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【感想】第10回 べあー杯 振り返り(Day1 チーム戦編)

 こんにちは、配信のメインカメラを担当していたT2-Kです。選手がそれぞれの想いを抱えて挑む姿、それを余すことなくカメラに収めるのは本当に難しいです…
 早速ですが関東を代表するIIDX非公式大会としてすっかり定着した第10回 べあー杯の試合の感想について語っていきます。こちらの記事ではDay1 チーム戦の振り返りをしていきたいと思います。長文になってしまいますが、お付き合いいただければと思います。

第10回べあー杯 出場者紹介

第10回 べあー杯 について(べあーさんのnote)


Day1:チーム戦

beatmania IIDX 大会 第10回 べあー杯 チーム戦 in 神奈川レジャーランド厚木店

 今回のDay1はドラフトで選ばれたチームでの戦いとなりました。プロ経験者・ドラフト候補者もいる超強豪揃いから生まれた6チームはどれも個性豊かで実力伯仲。どのチームが勝ち上がるか予想不可能でした。

Aブロック

第1試合
the WESTERNS vs Count on us

 第10回べあー杯初戦を飾るのは、大会経験豊富な大分勢+韓国からの新たな刺客からなるthe WESTERNSと、数々の大会で実績を積み上げてきた請負人揃いのCount on usの対決となりました。ジャンルは少々クセモノですが、大会の開幕戦にはぴったりのメンバーでの戦いとなりました。

1st match -CHARGE-
JMJ* vs TIHAYA

選曲
JMJ*:ATOMIC AGE
TIHAYA:Sunny Day Vibes
試合結果:DRAW

 1st matchは韓国からの超新星JMJ*選手低難易度の番人TIHAYA選手の対決となりました。大会経験豊富なTIHAYA選手に対し、JMJ*選手の実力は全くの未知数。Lv8-10 CHARGEという様々な選択が取れるジャンルで一体どんな選曲を仕掛けるのでしょうか。
 JMJ*選手が選択したのはなんと後半の尋常でないズレを光らせるスキルが問われるATOMIC AGE大会初参戦とは思えない強気の選曲に解説席は騒然。R-RANで仕上げてきたJMJ*選手はズレの入りこそTIHAYA選手に差をつけられてしまったものの、すぐにリカバーして終盤のズレをしっかり取り切り3点差で勝利となりました。TIHAYA選手は自己ベストとベストを尽くしたものの、いきなりJMJ*選手が強さを見せる結果となりました。
 TIHAYA選手はJMJ*選手とは正反対のBPM185で整った乱打を叩かせるSunny Day Vibesで精度勝負を仕掛けました。両者正規系で真っ向勝負ですが、序盤から丁寧に取ってスコアを伸ばしたTIHAYA選手が終始リードを保って勝利となりました。JMJ*選手は立ち上がりこそ僅差で追いかけたものの、整った配置を得意とするTIHAYA選手が安定感を見せたことで、1st matchは引き分けとなりました。

2nd match -SOF-LAN-
HINATA vs HAKU0

選曲
HINATA:罪過の聖堂
HAKU0:Surf on the Light
試合結果:HINATA WIN!!

 あまりにも熱すぎる戦いで幕を開けた第10回べあー杯、続いて戦うのは西の技巧派HINATA選手自由自在の戦い方を持つHAKU0選手となりました。戦うジャンルはLv10 SOF-LANと超危険地帯ですが、経験豊富な両者はどんな戦い方を見せるでしょう。
 HINATA選手の選曲はTHE・SOF-LANの極致である罪過の聖堂。立ち上がりこそ横並びだったものの、すぐにHINATA選手が縦連前で30点ほどのリードを確保すると、サビ前でさらに点差を離してAAAで勝利となりました。HAKU0選手もしっかりついていったものの、ここは自選のHINATA選手が終始優位な展開を維持することとなりました。
 HAKU0選手はHINATA選手とは真逆の細かい24分フレーズと最後の減速が要注意のSurf on the Lightを選択。お互いR-RANでの戦いとなりましたが、序盤はHAKU0選手が少しリードする展開となりました。しかし中盤でHINATA選手が差を詰めると、そこからは1点も落とせない心臓勝負に。そして運命のラストではHINATA選手が追い抜いた…もののHAKU0選手が意地の同点フィニッシュ。結果としてはHINATA選手が勝利ですが、HAKU0選手がチームにポイントを持ち帰ることができたのは不幸中の幸いだったのではないでしょうか。

Final match -SOF-LAN-
K-JET. vs HINO38

選曲
K-JET.:FUTURE is Dead
HINO38:(This Is Not) The Angels
試合結果:DRAW

 the WESTERNS優位で迎えたFinal Match、いよいよ大将K-JET.選手が登場となりました。対するCount on usはガチ押しウォリアーHINO38選手がチームを背負う重要ポジションを任されることに。クセモノ揃いのLv11 SOF-LANで両者戦いに挑みます。
 K-JET.選手は微妙なズレハネに2回の加減速への対応が難しいFUTURE is Deadを選択。勝負は前半のズレでK-JET.選手が16点ほどリードを確保する展開となりましたが、加速・減速でHINO38選手が10点ほど取り返す…もののすぐにK-JET.選手が突き放して勝利となりました。K-JET.選手の安定感はもちろん、一発で解説陣を驚かせるスコアを出せてしまうところも恐ろしいです。
 HINO38選手は持ち前のガチ押し力を活かせる絶妙な密度の低速乱打に何度も来る停止への対応が難しい(This Is Not) The Angelsを選びました。HINO38選手は序盤からコンボブレイクをしてしまったものの、驚異的な精度でK-JET.選手との差をどんどん離していき終始10点ほどのリードを保って勝利となりました。HINO38選手としては少し下振れたかのような雰囲気がありましたが、しっかりと得意分野で実力を発揮する強さには貫録を感じました。

 結果は12-9でthe WESTERNSの勝利となりました。Count on usは全員がポイントを獲得したものの、やはり2nd matchのHINATA選手の活躍が響く形となりました。the WESTERNSはそこに加えて大会初参戦のJMJ*選手がいきなりポイントを獲得したことが追い風になった面もあったかもしれません。

第2試合
Count on us  vs 本厚木.com

 初戦を黒星で終えてしまったCount on us。何とか取り返したいですが、相手はこれまた大会経験豊富かつ多方向に強みを持つ選手で構成された本厚木.comと強敵に。早くも追い込まれたCount on usが希望を繋ぐか、それとも本厚木.comが実力を見せつけてくるのでしょうか。

