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映画メモ#2「ファーストキス」

スクリーンの前で2時間、没入した世界でわたしが感じたものは、未来を受け入れることと揺るぎない芯の強さだった。

15年後の妻と会話するカケルの様子に、違和感と不思議さを感じてしまったわたし。取り乱すわけでもなく、どうして淡々と目の前の状況を受け入れられるのか。
何枚ものチェキが物語るカンナの挑戦や、ふたりのカンナの共存という説得力をないがしろにせず、付箋に書かれた15年後の自分の未来まで受け入れる。

肝が据わっているというか、達観した様子。
15年後のカンナとお互いに何を伝え合うのか、次にどんな言葉を交わすのか、気になってしょうがなかった。

29歳、揺るぎない芯。
すでに完成された強さは、カンナと出会ったことでより一層固まったのかもしれない。

15年間の結婚生活の末路を聞いても、やり直したいと咄嗟に言えること。
「また君に会いたい」という一心。
目に見えなくても、離したくない繋がりを感じたときにすべきこと。

変えたいのは15年後ではなく15年間。
大切な人と居られる時間。
また会えるかもしれない、もう会えないかもしれない。誰も保証してくれない。
時間の積み重ねで絆は固くなり、いつしか消えてしまう可能性も隣り合わせ。

おはよう おやすみ おかえり ただいま
残してくれた手紙。大切な人からの言葉があるだけで、とても救われる。
何気ない自分の弱みを愛おしく思ってくれる人がいる幸せ。
好きな人からの嬉しい言葉は、何度だって聴きたい。

変えるべきものと変えなくていいもの。それがわかっていれば、人生の後味は全て爽やかなものになるけれど。尾を引く後味は残したくないし。
大切にしたいものを見つけたそのときに、固まった自らの哲学のようなもの。それを守り抜く決意と日々。

淋しくてたまらなくて、好きで好きでたまらない。

映画の終わりを優しく包み込むエンディング。また泣いてしまった。カケルの柔らかな笑顔が思い浮かぶ。


髪を結び直して、劇場をあとにした。
冷凍餃子を買って帰った翌日も、ふたりのかき氷デートや散らかった部屋を思い出していた。


ミルフィーユ2回書いてる

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