。」
「5 第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の全 部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。」

修習を経たはずなのに初めて弁当切りという単語を知りました。
では、後の刑が罰金以上でなければ引き続き、弁当切りはできる?(あまりそういう事案がなさそう?)

✅再度の執行猶予の適用範囲の拡張
⑴再度の執行猶予(刑法25条2項)を付すことができるのが、「1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け」たときから、「2年以下の拘禁刑」になり、拡張された。
⑵現行法では、保護観察中に再度犯罪を犯してしまった場合、再度の執行猶予はつけられなかったが(刑法25条2項ただし書)、再度の執行猶予をつけられるように。

「2拘留に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことが できる。
第二十五条第一項中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第一号及び第二号中「禁錮」を 「拘禁刑」に改め、同条第二項中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に、「一年以下の懲役又は禁錮」「二 年以下の拘禁刑」に改め、同項ただし書中「ただし」の下に「、この項本文の規定により刑の全部の執行 を猶予されて」を加える。」


一部改正法が読みづらくて苦労しました。
趣味の範囲でやったことなので、もうやらないかも。



いいなと思ったら応援しよう!