第1回「片づけて何をしたいか?」
【こうさき初夏の珍獣ライフ/よろず生き方相談】
(1)「片づけて何をしたいか?」
こんにちは、初めまして。
歌人見習いのこうさき初夏です。ぽっ。
こちらのコーナーでは、「生き方」に着目したエッセイを書いたり、寄せられたお便りにお答えしていこうと思います。
なぜ、「生き方」なるものにこだわるのかですって? 大変ごもっともなご質問です。歌人や俳人、詩歌に携わるみなさまにとって、今の世の中、どうですか? 少なくとも私は生きやすくないですね。論点をひとつあげると、生業と詩歌のバランスって、もうくずれかけてるんじゃないですかね。
私はよく詩歌の世界は、社会保障の在り方と同じだって言うんですけど、生業で稼いだ(なんらかの手段で得た)お金をみんなで少しずつ持ち寄り、詩歌を行う場を作ってるのは、働いたお金からみんなで税金を納めて、医療や福祉にまわす社会保障と、仕組みは同じですよね。
ってことは、生業がないと詩歌できないってことになるじゃないですか。それは現状であり、これからずっとその状況に追従しなきゃいけないってことも、ないじゃないですか。
歌人・俳人・詩歌に携わる方々にこそ、状況に甘んじるのとは少し違う「生き方」を構築していく姿勢が、特に必要なんじゃないかと、こうさき個人は感じてるんですね。
歌人に特化していえば、どうやって歌集をだすか、短歌を続けられる環境を作りだすか、そういった事柄さえも「生き方」に収束する話だと私は思います。「生き方」とは個々人がありとあらゆる個別の状況に対して、動き工夫し続けるプロセスです。
以上が、「生き方」について、なぜこのメールマガジンに挙げているか、という説明になります。記念すべき第1回は、お便りを頂いているので、そちらに答えていきましょう。
【相談内容】「片付けが苦手です。そのため新婚の妻と険悪になることもあります。どうしたらいいかわかりません」(40代後半・男)
【こうさきからの回答】
読者の皆様向けに補足しますと、生き方ってだいぶ幅広いんで、こんな感じのざっくりとしたお便りで全然構いません。新聞とか雑誌にあるお悩み相談のコーナーに、生き方を構築するというエッセンスを足したものが、「こうさき初夏の珍獣ライフ」とお考え下さい。
それにしてもこのお便り、切実ですね。新婚なんでしょう?それが片付けが出来なくて険悪って、しんどいじゃないですか。この感じだと、まだ相当片付いてないんじゃないかな。
こんな風にお便りをくれたところを見ると、なんとかしたい気持ちが伝わってきますね。どうしたらいいか分からないってことまで、わかってるんですもんね。この方は片付けできないことを、なんとかしたいんですよね。
そこで今回は生き方をひとつ提案させて下さい。
「片付けるということばを使わない」(大文字)
片付けるってどうすることですか? このへんまったくもってプランがない、もしくはあいまいなのに、ただ片付けるって言ってませんか?
そういうのは、自戒の念もこめて、やめましょう(キッパリ)
具体的にどうするかもわからないのに、片付けなければとだけ考えてるのは、ただストレスになるだけです。何が宿題なのかわからないのに宿題できますか。できないでしょう?
これをお悩みのお部屋の話に戻すと、お部屋は何をする場所ですか? 詩歌を書く部屋、寝る部屋、部屋の用途は、どんな風に生きるかによって変わってきます。
ご相談者様は、家もしくは部屋でどのように過ごしたいのかわからないから、片付けについてどうしたらいいかわからないのではありませんか?
奥様と話し合いをして、家でどんなふうに暮らしたいか、まずはそれぞれの希望を紙に挙げ連ねてみましょう。夫婦で一致する希望はとっておいて、そうでない希望をどうやったら叶えられるかお互いに考えてみましょう。
たとえば自分はダイニングで書きものをしたいけれど、奥様はべつの部屋に書斎を作りたいといった場合、奥様がなぜそういうのかを訊いてみましょう。奥様はダイニングで書きものをされると、料理をしているときに気が散ってしまうのかもしれません。
大事なことは、夫婦それぞれの希望を、家の空間に落とし込んでいくことです。ダイニングテーブルで旦那様が書き物をすると気が散るけど、食卓とはべつの机をダイニングに用意して作業をするなら、奥様はOKかもしれません。
夫婦それぞれの家に対する感覚を洗い出していくこと、感覚を空間に落とし込むこと、この2つの作業を行ったり来たりしながら進めることで、少なくともご相談者様と奥様とが家でどう暮らしたいかくらいまでは、なんとなくすりあわせられるはずです。
え、もしそれでだめだったらって? そしたらまたお便り下さい。もしくは開けてないダンボールはすててくだ(以下略)」