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兄弟愛の夜

【チャンさん年中・スーちゃん2歳の頃】


寒い夜、さぁもうみんなで寝る時間だ、と電気を消して布団に入る。


しばらくすると、スーちゃんが『ニンニンジャー けん は?』と探し始めて布団を出る。


せっかく温まり始めた床から出るのを渋りに渋って、明日一緒に探そう、と布団にもぐったままでなだめる方向の私。

チャンさんもお疲れなのか背を向けたまま動かずにシーンとしている。


ミーアキャットの様に棒立ちして、不安を押さえこむ様におへその前で手をもぞもぞと動かし、周りをキョロキョロと見渡すスーちゃん。


ニンニンジャー けん は…?』と、か細い声がもう一度響き、私がぬくぬくのお布団を手放す決心をしたその時。


チャン、さがしてあげる』と、チャンさんが突然すくっと立ち上がる。


見事にサッと見つけてみせると、『はい』とスーちゃんに渡し、またすぐに背を向けて寝転がる。

それを追うように、嬉しそうに剣を抱きしめながらスーちゃんも布団に戻ってくる。


すーちゃん良かったね、チャン優しいね、と私がつぶやくと…


うん。チャン、みつけてくれたの。うれしやった。


チャン、ありがと… チャン、ありがと… 


目をつむりながら何度も何度も繰り返すスーちゃん。


聞いているのかいないのか、背をむけたままのチャンさんは、その声を子守唄にする様に、そのうち すぅすぅ と優しい寝息をたてた。


この二人には確かに兄弟愛が存在してるんだなぁ、となんだか少し涙ぐんだりした。



小学生になってから、けんかばっかりの二人。この頃のふんわりとした優しさ、胸に蘇らせておくれ。


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