1st match -NOTES-
TIHAYA vs GOLUSI

選曲
TIHAYA:シンデレラ
GOLUSI:Get Up! feat. Kanae Asaba
試合結果:DRAW

 初戦はNOTESと精度勝負になるジャンル、出場するのは安定感抜群のTIHAYA選手と、厚木レジャの番人GOLUSI選手となりました。ともに精度勝負はお手の物、一瞬たりとも気の抜けない戦いとなりそうです。
 TIHAYA選手はBPM178の綺麗なスクラッチ絡みの乱打を叩かせるシンデレラを選択。TIHAYA選手は正規、GOLUSI選手はMIRRORを選びましたが、スクラッチ絡みでTIHAYA選手がジワリと先行していくと、その後GOLUSI選手が少しずつ追いかけてきたものの最後まで差をキープしてMAX-18で勝利となりました。GOLUSI選手は自己ベスト-4点とかなり好スコアだったはずですが、TIHAYA選手の隙の無いプレーが上回りました。
 GOLUSI選手は低速ながら跳ねたリズムがスコア難となるGet Up! feat. Kanae Asabaを選びました。お互いR-RANを選択、先ほどと大きくBPMが異なり判定を合わせるのが難しい中、GOLUSI選手が序盤からズレをしっかり光らせていき大幅リード。その後も快調にスコアを伸ばし、MAX-22で勝利となりました。自己ベストタイという安定感、GOLUSI選手の調子の良さが伺えます。

2nd match -CHARGE-
HINO38 vs IGW.

選曲
HINO38:Arcana
IGW.:ないないルーティン
試合結果:DRAW

 引き分けで迎えた2nd match、Count on usからはHINO38選手が登場しましたが、ここで当たるのは本厚木の帝王IGW.選手。ジャンルはLv10 CHARGEといかにもIGW.選手のフィールドですが、HINO38選手はここでポイントを稼げるでしょうか。
 ガチ押しを得意とするHINO38選手はここで開幕のトリルが要注意の中速譜面であるArcanaを選択。HINO38選手はMIRROR、IGW.選手はR-RANとオプションが分かれましたが、R-RANのトリルの配置はよかったものの、HINO38選手はトリルをGREAT1個で通過する精度を発揮。しかしすぐにIGW.選手がリカバーすると、徐々に逆転してIGW.選手が前に出ることに成功。最後は5点差を守り切ったIGW.選手がカウンターとなりました。ここにきて自選を取られてしまったHINO38選手、チームにとってもかなりの痛手になってしまいました。
 IGW.選手は密度のある乱打にスクラッチ複合、序盤・終盤のチャージと油断ならない要素が多いないないルーティンを選択。HINO38選手はMIRROR、IGW.選手は正規とオプションが分かれましたが、先ほどの好調を引き継ぐIGW.選手がいきなりリードを作ったものの、後半のスクラッチ複合でHINO38選手が追い上げ、1点差でギリギリ逆転勝利となりました。最後の最後で望みを繋いだHINO38選手の活躍により、2nd matchも引き分けとなりました。

Final match -CHARGE-
HAKU0 vs INARI

選曲
HAKU0:Perfect Plan
INARI:Energy Drive
試合結果:DRAW

 連続の引き分けで追い込まれたCount on us、ここはリーダーHAKU0選手で勝負に行きます。ただここはLv11 CHARGE、すなわちCHARGEの名手INARI選手が出番となりました。HAKU0選手がリーダーの意地を見せるのか、それともINARI選手が自分のフィールドで強さを見せるのか…
 HAKU0選手は激しいズレ鍵盤がチャージノーツとともに降り注ぐPerfect Planを選択。HAKU0選手はRANDOM、INARI選手はMIRRORを選びましたが、ズレ系を得意とするHAKU0選手が厳しい配置にもかかわらず序盤から大きくリードしていき、INARI選手を大きく突き放して勝利となりました。チャージノーツがかなり取りづらい中、しっかりと鍵盤精度を保ったHAKU0選手の強さが光っていました。
 INARI選手は繰り返しのチャージ複合乱打をキープする力が問われるEnergy Driveを選びました。HAKU0選手はMIRROR、INARI選手は正規になりましたが、序盤の難しいリズムや綺麗な配置をINARI選手がことごとく光らせていき、ここで作ったリードを最後まで保ち切ってMAX-15で勝利となりました。CHARGEを得意とするINARI選手ですが、職人技ともいえる完璧なプレーは見事でした。

 結果は9-9で引き分けとなりました。Count on usは要所で強さを見せているものの、1分1敗は不完全燃焼気味だったかもしれません。対する本厚木.comはメンバー全員が好調を見せており、次の試合に向けて良い感触を持てたのではないでしょうか。

第3試合
本厚木.com vs the WESTERN

 初戦を引き分けで終えた本厚木.com、勝ち抜けるためには引き分け以上が条件です。対するthe WESTERNは準決勝進出が決まっているものの勝って終わりたいところ。それぞれの思惑を胸に、Aブロック最終戦が始まります。

1st match -SCRATCH-
GOLUSI vs HINATA

選曲
GOLUSI:Do Back Burn
HINATA:bass 2 bass
試合結果:DRAW

 Lv8-10 SCRATCHは人によってアプローチが分かれるジャンル。GOLUSI選手はあまりスクラッチのイメージがない一方、HINATA選手はなんでもござれの万能型。お互いどのようなアプローチを仕掛けるか注目でした。
 GOLUSI選手はテクニカルなBSS・MSS複合の処理が非常に難しいDo Back Burnを選択。GOLUSI選手はRANDOMにする一方、HINATA選手は正規と分かれましたが、開幕はHINATA選手が少し前に出てきました。しかし鍵盤が多くなったところでGOLUSI選手が並ぶと、MSS地帯で厳しい配置を引いたGOLUSI選手が最後の最後で2点捲り上げて勝利となりました。HINATA選手は最後まで安定感があったものの、最後のMSS絡みで一気にGOLUSI選手が差したのは衝撃的でした。
 HINATA選手は真っ向からスクラッチ勝負を仕掛けるラップ合わせの16分スクラッチを丁寧に回すスキルが求められるbass 2 bassを選びました。GOLUSI選手はS-RAN、HINATA選手はMIRRORとこちらも分かれたものの、HINATA選手のスクラッチ精度が尋常でなく、圧倒的な精度で大きくリードしてあわや1900の高スコアを叩き出して勝利となりました。本番一発でこの精度を保ててしまうHINATA選手は流石としか言えませんね…

2nd match -NOTES-
INARI vs K-JET.

選曲
INARI:AWA AWA
K-JET.:Forgetting Machine
試合結果:INARI WIN!!

