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「謝金(お車代)」か「出演料」かの扱いについて

X(Twitter)の記事でこんな文章がありました。
法人から条件確認なく受けた仕事の謝金が換算すると大体時給800円であった。そのご本人は10年以上の音楽歴があるとのこと。ただしわかるのはそれだけ。
私が気になったのは「謝金」という扱い。
私は普段はあまり知らない人のところにコメントを書かないのですが、文化庁でコロナ禍以降に調査をした上でインボイスもあることから契約についての明確化をしてる情報を知っていたので「適正な契約関係構築に向けた ガイドライン」のPDFのリンクをお知らせとして記載しておきました。
結果、最初の投稿の方への「いいね」と「リポスト」が非常に多く、こちらの記事に目を通したらしい反応もとても多い。多いということはそこに関心が多い音楽業、関係者、知りたがりがとても多いということがわかります。

そうなんです。私自身も大した知識はありませんが、コロナ禍から会社を仕切る立場になって本当に多くのことに気づきました。私の場合は、音楽業ですが、もともと演劇もしていたので劇団関係や個人のパフォーマーの扱い。お金にまつわることなどがなんとなく、、、で行われていたという事実です。
「適当だった昭和の名残」
「日本人特有のなんとなくわかってくれるよね」
「今までの人間関係で」
「お金にまで発生する上下関係」

それでも私の事務所の代表である父は、本当にちゃんとしてる人で自分が赤字でもメンバーにはきちんと支払いをするというある意味良くも悪くも昭和の昔気質の人です。(映画界で大物がお金がなくても関係者に大盤振る舞いして台所事情は火の車であったりというのはよくあったそうですが)

私が代がわりをするにあたって決めたことは、
「父と同じく誠実に、とにかく馬鹿みたいに誠実にする」
「ただしない袖はふれないので、厳しい企画でも絶対プラスマイナスゼロにはせめて持ち込む。会社を運営するんだから小さな音楽事務所であっても、黒字を絶対目指すのは当たり前です。」
「書面にする。とにかく全部書面にする。常に税理士に見せてもいいようにきっちりとまとめておく。」

上記の3つは普通の株式会社では当たり前のようにやっています。やってるはずです。中小の音楽制作会社の様子を見聞きすると雑です。中小だと動く金額も小さいので雑で大丈夫なことが多いように感じます。そして最初の文章に戻ります。法人に頼まれた仕事だけど契約書面もなかった、結果もらえた謝金が時給にすると800円程度だった。この場合、一つ目に、法人がどういう団体なのかわかりません。団体によって出演料(税込源泉復興税込み)の基本的な金額体系、経験や受賞歴などの経験値の金額体系を肌感でわかってるのかどうか(肌感という表現は本当は嫌いです。数字ではっきりさせたいのですがあえて書いてます)、が大きな問題かと思います。もしくはちゃんと考えてくれている団体かどうか、普段音楽家を扱っているかもあると思います。二つ目に、「謝金」と書かれているところ。謝金、謝礼だと源泉徴収復興税、インボイス関係なく、その会社としてただの雑費扱いにしてやり過ごすのでそもそも年末に支払い調書をお願いしても書いてもらえないのではないかと思います。支払い調書は確定申告で必ずしも必要なものでは最近なくなりましたが、あった方がはっきりしていて良いと私は思っています。謝金扱いだと確定申告でどこにも記載に該当しないんじゃなかったでしたっけ?書面ないですものね。副業の方なら別にそれでいいのかもしれませんが、音楽業だけの人、音楽業が主な人はその日のその仕事の対価の計上が雑収入扱いにもならないのは、なんだかなんだかです。さらに、他の出演してる人たちも謝金扱いのイベントだとそもそもそのイベントの楽曲はJASRACへの支払いをしてるのでしょうか。と疑問が出てきます。「謝金」にしたい場合の意味は、源泉徴収復興税を払うことを省きたい、省くほうが金額的にいい、省いたからこその金額をあげれた。もしくは、主催から出演料という枠でお金を出したことにしたくない、しないほうが便利、ボランティアなどのイベントだから出演料を発生させたくない、その出演者を講演者として扱いたいなどの理由が考えられます。(他にもあるかもしれませんが)大きくざっくり考えたら、「出演料」でも「謝金」でももらえるからいいじゃんということかもしれませんし、法人じゃないパーティーで「お礼です」といただいたものはお車代、謝金扱いなので、それももらえてるからいいじゃんという解釈でいいならばそれでも構いません。が、「仕事は音楽です」という場合に1年間のほとんどが謝金では確定申告でなんだか悲しいものがあります。生計の主なものが他にあるサラリーマンで音楽はテンポラリーならばいいのかもしれません。もしくは、扶養家族内で仕事をちょっとしている程度なのでという場合は面倒な確定申告そのものを書かなくていいかもしれないのでそれはそれです。あと、よくあるのが大学教授などをなさってる人に頼んだ場合、あえて「謝礼」(源泉とか通さないでいいので)という形をリクエストする方もいたりします。昔の用語で、「裏扱い」とか「とっぱらい」とかいうようですが。

金額についてですが、今回の文章だけではそのイベントの規模、集客人数、入場料があるならばその金額、主催の会社の規模も分かりません。また、この話題の主さんがどういった依頼の立ち位置の仕事の現場かも存じ上げません。なので、その金額が精一杯の謝礼だったかもしれないし、そうでないかもしれないのでそれについては触れないでおきます。むしろ触れられません。

いずれにしても、売れていても売れてなくても仕事の依頼が来た場合は、「出演料はいくらでしょうか。」「書面で契約書を書いてもいいですか?書いてもらってもいいですか?(当たり前ですがあえて遜って聞いてみた場合)」などの会話があって然るべきです。そういう会話がなくて大丈夫なのは、常にそのメンバーで同じ金額で事業をしてるか、よほど信頼おける相手かです。でも毎回、仕事終わりに請求書や領収書はもちろん存在しますよ。それに昨今、インボイス等もあり書面はあるに越したことがありません。それを嫌がる団体はダメな団体ですから関わったらいけません。

また困ったことは現在文化庁でも東京芸術文化相談サポートセンター「アートノト」などでも対応します。コロナ禍以降、文化庁で予算を組んで芸術を守るために動いている組織です。大いに利用しましょう。私も日々勉強中です。でもまず自分で勉強しましょう。子供じゃないんだからまずは聞く前にちゃんと勉強です。
(私も勉強中の内容のためこの文章に何か間違いがあればどうぞご指摘ください)
それから2024年11月から厚生労働省でフリーランス保護法が始まります。こちらも調べてみてください。音大などではそういった授業があるのかなと思ってたんですが、どうなんだろう。(追記:必須科目じゃなくて、あるようです)
個人事業主から合同会社を設立がこの数年で本当に増えているそうです。きっと同じような悩みや、会社経営の大変さで困ってる人も多いかと思います。また音楽業や俳優業を辞めて、行政書士や税理士になった人もこの数年で多いそうです。自分で学んでいくうちにそれが得意!それが楽しいと気づいた人がいるということです。そういう身近な人がいたらどんどん関わって確定申告を頼んだりしましょう。同じ疑問が多いということは同意したり考えてくれる仲間も多いということです。どんどん声を上げていろんな意見を聞いていきましょう。と、思う一人です。

アートノト(東京芸術文化相談サポートセンター)

フリーランス保護法について

もと情報Xの方に、上記要約の記載をさせていただきましたが、つながりがない方なので先方に失礼がないよう、一度削除してこちらだけに記載することにしました。

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石田美也:Country Music Lab
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