私とアンドロイド7
駅の地下鉄に続く階段。
あの人が居た場所。
あれから穂乃果は、毎日仕事帰りにここに来る。
会えるわけない。まず、人が多い。
会えたとしても、話しかける度胸なんてない。
でも、何かあるような気がして。
穂乃果はバカみたいにその男の人が来るのを待った。
毎日。
「お疲れ様でーす」と仕事終わりに穂乃果が声をかけると、
「お疲れー」とみんな返す。
普通の日常。
平和な日常。
だけど、職場の皆、誰も、私に興味が無い。
友達でさえ。
それは居心地が良いはずだった。
でも、本当は、求めていて。
誰かが私に興味を持ってくれるのを。
誰かが私のことを好きになってくれるのを。
誰かが私を楽しませてくれるのを。
そんなことを思いながら、アンドロイド男を待った。
日常の中にある非日常。
平和の中にある刺激。スリル。
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