 2nd matchはLv10 NOTESと超精度勝負。ここで登場するのは精度勝負を得意とするINARI選手the WESTERNのリーダーK-JET.選手。両者変化球でも戦えるため、どのような選択をするか非常に面白い一戦となりそうです。
 INARI選手の選曲は終盤の減速が非常に失点しやすいAWA AWA。INARI選手はRANDOMの一方、K-JET.選手はMIRRORを選択となりましたが、開幕のズレを光らせたINARI選手が好スタートを切っていき、中盤の繰り返しでK-JET.選手が少し詰めてきたもののMAX-19で逃げ切り勝利となりました。K-JET.選手は固定オプションでかなり良いスコアだったと思いますが、序盤から高い精度を維持し続けたINARI選手、全く寄せ付けない圧巻のプレーでした。
 K-JET.選手はBSS複合やサビの細かいフレーズが要注意となるForgetting Machineを選びました。こちらもINARI選手はRANDOM、K-JET.選手はMIRRORとなりましたが、勝負は当然横並びに。しかし終盤のズレで少しだけリードをつけたINARI選手がわずか4点差を制して勝利。K-JET.選手はかなり手ごたえがあったはずですが、MAX-18と非常に高いスコアを叩き出したINARI選手の活躍で本厚木.comが2タテを決めてきました。

Final match -PEAK-
IGW. vs JMJ*

選曲
IGW.:Get Higher
JMJ*:Farewell to Marrakech
試合結果:IGW. WIN!!

 大きく有利な状況となった本厚木.com、ここはリーダーIGW.選手で締めたいところ。対するthe WESTERNSはJMJ*選手で2タテを狙いにいきます。この2チームに加えてCount on usの運命すら抱えたAブロック最終戦の最終戦、熱くならないわけがありませんでした。
 IGW.選手は再びEPOLISから24分、チャージ、スクラッチ複合、2連打、軸、トリルと要素が満載のGet Higherを選択。IGW.選手は正規で仕上げており、序盤こそJMJ*選手にリードを譲ったものの中盤のズレ混じりの階段で一気にスコアを伸ばしていき、最後のトリルもしっかり光らせてMAX-37で勝利となりました。JMJ*選手はNO PLAYだったことから不意を突かれた選曲だったのも苦しかったです。IGW.選手は少しFASTに寄ってしまったのが不満だったようですが、後半でしっかり判定を合わせてきたのがよかったです。
 JMJ*選手は終始ズレまくりなうえ高速トリルが厄介極まりないFarewell to Marrakechをぶつけてきました。両者R-RANを選んだものの、バスが4番に来る微妙な配置で嫌な予感に。ズレが多い譜面ながら横一線の勝負となりましたが、ブレイク前からIGW.選手が少しずつ前に出て、必死に追いかけるJMJ*選手を振り切り7点差で逃げ切りとなりました。難しい配置ながらしっかりとパフォーマンスを出したIGW.選手は2タテでブロック戦を締める嬉しい結果となりました。

 結果は16-2で本厚木.comの勝利となりました。大会経験豊富な本厚木.comの強さが大きく光った試合であり、非常にいい感触で準決勝に挑める気持ちになったと思います。そしてthe WESTERNSは苦しい結果になったものの、勝ち点でCount on usを上回り2位で準決勝進出となりました。Count on usにとっては悔しい結果ですが、彼らの想いも背負って準決勝に挑んでいくでしょう。

Bブロック

第1試合
紅雪 vs SKMZ is The Answer

 Bブロック第1試合はSOF-LAN・SCRATCH・SCRATCHと地獄のジャンルとなりましたが、そんな癖曲こそ己のフィールドとする紅雪三者三様の個性を持つSKMZ is The Answerがこの修羅の地で戦うこととなりました。紅雪が有利な場面、若手揃いのSKMZ is The Answerが意地を見せられるでしょうか。

1st match -SOF-LAN-
YULI vs SIZURU

選曲
YULI:PARANOIA survivor MAX
SIZURU:Surf on the Light
試合結果:YULI
WIN!!

 Lv8-10 SOF-LANと言えばYULI選手の圧倒的なフィールドであり、かつSIZURU選手がフルに強みを活かせるフィールドです。すなわち職人同士による真っ向勝負、どんな癖曲も仕上げる超人同士の超絶技巧がいきなりみられることとなりました。
 YULI選手はSOF-LANを得意とするSIZURU選手を刺しに行くためか、トリル混じりの高密度鍵盤に何度も来る急減速が非常に難しいPARANOIA survivor MAXを選択。YULI選手は正規、SIZURU選手がMIRRORを選択となりました。開幕はSIZURU選手が高い精度で進んでいきましたが、低速のたびにジワジワとYULI選手が差を詰めていき、サビに入るころには25点ほどリードを確保。その後も最後までしっかり繋いでフルコンボで勝利となりました。いきなり職人らしいプレーを見せたYULI選手、SOF-LANを得意なSIZURU選手をしっかりと刺す選曲をしてきました。
 SIZURU選手もまたYULI選手を刺すべく、道中の細かいフレーズと最後の減速に注意のSurf on the Lightと意外な選択となりました。SOF-LAN勝負では不利と見たSIZURU選手はMIRRORで精度勝負を仕掛けたものの、YULI選手が高い精度で飛ばしていき、最後の減速で追いつかれそうになったものの、7点差で振り切り2タテとなりました。SIZURU選手は最後の減速で完璧な対応を見せたものの一歩及ばず、悔しい結果になってしまいました。

2nd match -SCRATCH-
U*PAFE vs TEMIKO

選曲
U*PAFE:Just a Little Smile
TEMIKO:Overload Frontier
試合結果:U*PAFE WIN!!

 2nd matchは高難易度の鍵盤譜面を得意とする選手同士の対決となりました。ただLv11 SCRATCHはスクラッチに特化した譜面こそあるものの、鍵盤主体の曲もそれなりにあるため、ここは鍵盤寄りの対決になるだろうと思われました…
 ですが、ここでU*PAFE選手から切られた曲はなんと不規則リズムのスクラッチ複合が精度を乱すJust a Little Smileでした。U*PAFE選手は正規スクラッチができないと厳しいオプション選択をしており、誰でもできるという発言を撤回すべきレベルでハチャメチャな精度を見せつけてMAX-66で勝利となりました。TEMIKO選手は自己ベストではありましたが…U*PAFE選手、あまりにも最強麺類です。
 TEMIKO選手は鍵盤力を活かせる鍵盤に絡む裏拍の8分スクラッチが難しいOverload Frontierを選択。ただ鍵盤譜面はU*PAFE選手も得意とするところで、正規を選んでしっかり対応。TEMIKO選手を一切寄せ付けぬままMAX-46を叩き出して勝利自己ベスト+20、大台の2600を余裕でぶち抜き解説陣を驚かせたU*PAFE選手の大活躍により、紅雪が連続で2タテのままFinal matchに移ります。

