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熱海と熱海の美術館がなんだかよかった [日記と短歌]23,4,8
海に降る花びらの白まだ風はどこかにあって霞は掃かれ/夏野ネコ
先日、年度末のお疲れ様を自分に許すため熱海に行ってきました。テラスに露天のお風呂がついたリゾートっぽいホテルの部屋を予約してひたすらダラける計画です。無論ひたすらダラけました。湯に浸かっては飲み飲んでは湯に浸かるだけの時間はただただ尊かったです。もちろん休暇の後は山積した仕事に忙殺されるわけですが、そこはそれ。
さて熱海という街は同じ伊豆でも南にある伊東や稲取などと異なり、えらくギラついています。温泉と缶チューハイとの往復ばかりで処理能力の低下した頭には情報量が多すぎる街なので、チェックアウト後に予定のない私は街から逃れるように山の上へと向かうバスに乗り、MOA美術館というところへ行きました。
MOA美術館、
世界救世教という新宗教がつくった私設美術館らしいのですが特に宗教的というわけではなく、国宝や重文クラスを含めた主に日本美術の数々を蒐集展示している至極真っ当な美術館です。
で、この美術館の展示室にあるガラスがすごいんですよ。美術品じゃなくいきなりガラスの話かって感じですけど無反射ガラスっていうんですか?どうも特殊な素材のようで映り込みがほとんどなく、透明度もめちゃくちゃ高いので作品の前に来てもガラスの存在をちっとも感じない。なので何度かおでこをぶつけてしまいました。
特にグっときたのは12世紀の作、阿弥陀如来坐像のその距離感。無反射ガラスのおかげで歴史的美術品を舐めるように見ることができて幸せでした。え、こんなに近くていいの?というくらい近い。ほんとガラスのことばかりに感動してるようですが、もちろん美術品あってのことですから!
そうして美術館を出ると見頃の最後を迎えた桜の中、山上から海を望むロケーションに癒され、お抹茶などいただき、芝生にごろんと寝転がっては春の風をそよそよと浴びて…。
正直何をしに行ったのかわからない適当な旅でしたが、まぁ熱海ってそういうところですよね。あー良かったとにかく良かった。また行こう!