見出し画像

スピリチュアルに意味はあるのか DAY1

試しにスピってみよう。

おいせさんの清め塩スプレーを知っているか。
ネット上では「死ねどすスプレー」などと呼ばれている。

「ムカつく上司に掛けたらコロナになった!」「枕にかけたら安眠出来た!」
「嫌いな御局様が異動した!」

といった効力があるらしい。
中には縁切り特化型もあるらしく、おいせさんサイドの商売上手さが窺える。

僕は元々宗教系の学問を少し学んでいて、
この手のスピリチュアルな概念には懐疑的なスタンスだ。以前宗教勧誘にあった際、「神はもう貴方のそばに居るのよ」と言われた僕は「神がいるならもう僕は救われているじゃないですか…」と言い放ちおばちゃんをドン引きさせた事があります。

今回検証しようと思ったのはほんの少しの興味と、見えざるものに縋りたくなったからだ。
ここ数ヶ月仕事で上手くいかなく、メンタル的にも落ちる時期が長い状況。
周りの同僚も休む事が多く、その内の一人は月の半ばで突然退職する事となってしまった。まあ気にしなければ良いことだが、偶には頼っても良いと思いたち、評判の品を買った。

初の長期連載企画。
果たして俺はガッツリスピってしまうのか、それとも良い関係性で終われるのか。乞うご期待。

DAY1 紙がない!

名刺ケース小の大きさ。

Amazonで例の塩スプレーが届いた。
無香料でミネラル塩とエタノールが入っている。無香料なのにフレグランスと書かれているのは何かの暗示なのか。

届いた晩、試しに枕元に振りかけて寝てみた。
完全にプラセボだが、いつもよりもグッスリと眠れた気がした。

ここ最近金縛りや頭痛で眠れない事もあったのだが、おそらく晩に食べたインドカレーとチーズナンが身体に作用したのだろう。

リュックにスプレーを振り掛け、胸ポケットに塩スプレーを忍ばせて通勤する。
先に効果があったという感想を頭に入れておくだけで、何となくいつもよりも通勤が気楽な気がしないでもない。

一人の空間になったら塩スプ。
トイレで塩スプ。
エレベーターで塩スプ。

塩スプレーよりも、このスプレーを撒くという所作に意味合いを感じているから効果があるのではないのか。これならもう霧吹きでも良い気がしてきた。

心なしかいつものスマホウンコマンズ(個室トイレに籠城してスマホを弄る者共の意)も少ない気がする。
僕は意気揚々と洋式トイレにピットインし、
旧ツイッター現Xを眺める。

クソも出ていないのにウォシュレットで肛門を洗い、退屈な労働時間を潰す。

さて、そろそろ出るか。
ガコッとトイレットペーパーを補充しようとしたが、レバーは軽く降りた。

はあ、ここの社員はまともに紙も補充できないのかと呆れる僕。
『やれやれ、退勤まであと3時間ですか…。』

後ろのトイレットペーパーに手を伸ばすも、
巻かれた紙の感触はない。

思い切って硬い首を後ろに向けると、
トイレットペーパーの芯が3本。

トイレットペーパーの芯が3本しかない。

ビシャビシャのお尻から垂れる水滴からして、自然に乾く気配が無い。

トイレットペーパーが全くないという状況は初めての経験だ。
隣のトイレに入って紙を取ろうにも尻が濡れていて何も出来ない。塩スプの効果か、周りに人の気配が無い。いつものウンコマン達は何処へ行った?

苦肉の策で僕はトイレットペーパーの芯を千切り、擬似的なトイレットペーパーを作った。

肛門にピタリと付けるが水分を吸う事はなく、
都内某所にただ厚紙にアナルでスタンプする29歳の男が爆誕した。

居た堪れぬ気持ちになったが、
二芯使ってようやく多少お尻が乾いた。

さて、業務に戻るか。
きっと塩スプレーは僕に試練を与えてくれるタイプの代物なのかもしれない。

水を流しても芯が全く流れない。
何度も流したが流れない。
「お前はトイレに芯を流した」という現実を突き付けられる。

ダメ押しで流そうとしたら、詰まりそうになった。

僕は小走りで自分のデスクに戻った。
僕はただウンコをしただけですという澄まし顔をして、何なら疲れた頭に糖分補給で缶コーヒーも買っちゃったりして。

もしかしたら、清め塩スプレーは効果があるかもしれない。

また明日に続く!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?