Final match -SCRATCH-
STRNGI vs ANSA

選曲
STRNGI:Red. by Full Metal Jacket
ANSA:バッド・スイーツ、バッド・ドリーム
試合結果:DRAW

 第1試合のFinalは名古屋対決、すなわちお互いの手の内をよく知る者同士の対決となりました。SCRATCHと言えばSTRNGI選手の得意中の得意ではありますが、万能戦士ANSA選手は決して苦手ではない分野。お互いのスタイルを前面に押し出した対決となりました。
 STRNGI選手は当然スクラッチで直球勝負。選んだのは16分の規則スクラッチとそこに絡む鍵盤の正確な処理能力が問われるRed. by Full Metal Jacketとなりました。チーム名に絡めた選曲ですが、ガチガチ本気のSTRNGI選手は開幕の鍵盤で許してしまったリードをスクラッチで一気に取り返し、そのままANSA選手を抜き去って3100点を超えて勝利となりました。SCRATCHでRESIDENTを達成しているSTRNGI選手らしいプレー、少しFASTに寄った部分はあったかもしれませんが非常に安定感のあるものだったと思います。
 ANSA選手はBPM220の高速鍵盤に容赦なくスクラッチやCN・BSSが飛んでくるバッド・スイーツ、バッド・ドリームを選びました。開幕の鍵盤から尋常でない精度で進むANSA選手は一度作った点差をしっかりと保っていき、25点前後の点差を保ち続けたまま終盤のラッシュに突入、そこからさらに点差を広げて自己ベスト-9点を叩き出して勝利となりました。STRNGI選手選手も自己ベスト-14点とかなり競ったものの、ここはANSA選手が上回る結果となりました。

 第1試合は14-4で紅雪の勝利となりました。YULI選手の職人っぷり、U*PAFE選手の破壊的なプレー、STRNGI選手の意地すべてが光った試合だったと思います。SKMZ is The Answerもプレー内容は決して悪くなかったはずですが、あと一歩に泣かされてしまいました。

第2試合
SKMZ is The Answer vs 影廊犬

 ここでなんとか勝利を掴みたいSKMZ is The Answer、相手は多種多様な武器を持つ実力者が集う影廊犬となりました。SKMZ is The Answerは勝ってホラゲを回避希望を繋ぐのか、それとも影廊犬がSKMZ is The Answerの猛攻を止めてしまうのか、第1試合とは異なり癖の少ないジャンルで戦います。

1st match -CHORD-
ANSA vs KIRISY

選曲
ANSA:50th Memorial Songs -Beginning Story-
KIRISY:Calvados Queen
試合結果:DRAW

 ANSA選手はBPLプロ時代に何度も経験したLv8-10 CHORD、当然課題曲への理解は深いでしょう。ただ相手は精度勝負の名人KIRISY選手、どんな選曲を仕掛けてくるかは未知数です。奇しくも愛知対決となったこの試合、どんな対決となったのでしょうか。
 ANSA選手は様々な形・リズムの譜面をメドレー形式で叩かせる50th Memorial Songs -Beginning Story-を選択。ANSA選手は正規の一方、KIRISY選手はRANDOMとなりましたが、KIRISY選手が高い精度で進んでいく中がんばれゴエモン地帯でANSA選手いったん逆転するもすぐにKIRISY選手が取り返し、グラディウス地帯でも高い精度を発揮してKIRISY選手がMAX-41でカウンターとなりました。自己ベスト+37点というパフォーマンスはもちろん、ANSA選手が仕掛けた戦略に正面から叩き切ってしまうKIRISY選手の強さが恐ろしいです。
 KIRISY選手はハネたリズムに中盤のトリルが精度難のCalvados Queenを選びました。ANSA選手が「嫌い!」と叫ぶほどのトラウマ曲ですが、MIRRORで仕上げたKIRISY選手は終始安定感のあるプレーをしたものの、RANDOMで好配置を引いたANSA選手が信じられない精度でハネ・トリルを捌いてしまいMAX-26を叩き出してカウンターとなりました。自己ベスト-4点の安定感、ANSA選手最大の強みである本番力を存分に発揮したことで、1st matchはクロスカウンターとなりました。

2nd match -PEAK-
SIZURU vs RIN

選曲
SIZURU:Angelic Jelly
RIN:Beastie Starter
試合結果:DRAW

 第1試合では苦しい結果となったSIZURU選手、ここで当たるのはスクラッチを中心に広い分野で強みを持つRIN選手とまたも強敵。しかしどんな強敵でもワンチャンスを通すのがSIZURU選手の強いところ、RIN選手を刺す必殺の武器を磨き上げてきました。
 そんなSIZURU選手が選んだのは何度も来る二重トリル、終盤のトリルが失点ポイントのAngelic Jelly。お互い正規での対決、やはりお互い運指を組んで二重トリルを処理してきましたが、自選のSIZURU選手はここだけでリードを作る強さを見せ、その後の二重トリルでもさらにリードを広げて快勝となりました。まさに癖を以て癖を制す完璧なプレー、爽快感すら感じさせます。
 RIN選手はなんと似たような危険譜面のしつこいくらい続くトリルに軸が精度を狂わせるBeastie Starterを投げつけました。こちらもお互い正規ではありますが、序盤こそRIN選手が抜け出したものの、トリル地帯でSIZURU選手が一気にまくり上げ…るかと思いきやRIN選手が再逆転と大変な展開になりました。そして最後のトリルでもデッドヒートが繰り広げられましたが、RIN選手が7点差で逃げ切り勝利となりました。点差グラフの乱れっぷりからも激戦だったことが想像できるこの試合、お互いの癖譜面をぶつけ合い引き分けで決着となりました。

Final match -NOTES-
TEMIKO vs PAYA

選曲
TEMIKO:perditus†paradisus
PAYA:Scripted Connection⇒ A mix
試合結果:DRAW

 いよいよLv12 NOTES、ここはもちろんTEMIKO選手、PAYA選手の得意中の得意フィールドとなっています。お互い高密度鍵盤譜面が得意としていますが、高難易度になればなるほど強いTEMIKO選手と精度勝負も得意なPAYA選手はそれぞれどんな選曲を仕掛けるのでしょうか。
 TEMIKO選手はガチガチの高難易度譜面であるもはや何分かわからないごちゃごちゃした譜面が絶え間なく降り続けるperditus†paradisusを選択。RANDOMで出てきた譜面は非常に嫌な予感がするものになりましたが、なんと点差が開かないデッドヒートに。ただサビ前から徐々にTEMIKO選手が押していき、27点差をつけて勝利となりました。厳しい配置でも得意分野で強みを見せるTEMIKO選手、かなり手ごたえのあるプレーだったと思います。
 PAYA選手はTEMIKO選手と趣向を変えて中盤の繰り返し→5連打が運命の分かれ目となるScripted Connection⇒ A mixを選択。中速乱打や縦連を得意とするPAYA選手はR-RANを選択し、RANDOMで当たり譜面を引いたTEMIKO選手相手でも縦連で一気に大きく差をつけてMAX-47を叩き出して勝利となりました。TEMIKO選手は自己ベスト更新したものの、PAYA選手の縦連力に敗れる悔しい結果となりました。

 結果は9-9で引き分けとなりました。SKMZ is The Answerは1分1敗で悔しい結果に終わってしまいましたが、各選手の強みをアピールできたことはよかったかもしれません。影廊犬はまずは悪くない立ち上がりを決められたので、次戦に向けて感覚を掴めたのではないでしょうか。

第3試合
影廊犬 vs 紅雪

 1戦目を引き分けで終えた影廊犬、続いて当たるのは職人集団紅雪です。紅雪はすでに1勝を取っているため準決勝への進出条件は満たしていますが、影廊犬は6pt以上取得が絶対条件。準決勝へ進むべく、影廊犬が恐怖のドン底に落とすべく紅雪に牙を剥きます。

1st match -PEAK-
KIRISY vs YULI

選曲
KIRISY:alla turca con passione
YULI:BABY LOVE
試合結果:KIRISY
WIN!!

