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#月島書簡 3

早月くらさんへ

こんにちは。夏日が来たと思ったらまた気温が下がりました。ひさしぶりに家の湯船にお湯をためたら、3時間くらい入ってしまった。

ひかり射す礼拝堂できみは目を閉じた まつげの影の正しさ/早月くら

二〇二一年十月十四日うたの日題詠「礼」

くらさんのうたの日デビューが同年八月十日なので、かなり初期の作品ですね。同じ題にわたしも出詠していて、選を終えたあと遙禽すみさんとお互いの歌を予想し合ったら、二人ともこの歌が相手の作品だと予想していた、というエピソードがあったのでした。とても好きな歌だったので「早月くら」がすごく印象に残って、この人のお歌すきだわ! とじっとり想い続け、文フリでお会いできたのを良いことにサイクリングに誘い(?)、こうして文通まで出来る仲に持ち込んだのだからわたしの愛も大したものです。執念?
初期の作品からすでに「ひかりの歌人」早月くらだな、と思いつつ、あらためて読むとひかりだけじゃなく「影」が詠まれているんですよね。そういえばくらさんの光はいつも、直射日光というよりは、それをカメラで撮ったような、一枚ヴェールを挟んで見るまばゆさ、であるような気がします。

※くらさん=写真、の印象が強くて、ISO感度……露光……となんかそれっぽく説明したくていろいろ調べたのですが、難しかったのでその辺はいつかご教授お願いします。

つまりくらさんの光にはちゃんと影(印象で言うと陰)が含まれているのかなと。そう思ったとき、くらさんの名前に「月」が含まれているのが必然である気がしてグッときました。光と陰の歌人!

月島書簡、話したいことが多くて文字数を削るのが大変です。前回教えてもらった川内倫子さんをいま調べてみたらまさに! 「ヴェールを挟んだまばゆさ」で伝えたかったひかりの加減でびっくりしました。くらさんの好きなものがちゃんと血肉になっているんだなぁ。

わたしは最近YouTubeで五分目悟さんという方のアニメを見て衝撃を受けました。どうしてそうなる? という飛躍がものすごいのに妙に面白くて、理屈じゃないようで芯があって、理解しきれないのに忘れられない、わるいゆめみたい。「君のガールフレンドを作ったよ」と「霊視力」が好きなんだけど、たくさんある作品を一気に観る勇気が出なくてまだあまり観られていません。わたしの血肉にできるだろうか。

出会いとは悪夢の種をふやすこと失くしたあとで呼ばれてしまう



桐島あおさんへ

こんばんは。すっかり冬らしくなってきましたね。先日ようやく羽毛布団を出しました。暖房をつけるほどじゃないな、とまだ寝るつもりはないのに布団に潜って本を読んだりして、高確率ですぐ寝落ちしています。あたたかなお布団、おそろしい。

「まつげの影」歌のエピソード解説、ありがとうございました。舞台裏まで特別に見せてもらったみたいで嬉しいです。光と陰の歌人!出世だ!
あおさんの愛は密度があるのに重くないというか、まさにこの歌みたいだなと思います。

距離感をただしく保つ ときとして小粋な踏み越えかたを覚える

二〇二二年一月一日うたの日題詠「令和四年の抱負」

愛の表現のしかたも才能のひとつですね。(才能、で片付けるのはきっと日々気を遣い心を遣っているのに違うよな、とも思いつつ。)憧れるとともに、これからもよろしくお願いしますの気持ちです。

五分目悟さんのアニメ、観てみました。絵柄(?)の時点であおさんの言っていた「わるいゆめみたい」に納得してしまいます。そして霊視ック手術に笑った後、まさかの展開すぎてヒェッとなりました。ほかの物もすこし見てみましたが、どれもオチで伏線がしっかり回収されて「言わずに理解(わか)らせる」強さがありますね。

思えば短歌にも、直接言わないことで想像を促すやりかたがあると思います。読者がその歌に想像力を働かせた時点で、その想像の行く着く先が作者の狙いと多少違ったとしても、読者の心に入り込むことには成功しているというか…。自分自身で考えてわかったと思えたものって、どうしても+αで好きになってしまうと読む側として感じます。かと言って、言わなすぎた所為でまったく別の方角に行ってしまわれるのもちょっと困るという作者としての思いもあり。その塩梅をこれからもずっと探っていくのだろうなあと思っています。このアニメを血肉としたあおさんの作品が楽しみです。

この間、MUFGパークのまちライブラリーという図書館に行ってきました。噂には聞いていたんですが、めちゃくちゃ歌集があります。通ってしまいそう…。よければ今度一緒に行きましょう!

悪夢なら、なんて思った 冬椿ゆびから逃れるように落ちてゆく


桐島あおより追伸

早月くらさん歌壇賞おめでとうございます!!!

乾杯!



早月くらさんのnote

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