進化か、侵食か。<Is it evolution or erosion?>
こんなタイトルの作品を制作しました。
生活の効率化に伴い、私たちの生活は飛躍的に便利になりました。
いつでもどこでも持ち運べたり、使ったらすぐ捨てられたり、どこでも手に入るので壊れたら買いなおせば良く、忙しい私たちにとっては非常に便利です。
一方で、心の豊かさはどうでしょうか。
ある一つのものに愛着をもったり、ゆっくりとした時間を過ごしたり、ものを大切にする姿勢など、心の豊かさは侵食されていないでしょうか。
便利になるからこその豊かさもあれば、便利だからこそ失われる豊かさもあります。
この変化は果たして、進化なのか、侵食なのか。
金継ぎを用いて、伝統的な陶磁器のコップと、現代的なプラスチックコップをつなぎ合わせて作品をつくりました。
最近、こんな技術があるから、20XX年にはこんなことができるだろう、こんな未来がくるだろう、という”技術ベース”の未来像が多い気がします。
でもそれだけだと片手落ちで、本当にその結果、私たちは幸せなのかどうか、「人のこころ」を考える必要があります。
例えば、ロボットスーツができたから高齢者は全員着た方がいいとか、子供の勉強は最適なカリキュラムを提示してくれるデバイスに全部任せておけばいいとか、食事はせずに毎日最低限の栄養取れるサプリマシーンがあればいい、などなど…
いつしか機械的な未来になってしまう気がします。
自分の力で歩いたり動ける嬉しさや生きがい、友達と一緒に学ぶ楽しさ、誰かとともに食事をするコミュニケーションの時間など、盲目に全てを効率や便利の軸で考えると、大切なものまで失ってしまいます。
人間を「進化」させるものだと信じているものが、一方では人間の退化を促進させる可能性があったり、失われてしまう心の豊かさがある、ということを考える必要があるのではないでしょうか。
ものづくりは、人の生活を進化させる「役割」があると同時に、その先の未来の「責任」も同時にあると考えます。
とめどなく変化する世の中でも、楽しい、嬉しい、懐かしい、ほっこりする、感動するなどの人の心が喜ぶ瞬間が変わらない本質価値だと信じています。
これからつくるものは、人間の進化につながるものなのか、それとも侵食するものなのか、どんな未来が本当の意味で「幸せ」なのかを考え、人の生活を豊かにする役割とその責任と共に、人のこころを中心にしたものづくりをしていきたいです。
=============
関連する記事として、こちらも興味ある方はぜひお読みください↓
素敵な記事を見つけたので、こちらもシェアします↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?