 1st matchは各チームの職人が登場。精度勝負も変則手も打てるKIRISY選手に対し、Lv8-10 PEAKにおけるYULI選手はどのようなアプローチを仕掛けてくるのでしょうか。
 KIRISY選手は変拍子に縦連と対策必須のalla turca con passioneを選択。お互いRANDOMでの対決となりましたが、前半はやはり差がつかない展開となりました。しかし縦連が絡むタイミングでKIRISY選手が前に出ると、その後も差を離してMAX-26を叩き出し勝利となりました。縦連というスコアを安定させにくい要素がありながら自己ベスト-8点、KIRISY選手の本番力が炸裂しています。
 YULI選手の選択はシステムロマンス中速の乱打にスクラッチが絡むパートの処理が厄介なBABY LOVE。YULI選手が少しFASTに寄ってしまう中でKIRISY選手が序盤から判定を掴み大幅リード。後半でYULI選手が追い上げを見せたものの、前半に築いたリードを活かしKIRISY選手が8点差で逃げ切りとなりました。低難易度における壁と称されたYULI選手を正面から撃破したKIRISY選手が2タテを決め、影廊犬は絶好のスタートを切りました。

2nd match -CHORD-
PAYA vs STRNGI

選曲
PAYA:≡+≡
STRNGI:FREEDOM
試合結果:DRAW

 2タテで最高のスタートを切った影廊犬、ここでリーダーPAYA選手で一気に追撃を狙います。対する紅雪はSTRNGI選手で対抗しにいきます。PAYA選手が持ち前の高火力を見せるのか、それともSTRNGI選手がブザービートを決めることができるのでしょうか。
 PAYA選手は何度も来るトリル混じりの乱打が難しい≡+≡を選択。両者R-RANでの対決となりましたが、序盤のトリルからPAYA選手の精度が凄まじいものになっており、STRNGI選手が特に大きな失点をしていないにもかかわらず点差が広がる異常事態になってしまいました。終わってみればPAYA選手はMAX-12を叩き出してしまい、自己ベスト-4点の恐ろしいスコアで勝利となりました。STRNGI選手、特に悪いことをしていないのに29点も差をつけられたことに対し思わず笑ってしまいましたね…
 STRNGI選手はスクラッチ絡みや独特の配置の鍵盤が厄介なFREEDOMを選びました。PAYA選手はRANDOM、STRNGI選手は正規を選択しましたが、PAYA選手はここで白鍵盤が2356に来る嫌な配置を引いてしまいました。それでもSTRNGI選手と離されないプレーを見せましたが、正規で安定のプレーを見せたSTRNGI選手が最後に3点捲り上げて勝利となりました。PAYA選手は自己ベスト-1点と好プレーだったのですが、ここはSTRNGI選手の魂の一撃が決まり、2nd matchは引き分けとなりました。

Final match -CHORD-
RIN vs U*PAFE

選曲
RIN:Venom
U*PAFE:Elemental Creation
試合結果:U*PAFE WIN!!

 厳しい条件をクリアした影廊犬。ここで紅雪を恐怖のドン底に落とすべくRIN選手が登場です。対する紅雪はLv12でU*PAFE選手を召喚。フルパワーのU*PAFE選手相手に、RIN選手はポイントを取れるでしょうか。
 RIN選手の選択はBPM190で飛んでくる軸・トリルが悪意となるVenomとなりました。両者R-RANで正面衝突となりましたが、中盤の偏ったトリルでU*PAFE選手が前に出ると、そこから鍵盤の密度が上がるタイミングでどんどんU*PAFE選手がスコアを伸ばしていきMAX-65で勝利となりました。開幕こそRIN選手は高精度を発揮したものの、後半に行くにつれて配置がキツくなってしまいU*PAFE選手のフィールド寄りになってしまったのが苦しかったです。
 U*PAFE選手はとにかく高難易度譜面で勝負。選んだのはBPM212で襲い掛かる無慈悲な乱打に中盤の高速スクラッチ・縦連が悩ましいElemental Creationとなりました。序盤から容赦のない速度の鍵盤が飛んでくる中U*PAFE選手が涼しい顔でどんどん捌いていき、終盤の厳しい軸もしっかり捌いてあわや4100の好スコアで勝利となりました。連続で厳しい配置を引かされたRIN選手、2曲ともパフォーマンスは発揮できたものの苦しい戦いを強いられることになってしまいました。

 結果は7-11で紅雪の勝利連勝で1位通過となりました。
対する影廊犬は1分1敗でSKMZ is The Answerと並んだものの、獲得ポイント差で勝ち上がりとなり、激戦のBブロックを2位で通過しました。SKMZ is The Answerにとっては非常に悔しい敗退ですが、どの選手も確実に見せ場を作った非常に面白い戦いになったのがよかったと思いました。

準決勝

第1試合
本厚木.com vs 影廊犬

 準決勝第1試合は確実な強さでAブロック1位通過を決めた本厚木.comと、苦しい条件の中着実にポイントを取って2位通過となった影廊犬の戦いとなりました。ここからはジャンルフリー、各選手の強みをフルに活かしたぶつかり合いとなります。

1st match  
GOLUSI vs KIRISY

選曲
GOLUSI:Frozen Ray(original mix)
KIRISY:op.31 叙情
試合結果:KIRISY WIN!!

