演劇評・アムリタ『虚構の恋愛論(2018)』
お気に入りの劇団アムリタの公演を観てきました。
ツイッターに書いた感想をまとめておきます。
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アムリタ『虚構の恋愛論(2018)』@北千住BUoY。元銭湯の大空間を存分につかって、観客の想像力を刺激する、メタ構造の恋愛論。ミクロとマクロが同居するような戯曲、ひとり何役もの演じ分け、暗闇の中での芝居、などアムリタの諸要素がぎゅっと詰まった力作でした。17日まで。おすすめです。
公演が終了したので、ネタバレを気にせず書きますが、人間の縁結びをしているけど、恋とは何かを知らない神さまが、本気で失恋してしまう(役者さん本人の)役になったり、子どもから大人へ変わろうとする少女が、同時に、土中から出て羽化をする蟬の役だったりする、とつぜんの役柄のシフトが面白かったです。
全般的にメタな雰囲気で、短いシーンの積み重ねで描かれた作品の中、野村(由貴)さんと藤原(未歩)さんの白熱したやりとりが魅力のラストと、鈴木(太一朗)さんと河合(恵理子)さんがしみじみと語りあうエピローグ。この2つのシーンに差異がつくと、終劇感がより明確になったではないかしら?
終演後、女優の野村由貴さんとお話しさせていただきました。アンケートを渡したら、野村さんの方から「もしかして秋月さん?」と気づいてくださって。長年、演劇の観客をしてるけど、こういうのは初めての体験でした。野村さんは、活動の拠点を東京に移されたそうなので、今後、アムリタの公演以外でも、拝見する機会が増えそう。ファンとしては、うれしいニュースでした。