北京五輪に向けて
ここ1か月、何回も文字にしようとしては辞め、またチャレンジしては辞め、を繰り返していました。
私が今抱いている感情が、言葉で表現できる範疇に全く収まっていないからです。それでも言葉にしたくなってしまうのは、後々見返したいからなのか、自分の思考を整理したいからなのか、、。
全日本選手権が終わってから、もう1か月が経ちました。鮮烈で、生涯忘れられないような四日間でした。
夢を掴む選手と、手から溢れ落ちてしまった選手。運命が別れる瞬間を目撃しすぎて完全にキャパオーバー状態でした。
私はずーっとたまアリ開催の五輪シーズン全日本というものに大きな憧れを抱いていました。
ファンになりたてのソチ五輪頃に2013全日本を沢山動画で見てたから、五輪選考といえばたまアリだった。
あのどデカいアリーナにどデカい感情が渦巻いて生き物みたいになるあの瞬間、五輪選考独特の緊張がたまアリに充満してるあの空気感をずっと体験してみたかった。
だから、8年越しの夢が叶った4日間でもありました。
そして、羽生さんの試合が見られる最後の機会かもしれない4日間。
沢山の意味で特別な、後にも先にもない色濃い全日本でした。
羽生さんはここで、北京五輪の切符を掴みました。五輪三連覇への切符です。
四年前はまさか北京に挑むと思っていなかったなあ。羽生さんも思っていなかったんじゃないかなあ。
2年間くらいかけて4Aを飛んで、2019のワールドで引退だと思っていました。
平昌で夢を叶えた後のボーナスステージにしてはあまりにも過酷な4年間でした。ご本人も辛かったと言ってたけど、本当に見てて辛そうでした。
2019全日本の後の泣き出しそうなインタだったり、野生動物みたいにがむしゃら(ヤケクソ?)に4Aを飛びまくってる姿だったり、羽生さんの生々しい感情を沢山目撃してしまったような気がします。
それらを見てて思ったのはやっぱり、羽生さんは生粋のアスリートなんだな、ということです。いや当たり前だけど。
絶対に勝ちたい、1番じゃなきゃ絶対に許せない、その気持ちがやっぱり1番大きな部分を占めてるんだろうな、と思います。妖精みたいな顔して美しく舞ってる裏で、少年ジャンプの主人公みたいな青臭い感情が全然消えないギャップが大好きです。
この4年間、北京五輪はどういうスタンスで考えていればいいのか分かりませんでした。羽生さんの五輪は完全に平昌で完結したと思っていたから。現役最後のゴールに据えた4Aは五輪じゃなくても出来るから。羽生さんも北京については明言をずっと避けてました。
その一方で五輪でもう一度見たいという気持ちもやっぱりありました。理由としては、三連覇が見たいから、と、4Aを1人でも多くの人に見てほしいから。
沼落ちしたてのソチ、ファン四年目で迎えた平昌を体験して、五輪の特別さは身にしみて感じていました。報道量も注目度も何もかもが桁違いだった。
そして、羽生結弦さんという稀代のスケーターの幕切れに相応しい場はどう考えても五輪しかないなとか思ってました。
だから羽生さんが全日本の前日インタで北京への切符を狙いに行くと言った時、正直 めちゃくちゃ嬉しかったです。またあの熱狂の中心に羽生さんが来ること、また沢山の人に演技を見てもらえること。羽生さんなら北京五輪で4Aを決めるかもしれないと思いました。
それ以上のストーリーはありません。
北京まであと一週間と少し。いよいよグランドフィナーレです。羽生さんを応援してきた8年間、羽生さんの現役生活、アスリートとしての羽生結弦がもうすぐ終わろうとしています。
本当に宝物のような8年間でした。
もう人生で二度と、言葉を交わしたこともない赤の他人の幸せをこんなにも心から願うことはないと思います。あったら嬉しいけど!
北京五輪が終わったら、きっともう真っ白なリンクに羽生さんが1人で飛び出していくことも、真夜中によくわからん外国語のライストで試合を見守ることも、海外に試合を見にいくことも、新聞の一面が羽生さんで埋まることも、私が試合前に勝手に腹を下すこともきっとありません。全部が本当に愛おしい瞬間でした。
羽生さんのファンになって、確実に世界がひらけました。全国に友達が出来たし、知らなかった場所にたくさん行ったし、こうやって長文をnoteに綴ることなんて羽生さんがいなかったら絶対にしなかったことです。
羽生さんなしの人生は想像つきません。19歳の羽生さんを見て深い沼に突き落とされた中学2年生のあの瞬間は必然だったんだと思います。
冗談抜きで、あの瞬間に人生が変わりました。めちゃくちゃ良い方に。明確に人生が変わったなって分かる瞬間ってなかなか訪れるものじゃないと思います。私の人生を2つに分けるなら絶対にあのときです。
ここまで、なんで北京で引退を前提に書いてきたかというと、北京で引退ということはきっと4A込みで集大成に相応しい演技が出来たということだと思うからです。
羽生さんは「4A降りたら引退しちゃうってファンは複雑な心境なんじゃないか…?」とか言ってたけど、もう全く複雑じゃないです。一刻も早く降りる瞬間を見たいです。
全日本までは正直ちょっと複雑だった。4Aを北京で見たかったから。時は満ちました。
今まで4年間降りられなかったのも、きっと必然です。五輪三連覇のため、北京で4Aの降りるための必然だったんだと信じてます。
2/10のフリープログラム冒頭、恐らく人生で1番緊張する瞬間を迎えます。
もう我々にできることは何にもありません。そもそも何もないけど、、。
でも羽生さんが、皆さんの気持ちを下さいと言ってくれたので全力で祈ります。
北京で最後の夢が叶いますように!