 1st matchは技巧派対決。ともにガチ押し・ズレハネに強く、単発で精度勝負となるとGREAT1つが命取りの死闘間違いなしでしょう。大事な一戦、ここでどのようなアプローチを仕掛けるか注目でした。
 GOLUSI選手の選択は緩急の激しい譜面に微妙なハネがいやらしいFrozen Ray(original mix)。両者R-RANでの対決、開幕から微ズレがいやらしい譜面ながらKIRISY選手が凄まじい精度でズレを光らせていき、GOLUSI選手の追撃を許さずMAX-22でカウンターとなりました。GOLUSI選手は難所をうまく対応しており感触は良かったはずですが、KIRISY選手の精度がここまでとんでもないものになるとは…
 KIRISY選手はここで切り札であるあまりにも目まぐるしい速度変化への対応力が問われるop.31 叙情を切ってきました。大会では必須科目とあり、当然GOLUSI選手も対策はしていますが、やはり自選のKIRISY選手の安定感が凄まじい…と思いきや加速でKIRISY選手がギアチェンミスをして横一線に。最終フレーズを0点差で迎えた中、減速する同時押しでなんとか4点差でKIRISY選手が逃げ切りに成功。思わず崩れ落ちてしまったKIRISY選手ですが、なんとか2タテを取ることに成功し影廊犬は好スタートを切りました。

2nd match
IGW. vs RIN

選曲
IGW.:OTOKOZAKA
RIN:Blaze it UP!
試合結果:DRAW

 1st matchの2タテで勢いをつけた影廊犬ですが、なんとか流れを取り戻したい本厚木.comからはリーダーIGW.選手が登場。この恐ろしい進撃に対し、影廊犬からRIN選手が対抗します。チームに有利な流れを作れるのはいったいどちらでしょうか。
 IGW.選手は中盤のトリル→ズレ混じりが脅威となるOTOKOZAKAを選択。IGW.選手は正規、RIN選手はRANDOMと分かれましたが、微妙な配置を引いたRIN選手が良いスタートを切りました。しかし中盤のトリルでIGW.選手が逆転すると、お互いトリル・ズレの難所を乗り切って横一線に。しかし最後は最終フレーズで高い精度を見せたRIN選手が再度逆転自己ベスト-1点の会心の出来も相まって、IGW.選手の自選をカウンターできたのは非常に嬉しい結果になったと思います。
 RIN選手はスクラッチ絡みの綺麗な乱打を叩かせるBlaze it UP!を選択。こちらは先ほどと打って変わってIGW.選手が好スタートを切りましたが、この点差が動かないどころかさらに広げていき、MAX-20でカウンターとなりました。自選こそ取られてしまったものの、持ち前の火力を出してクロスカウンターに持ち込んだIGW.選手、チームに希望を繋ぐことに成功しました。

Final match
INARI vs PAYA

選曲
INARI:Red. by Full Metal Jacket
PAYA:Verflucht
試合結果:PAYA WIN!!

 2タテが絶対条件となり追い込まれた本厚木.com、INARI選手が起死回生の一手を打ちに行きます。しかし相手は影廊犬のエースPAYA選手と非常に厳しい相手。過去のべあー杯で共闘した2人による、今のチームの運命をかけた戦いが始まります。
 INARI選手は本日2度目となるRed. by Full Metal Jacketを選択。こちらも正規系対決となりましたが、1回目のスクラッチ地帯では入りこそ接戦だったもののPAYA選手が少しリードで終えました。このリードが2回目のスクラッチ地帯でも縮まることなく保ち切ったことにより、なんとか14点差でPAYA選手が逃げ切り成功となりました。PAYA選手は決して得意ではないスクラッチ譜面でも自己ベスト-13点を出しており、本番での好調っぷりが伺えました。
 PAYA選手はここでトリル混じり・二重乱打まみれで忙しいVerfluchtを選んできました。RANDOMで引いた譜面は3バスながら中央にトリルが寄ったり二重階段地帯が左右に分かれていたりと悪くはない配置となりましたが、そんな譜面を終始ほぼ完璧に押し切ってしまったPAYA選手がMAX-49を出してしまい勝利となりました。INARI選手もMAX-96とかなり良いスコアだったはずなのですが、あまりにもPAYA選手の仕上がり方が尋常でなかったです。

 結果は3-15で影廊犬の勝利となりました。本厚木.comは大差で敗北するような内容ではなかったはずですが、悔しい敗戦となってしまいました。一方の影廊犬は本厚木.comの猛攻に対し3人が絶好調の高いパフォーマンスを見せつけての快勝、決勝に向けて非常に手ごたえがあったと思います。

第2試合
the WESTERNS vs 紅雪

 ブロック戦では三者三様の個性を見せつけたthe WESTERNSが挑むのは、Bブロックで連勝と勢いに乗る紅雪となりました。ここまで流れを掴んでいるのは紅雪ですが、the WESTERNSはその勢いを呑み込んでしまうのでしょうか。

1st match
HINATA vs YULI

選曲
HINATA:アクマフカ
YULI:罪過の聖堂
試合結果:DRAW

 1st matchは職人集団による至極の一戦。今大会参加者の中ではプレー歴が長めの両者だからこそ出せるトリックプレー、非常に観ごたえのあるものとなりました。
 HINATA選手は終始ズレまくりで曲を通してリズムをつかむのが難しいアクマフカを選択。HINATA選手は正規、YULI選手選手はR-RANと分かれたものの、まるでズレなどなかったかのような勢いでHINATA選手がスコアを伸ばしてしまい、YULI選手はGOODを出さずに叩き切ったはずなのにHINATA選手がMAX-20を叩き出してしまいました。解説陣があり得ないスコアと言い切ってしまうほどの異次元精度、自己ベスト+1点と完全に決まったプレーはHINATA選手にとって非常に嬉しいものになったでしょう。
 YULI選手はここでAブロックでHINATA選手が選んだ罪過の聖堂を投げつけて理解らせに行きました。HINATA選手が正規で仕上げている一方、本場のYULI選手はRANDOMで対抗。ギアチェンミスがあったとはいえ自選にするほど仕上げているHINATA選手でさえ寄せ付ける気の無い圧巻の仕上がりっぷりは解説の語彙力を完全に奪ってしまい、MAX-101、2059点で勝利となりました。圧倒的なSOF-LAN力、お手本のようなプレーはもう、語彙が持ちません…長年の経験で身につけた職人芸を披露しアルティメット名刺交換と言わしめた壮絶な戦いは引き分けとなりました。

2nd match
JMJ* vs STRNGI

選曲
JMJ*:ROCK女 feat. 大山愛未, Ken
STRNGI:CHECKING YOU OUT
試合結果:DRAW

 ブロック戦でズレハネ譜面で強烈な一撃を放ったJMJ*選手が挑むのは、中速乱打にスクラッチと真反対の強さを持つSTRNGI選手。少しでもチームに有利な状況を作るため、互いに最高の武器をぶつけ合って戦います。
 JMJ*選手は終始ハネまくりで忙しすぎるROCK女 feat. 大山愛未, Kenを選択。JMJ*選手は正規、STRNGI選手はR-RANを選びましたが、ズレズレの譜面をガチ押しかのように叩き潰していくJMJ*選手が30点ほどの大幅リード。その後安定感を見せるSTRNGI選手が徐々に追いついてきたものの、14点差でJMJ*選手が逃げ切りに成功。一発で自己ベスト-9点と安定感のあるスコアを出しており、このパフォーマンスの高さはもはや恐怖すら感じさせました。
 STRNGI選手は必殺の武器である緩急の激しいスクラッチにソフランという強烈なおまけつきのCHECKING YOU OUTを繰り出しました。JMJ*選手がRANDOMの一方、STRNGI選手は正規で仕上げており、開幕のスクラッチからSTRNGI選手が好スタートを切ると、ギアチェンも高速地帯のスクラッチも完璧に対応しフルコンボで勝利となりました。終始綺麗に決めたSTRNGI選手、十八番らしい見事なプレーで2nd matchを引き分けに持ち込みました。

Final match
K-JET. vs U*PAFE

選曲
K-JET.:灼熱 Pt.2 Long Train Running
U*PAFE:Glitch N Ride
試合結果:U*PAFE WIN!!

