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いろんなわたしたちを抱きしめて生きる

近頃、様々を整理して、次にすすもうとしている。
というよりは、そうしないと一歩も前に出せないぐらいには絶望していた。

自分が命を燃やして誰かの事業を行うことに、最早興味すらなくなった。
こうして終わっていくのなら。
こうして、意思のないままにはじまり意思のないままにやめていくのなら。
意思のあるところに自分の意志を重ねて、生きているほうがよほど、金を稼ぐことよりもたいせつだからだ。

私の価値観は極端で、最終的には金銭的な対価が発生することによってその社会的価値が認められる、とは相変わらず思っている。
世は資本主義で、それが終焉を迎えようとしていることを知っていても。
わたしの価値は、金が決める。
必要なことに金を払うのは当然だから、私でなければならない事案にはお金をお支払いただけるものだと。そのように。

その枠組みから写真家という自分が、抜け出している事を知った。

作品に関してそれが、自分の価値としてのお金になる必要性が、わたしにはなかった。
とにかく、撮れればいいし、矢面にたつ被写体であるハニーちゃんたちが、望む未来を手に入れる一助に生ればそれで十分だった。彼女達が金を手に入れたいというのなら、全力で金にするけれど、彼女達も、そんなことは、おまけのようなもののように思っているように感じている。
金になるとかならないとか、そんなことは、とうの昔にどうでもよくなっていたことに、なんで今まで気付かなかったんだろう。

経済的合理性の塊だと思っていた自分の、最もたいせつな部分が、そんな生温いとも思える価値観で形成されていることに気付いて
今、わたしはようやく人間になれた気持ちなのだ。

鎧で身を固める人生には、ほとほとつかれた。
理論武装が、私のほしい未来には必要なかった。

こうして、私はいろんなわたしを抱きしめて生きる。
あなたがあなたのままで十二分に美しいように。

これでわたしも、ホンモノだ。

model : 小島 葵

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小池 菜摘
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