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カントリーミュージックの変貌

コロナ禍以降急速に歌のリリースの仕方が変わっている。変わりつつあったのが弾けたと言ってもいいぐらいだ。1980年代のアメリカンアイドルからデビューし、カントリー界の女性シンガートップとなっているキャリー・アンダーウッドや、10年前にザ・ヴォイスできっかけを掴んだモーガン・ウォーレンなどの音楽勝ち抜き番組はもう古いと言われるぐらい。今は、CCMのアン・ウィルソンや、ザック・ブライアンのように、自分の携帯で撮影した映像や音源をアップして売ったのがヒットに繋がり、そこから初めてレーベルと契約した。または、最初から契約しないで自らのYoutubeで流行らせて音源を広めツアーを行うバンドも多い。正解はわからないが、アメリカも高齢化を迎えている中、音楽産業、ひいてはナッシュビルに非常に直接的な影響を与えている。コストをかけずに売れてきた人をピックアップするのは今や当たり前になりつつある。時代の流れが変わっても、音楽の人気は衰えない。むしろ国のリスナープロフィールの時代による継続的な変化は、収益の変化にも影響している。


ナッシュビルの街並み(アメリカのオフィシャルトラベルサイトより)

数年前の調査によるとカントリーリスナーの 4 分の 1 近くが収入 79,000 ドルの世帯に住み、半数強が何らかの大学を卒業、そして6人に1人以上が大学卒業者であり、35 歳以上の年齢層が続くことで、その子らの若い世代も一緒に増加している。つまり、高齢化社会で音楽衰退を示唆する中で、カントリーミュージックにおいては衰退どころかむしろ経済が回り、年齢層の橋渡しに成功している状態らしい。

ナッシュビルの成長は他のジャンルにも影響を与えている。アメリカの音楽産業はロサンゼルス、ニューヨークに次いでナッシュビルが重要な拠点となっている。今や回せる経済の場で音楽を作ろうとこぞってナッシュビルにミュージシャンが集まっているため、カントリーのジャンルも人が集まるにつれ細分化され続けている。アメリカーナ、フォーク、ルーツ、クリスチャン、オルタナティブ、ブルーグラス、ケイジャン、カントリーロック、ウエスタン、カウパンク、ゴシックカントリー、ヒルビリー、ホンキートンク、プログレ、ロカビリー、スィングと多岐に渡るジャンルが生まれている。そして一番多いのが、一時期、人気に翳りが見えていたラップがカントリーとコラボレーションすることで新たなカントリーラップの世界を広げていることだ。

今はカントリーは音楽全体の40%を占める割合で(これは多分80年代と同じ状態なのではないかと私の感覚で思うのだが)、その中にカントリーラップがかなり占めてきている。韻を踏む、ライムが抒情的なところなど詩だけで見るとカントリーとラップは似ているところが多い。家族、仲間、望郷、そこに怒り、悲しみ、投げかける言葉は似ているところがあるのだ。リルナズから始まり、リル・ダークとモーガン・ウォレン、ポスト・マローンとブレイク・シェルトン、ジェリー・ロールマレン・モリスとディプロはテクノなどコラボレーションの幅が広がると観客層も増えていく。それにより観客のパイも広がりを見せる。音楽業界としてはウエルカムだろう。唯一問題があるとすれば、カントリー自体のサウンドはどうなっていくのだろうか?という懸念があるぐらい。

それにしても、ポスト・マローンが「僕、カントリー大好き!」が溢れ出る映像を見るのが最近すごく好きで。彼はラッパーなのに最近、カントリーとコラボレーションが多く、また、ジョージ・ストレイツを弾き語りで歌ったり、ブラッド・ペイズリーと共演の時は「まじ、やべえ!すごい嬉しい!」が溢れ出る表現が愛らしく思うぐらいギター共演していた。あ〜、カントリー好きなんだな〜。すごくいいな〜。と、思いながら遠い日本でPCの前でその場にいたい気持ちに駆られながら見ているカントリー好きな私なのであった。

ポスト・マローンとブレイク・シェルトンの新曲。完璧なカントリー




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