 ここまで連続で引き分け、すなわちこの試合で2タテを取ったほうの勝利という状況。ここで当たるのは各チームのリーダーとあまりにも背負うものが大きい戦いとなりました。勝つのは技のK-JET.選手か、それとも力のU*PAFE選手か…
 K-JET.選手は得意のスクラッチ譜面である最初から最後までスクラッチが止まらない灼熱 Pt.2 Long Train Runningを選択。K-JET.選手はR-RAN、U*PAFE選手はMIRROR+LEGACYとなりましたが、K-JET.選手が少し先行する中BSS地帯をLEGACYで安定を取ったU*PAFE選手がぴったり後ろについていき、サビ前にはほぼ同点に持ち込みました。最後のスクラッチラッシュまで勝負がわからなくなる中、最後の最後で3点差を制したU*PAFE選手が逆転に成功。決勝進出に向けて猛烈な追い風を吹かせることに成功しました。
 U*PAFE選手は中盤の不規則な速度変化への対応力が問われるGlitch N Rideを選びました。両者MIRRORでの戦い、前半は点差がほとんどありませんでしたが、速度変化が入る地帯でU*PAFE選手が大きくリードすると、ここで作ったリードを最後まで守り切り勝利となりました。プレッシャーがかかる中ソフランをうまく対応してしっかりと走り切ったU*PAFE選手、チームリーダーとして頼れる姿を見せてきたと思いました。

 結果は5-13で紅雪の勝利となりました。準決勝第2試合はスーパープレーの数々で大きな衝撃を残した試合が多かったですが、そんな勝負を繰り広げて最後にFinal matchの結果次第でチームの運命が変わってしまうというのは非常にプレッシャーがかかるものだと思いました。ただ接戦を制して勝ち上がった紅雪、決勝へ向けて盤石の体制を築けたと思います。

決勝  
影廊犬 vs 紅雪

 決勝に上がってきたのはなんとBブロックで争った2チームとなりました。ブロック戦では紅雪が勝利しているものの、配点も試合数も増える決勝戦ではどうなるかわかりません。記念すべき第10回べあー杯の頂点は一体どちらのチームが勝ち取るのでしょうか。

1st match
KIRISY vs YULI

選曲
KIRISY:犬に雨傘
YULI:op.31 叙情
試合結果:YULI WIN!!

 初戦はいきなりブロック戦と同じ対戦カードとなりました。ジャンルがフリーとなったこの試合は、YULI選手にとって絶好のリベンジチャンス。ブロック戦同様KIRISY選手が2タテを決められるのか、それとも職人YULI選手が意地を見せるのか…
 KIRISY選手はここで終始ハネたリズムで精度が掴みづらい犬に雨傘を選びました。KIRISY選手は正規、YULI選手はRANDOMとオプションが分かれましたが、開幕でKIRISY選手がいきなりBADハマりを起こしてしまい10点のリードを許してしまうものの、すぐに追いつき勝負はわからなくなりました。難所が来ても点差が全く広がらない試合は終盤のフレーズで2点差を守り切ったYULI選手が勝利。絶好調のKIRISY選手相手でも華麗な職人芸を見せて先制点を取りました。
 YULI選手が復讐のために選んだ武器はなんとKIRISY選手が準決勝で選んだop.31 叙情。解説のU76NERさんから本場と称されるYULI選手の芸術っぷり、やりこんでいるKIRISY選手は序盤は善戦したもののBPM300に入ったタイミングでYULI選手が一気にリードを奪っていきました。その後も最高速地帯でさらにリードを広げていき、KIRISY選手が自己ベスト-9点となる1552点で善戦しましたが、そこに31点差をつけて勝利となりました。圧倒的なCraftmanshipを見せたYULI選手が2タテを決めたことにより、1st matchから紅雪は最高の滑り出しを見せました。

2nd match 
RIN vs STRNGI

選曲
RIN:SCORE
STRNGI:MARIA(I believe...)
試合結果:DRAW

 2nd matchはスクラッチや整った中速乱打を得意とする選手同士の対決となりました。得意傾向も似ていれば、BPLプロ候補者に選ばれた共通点もあるこの2人、ここではどんな戦いを見せるのでしょうか。
 RIN選手は意外にも繰り返しのフレーズに何度もしつこく絡む32分トリルが厄介なSCOREを選びました。両者正規系での対決、開幕からRIN選手が判定合わせに苦しむ中、STRNGI選手が32分トリルを綺麗に光らせ大幅リード。後半の軸押し地帯は両者ほぼ完璧に押し切ったことにより、STRNGI選手がMAX-42を出して勝利となりました。RIN選手としては嫌な感触がしてしまう敗戦、うまく切り替えてSTRNGI選手の選曲に備えたいところです。
 STRNGI選手は緩急の激しい乱打やスクラッチ複合へ丁寧に対応する力が問われるMARIA(I believe...)を選択。RANDOMの配置は中央に寄ったキツイ配置となってしまいましたが、両者お構いなしに光らせていきます。ほぼ横一線でラストのフレーズまで続きましたが、結果はなんと最後の最後でRIN選手が4点差で逃げ切り勝利となりました。STRNGI選手はMAX-14、RIN選手に至ってはMAX-10と非常にハイレベルな戦いとなり、試合結果は引き分けだったものの非常に濃密な内容のバトルでした。

