番外編 | 好きな音楽を聴き合いながら、ただ楽しかった50分間のドライブの話。
夏休み、番外編。
45分間のドライブをした。
正確に計測をした訳ではないが、
彼が目的地まで45分かかると話していたので
きっとそうなのだと思う。
台風がきっと色んなものを連れ去ってくれた。
曇り空を見せていた早朝とは違い、
梅雨明けを予感させる
綺麗な空が広がっている。
目的地は明確にあったので
少し時間を気にしながら
BGM担当をしながら隣に座っていた。
九州にいる夏休み期間、結局、毎日彼の運転する車に乗っていたが、
一通り手持ちのCDを流し終えると、
リクエストを聞いても「なんだろうなあ」
なんて張り合いがない。
「“とっておきの唄”が聴きたい」
と曲のタイトルでリクエストを言われたので少し嬉しくなる。
勝手に目的地までは急がなくてはと思っていたが
「5分だけ寄り道をしていきます」
という路線変更の事後報告をされた。
一規則的な人口岩かと思ったら、
“鬼の洗濯板”の話をしてくれた。
例えばこれが本物の洗濯板だったら、とても痛いね
なんて薄っぺらい感想は心の中に閉まう。
ただ見るだけなら壮大だねで終わってしまうその場所も、背景を知るだけで自然やこの場所の良さを一段深められるような物語だった。
人も、物も、場所も
みんなそうなのかもしれない、なんて思った。
私はやっぱり測っていないので、
過ごした時間が5分かどうかなんて分からない。
でも、しばらく経って
「行こう」
と、彼はちゃんとタイムキーパーをしてくれた。
目的地には時間通りに、辿り着いた。
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