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新米課長の子鹿日誌 16 話してもらえる喜び



「以前、こういう開発の話があったんだけどね」


社内での移動中、エレベーターホールで、
うちのメンバさんに不意に話しかけられ、
その話題は始まった。

内容、タイミング、相手。

なぜ、いま、わたしに、その話題なんだろう。

なんとなく戸惑いを感じながら、
エレベーターに一緒にのって
会話をしていた。


なぜその話?

突然、
どうして「以前あった開発の話」が
今、出てくるのか、

その人が、今、その件に興味がある
理由がわかるまで
思ったより時間がかかった。

ちょっと意外だった。

私の中ではその人は
もう少し論理的にスムーズに
わかりやすい話をする人、
だったから。

でも、
それはわたしの期待しすぎで、
案外みんな、
そんなものかもしれない。
と、その時は思った。

そして、
なぜその話を、私にするんだろう。

そう言う話題を、その人が
私にすることは、正直、珍しかった。

もしかしたら
初めてじゃないだろうか。

中身として初めて聞く事情もあった。

私は、
無意識に知ったかぶりをすることがあるので
(自分の、すごく苦手な一面だ)

そうならないように
慎重に、一つ一つ話を聞いた。

でも
なぜ、その話を私にするのかは
うまく掴めなかった。

向かっていた会議室に着いて
会議が始まったことで
その話題は終わって
続きは聞かなかったのだけれど

数秒してから、

「あ。」と思った。

彼が私にこの話をしているのは、

他でもなく、

私が、彼の、上司だから。

なんじゃないか。


そういうことか

なんだか、
急に、
色々、見えた。

世間話じゃない、
移動時間を利用して、
これ、業務の相談だ。

彼が、
今まではこう言う話を
私の(私たちの)上長と、
話してきたんだろう姿を、

容易に想像できた。

1on1の、用意された場を待たずに
日常会話の延長で、仕事の話をする。
ごく自然なことだ。

でも、
私は今の今まで、
ピンときていなかった。

その人とは今までも
いろんな話をすることがあった。
仕事もそれ以外も。

でも、
彼がメインでやっていて
私が何も知らない話について
こんなふうに話しかけられたのは
完全に初めてだった。

本人は意識していないかもしれない。

嬉しい。かなり嬉しい

「そうかぁ〜……。」

私は、
「まるで上司としての自覚のない自分」
を改めて見つけて、

恥ずかしくなりつつ、

同時に、
嬉しいなぁ
ありがたいなぁ、
と思った。


そういうふうに、
話を振ってもらえる
(例えば、
 移動時間にちょうどいいや、
 ちょっと話してみようかな、と
 思ってもらえる)
ようになったってことかなぁ。

あの頭のいい人が、
珍しくわかりづらい話し方をするなぁ、
と、私が思うくらい、

頭の整理もあまりしないで
思ったことを口に出していたとしたら

それだけ、
リラックスして話してくれたんだと
受け取ってもいいのかもしれない。


もしかしたら、
私が自覚している以上に

メンバは私を「上司」だとして
扱ってくれている、
接していくれている、
馴染んでくれているのかも。

私の感覚の方が
それに追いついていないのかも。


ひとつひとつ、周りの人たちに
育ててもらっているなぁと
改めて感じる。

こうして人は育つ

「立場が人を育てる」って聞きます。

その「立場が」って、
単にポジションのことでもいいけれど
もう少し細かく
いろんな要素がある気がします。

例えば今回のように

「周りがそう扱うから」

という側面、
たしかにあるんでしょうね。

それをすごく感じた、
出来事でした。


うむ、今回は、
こんなに言葉を尽くさなくても
伝えられること
だった気がしますが、

このまとまらなさも
日々の記録・日誌ということで。



人(特に、下の職位の方)に育ててもらってる、
育ててもらったなぁ、というエピソード、
あなたにも、ありますか?

今日もお読みいただいて、ありがとうございます。

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