3rd match  
KIRISY vs YULI

選曲
KIRISY:CODE:2
YULI:シャムシールの舞
試合結果:DRAW

 なんと本日3回目となるKIRISY選手とYULI選手の対決となりました。ここまでお互い1勝1敗の状況ですが、ここで2勝目を取ってチームに弾みをつけたいところ。舞台をLv11に変え、三たび激突となります。
 KIRISY選手はガチ押し系に切り替え、微縦連混じりの中速乱打が曲を通して続くCODE:2を繰り出しました。両者正規系で正面衝突、自選のKIRISY選手はガチ押し力を活かして微縦連混じりの乱打で一気に点差を広げた…もののすぐにYULI選手が追い上げて横並びになりました。しかし序盤から判定を掴んでいたKIRISY選手、YULI選手の猛攻を振り切り15点差で勝利となりました。途中のミスでヒヤッとした面があったかもしれませんが、KIRISY選手の安定感が生んだ勝利だったと思います。
 YULI選手は序盤の低速と終盤のトリル・縦連・減速が要注意のシャムシールの舞を選びました。開幕の低速を理論値ペースで通したYULI選手は混フレ地帯の手前までPERFECTで進行しましたが、すぐにKIRISY選手が追いつく先ほどと似たような展開となりました。そこからは抜きつ抜かれつのデッドヒートとなりましあtが、最後の減速でジワジワとYULI選手が押していき、ラスト1ノーツでGREATを出したKIRISY選手を1点抜き去ってYULI選手が逆転となりました。まさに最後の最後で決まった勝負台本の無いガチバトルだからこそ面白いと思いました。

4th match  
PAYA vs U*PAFE

選曲
PAYA:青の洞窟
U*PAFE:Wonder Bullfighter
試合結果:DRAW

 ここでエース対決となったことにより、この後の対戦カードはRIN選手対STRNGI選手、そしてPAYA選手対U*PAFE選手再びが確定となりました。Lv11は比較的PAYA選手のフィールド寄りではありますが、器用さ十分のU*PAFE選手は決して不得手ではないでしょう。
 PAYA選手は鍵盤力を活かせる延々と続くトリルの精度キープが難しい青の洞窟を選択。U*PAFE選手のように正規を選ぶプレーヤーが多い中、PAYA選手の選択はなんとRANDOMと超強気。1回目のトリルはかなりいい配置であることもあってPAYA選手が大きくリードしていきましたが、何度も来るトリルはどこかで一度はハズレが来る…と思いきやPAYA選手、全く崩れることないまま走り切りMAX-29を叩き出して勝利となりました。とくに二重トリルは当たりからは程遠い配置だったはずなのですが…あまりの衝撃映像に会場は騒然となっていました。
 U*PAFE選手はここでなんと変拍子で飛んでくる変則リズムの低速スクラッチを丁寧に叩く技術が求められるWonder Bullfighterを選んできました。自選のU*PAFE選手、いきなり高い精度で10-20点のリードを確保すると、スクラッチが来るたびにどんどん差を広げていき自己ベスト-7、MAX-60で勝利となりました。PAYA選手も自己ベスト-10点とかなり好感触だったはずですが、このスコアには笑うしかなさそうでした。

5th match 
RIN vs STRNGI

選曲
RIN:THE PEERLESS UNDER HEAVEN
STRNGI:雪上断火
試合結果:RIN WIN!!

 化け物名刺交換が続く中、再び当たることになったRIN選手とSTRNGI選手。先ほどは互いの強みを活かして引き分けとなりましたが、今回はレベル指定がLv12と変わったことで選曲がどのようになるのか注目でした。
 RIN選手はスクラッチに容赦なく絡む大量の鍵盤の処理が難しいTHE PEERLESS UNDER HEAVENを選択。RIN選手はRANDOM、STRNGI選手はR-RANとそれぞれの選択が分かれましたが、序盤はSTRNGI選手が先行したもののスクラッチ地帯でRIN選手が追い上げを見せて20点ほどのリードを取っていきました。その後のスクラッチ+デニムの難所は点差が広がらなかったものの、RIN選手がつけたリードを最後まで守り切り9点差で逃げ切りとなりました。STRNGI選手は惜しくも詰め切れず、ここはRIN選手が自選の強みを押し通す結果となりました。
 STRNGI選手はチーム名に掛けて不規則スクラッチに中盤の低速が対策していないと難しい雪上断火を選びました。RIN選手はRANDOM、STRNGI選手はMIRRORとなりましたが、先ほどの勝利で勢いがついたRIN選手は序盤から25点ほどのリードを突き付けましたが、STRNGI選手もすぐに立ち直り低速地帯では1桁差に縮めました。しかし低速明けでRIN選手が再び前に出たことで18点差をつけて逃げ切りに成功。STRNGI選手は開幕で判定を合わせられなかったのが苦しい結果になってしまいました。一方のRIN選手は終始安定感を見せ、影廊犬の優勝に王手をかける2タテを持ち帰ることに成功しました。

Final match
PAYA vs U*PAFE

選曲
PAYA:True Blue
U*PAFE:共鳴遊戯の華
試合結果:DRAW

 長かったべあー杯 Day1もいよいよ最終戦。影廊犬は1曲でも取ればOKである一方で、紅雪は2タテが必須。お互いにとって絶対に負けられない究極の一戦が今、開かれます。
 PAYA選手は一定密度の中速乱打が続くTrue Blueで精度勝負を仕掛けました。2タテを狙うU*PAFE選手にプレッシャーをかける選曲ですが、開幕はお互い判定を合わせて横並びとなりました。しかし曲が進むにつれてPAYA選手がゾーンに入ったかのような精度を見せつけMAX-17でフィニッシュ一発勝負で自己ベスト-4点の完璧なプレーにより、最高の形で自選曲を終えることができました。
 U*PAFE選手魂の選曲はBPM190の容赦ない高密度乱打が止まらない共鳴遊戯の華。最終楽曲にしてはあまりうれしくないRANDOM配置になってしまいましたが、U*PAFE選手が終始綺麗に押し続けていき、PAYA選手が20点ほどの差で追いかけ続けるもU*PAFE選手は3910点を叩き出して勝利となりました。解説陣からこの配置でこのスコアを出してしまうのかと言われてしまうほどのプレー、U*PAFE選手は有終の美を飾れたのではないかと思います。

 壮絶な戦いが繰り広げられた第10回 べあー杯 Day1 チーム戦、結果は29-25で影廊犬の優勝となりました。大会全体を通して非常にハイレベルな戦いの連続でしたが、決勝では特に全員が絶好のパフォーマンスを出し続けた中で、5th matchで僅差の戦いを制したRIN選手の活躍が大きかったと思います。ただ華麗なる職人芸や超人スコアの数々を披露した紅雪の皆様、そして激しい戦いで大会を盛り上げた選手の皆様、素晴らしい戦いの数々をありがとうございます。そして、安定感と爆発力の連続で優勝となった影廊犬の皆様、おめでとうございます!

最後に

 Day1は非プロ選手による戦いでしたが、やはり全力でBeatmania IIDXをプレーし、全力で互いに競い合う姿は非常にカッコいいと思いました。そして大会を見ていると、IIDXをやりたい!と感じさせるものでした。この大会を機に自分も再びモチベーションに火が付いたので、微力ながら大会に携われてよかったと思いました。

 長くなりましたが、以上で第10回 べあー杯Day1 チーム戦の感想は終わります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

↓こちらも併せて読んでいただけると嬉しいです↓

Day2 ドリームマッチ編


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