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出禁をくらった前代未聞の婚活体験記(前編)


数年前、幼馴染行きつけのカラオケバーで飲んでいた時。



突然ママさんに、


「女の子の参加者が足りなくて困ってて。

よかったらなっちゃん、参加してくれへん??」

とお願いされた。



それは(確か)Love Trainと名付けられた婚活イベントだった。


早朝にとある駅に集合して貸し切り車両で出かけようという、組織主催のなかなか大規模な企画だった。


終日芸人さんのMC付きで、一緒にうどんを打ったりこんぴらさんに登ったりしてから、最後に結婚式場のチャペルで告白タイム!という流れ。



当時彼氏がいた私には全く縁のない企画だった。


結婚願望も皆無の私がどうしてまた、こんな大きな婚活イベントに誘われてしまっているのか。


しかも数時間のパーティーならまだしも、早朝集合の1日拘束ときた。



しかし、企画側の関係者だったママさんが女の子が足りずに困っている。


よく飲みに行っていたし、幼馴染行きつけのお店のママさんの頼みを断るわけにもいかない(こういう時、義理人情が顔を出す私)。



というわけで、まったく乗り気ゼロの私が仁義からの人数合わせとして参加することになったのだった。




この日たまたま予定が空いていたのも何かの縁だろう。



それを当時付き合っていた彼氏に報告すると、なんとも微妙な顔をして首を縦に振ってくれた(そりゃそうだ、寧ろ心が広い)。


なんでも事後報告がスタンダードなのだ(胸を張るな)。



婚活イベントに参加している人に「彼氏います?」と聞いてくる人はまずいないだろうし、嘘をつかずに済みそうだ。




当日の朝(たしか7−8時集合)。


超絶に低血圧な上、翌日遅くまで仕事をしていた私はとにかく眠く、起きただけで褒めてほしいくらいのテンションだった。



ママさんの顔を浮かべ、


「うおぉぉぉぉぉぉーーーーーー(謎の雄叫び)」


と我が身体に喝!を入れ、選んだ服は

真っ赤なロングワンピ。



タートルネックのニット素材、深いスリット入りで身体の線がもろに出るタイトめなデザイン。



赤い服くらい着てテンション上げないと、今夜まで身体が持つ気がしなかったのだ。


極めつけにグリーン系の柄物ストールを巻いたせいで、

私は完全に歩くクリスマスツリーになった。



参加した動機があくまでママさんの頼みで人数合わせの為、「モテ服」などという視点が皆無な私。


ぜんっっぜんモテなくていい。


自分に気合いを入れるためだけに仮装大賞ばりのクリスマスツリーと化し、集合場所に向かったのだった。



着いた瞬間、「あ、これダメだわ」と悟った。


大人数の参加者の中で、赤を着ているのは見事に私だけだった。



他の参加者は男性女性含め、黒・グレー・茶色・ベージュがドレスコードなのかと思うほど地味だった。


ちょっと目立つ人で白。



その集団に混じっていく、

ド派手なクリスマスツリー。



この時点でただならぬ数の視線を浴び、どう考えてもこの中で一番目立つ奴になってしまったのだった(ちーん)。



一体私はなにをやっているんだろう!!!


こうなったらせめて、出会いを求めて参加しているココロオドル参加者さんたちを演出するクリスマスツリーになりたい。


まだ脳が起きていないまま、ツリーは頑張って立っていた。




30対30?40対40?

うろ覚えだが、確かそのくらいの人数だった。



貸し切り車両に男女が隣同士になるように座る。



目的地までの道中、事前に趣味などを書いたプロフィールのようなものを交換して2分間トークをし、順番に男性が回ってくるという自己紹介タイムから始まった。



私は、とにかく自分のことを話したくなかった。


それでとっさに思いついた案が、

「聞かれる前に聞け!!」



たった2分なので、私が会話の主導権を握ればいいだけの簡単な話。


2分なんて、風のように過ぎる。



「はじめまして」と言った後すぐに相手のプロフィールを見てパッと目についた項目について掘り下げて聞いていけばいいのだ。



私は一人目から即実行した。


趣味が釣りの人には「どこで釣るんですか?何が釣れるんですか?」


カフェ巡りが趣味の人には「一番好きなコーヒーは?お店は?どうやって見つけるの?」


年収に自信がある人には「何がきっかけでその道に?きっと相当な努力をされてきたんですね。」



全く緊張感のないクリスマスツリーは、

もはやタモリさんばりのMCと化し質問を投げ続けた。



あくまで自然に、まるでテレフォンショッキングにきたゲストのように気持ち良く答えてもらう。


すると男性たちの顔はパッと明るくなり、好きなことをたくさん語ってくれるのだ。



人数合わせといえど、早朝から参加して一日過ごすのだからなるべく楽しい時間を過ごしたい。


私はもともと人が笑う顔を見るのが好きで、私の隣で少年のような笑顔で好きなことを話している生き生きした男性たちを見て「やっぱ男性はこうでなくちゃ!」とひそかに楽しんでいたのだった。


私の話に移る前に彼らはタイムリミットがきて席を立つので、私は望み通り何も聞かれずに終わるのだ。



残念ながら、この作戦は大失敗に終わった。


(後編につづく)

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Natsumi🇬🇧
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