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映画メモ#3「ゆきてかへらぬ」
広瀬すずめがけて劇場へ映画を観に行った。観終わって改めて、今後も広瀬すずを観るために劇場へ行こうと思った。
「流浪の月」のときも思ったこと。あぁわたしとてもこの人のファンなのだと。
全く一筋縄ではいかない人生を、抱え込んで、もがいて、すがって、ぶつけあっていく。人を想う末に、こんな激情が存在するのかということを、彼女の演技と物語、取り巻く人間関係から実感する。
焦がれて行き着く先に何が待っていようとも。
想いだけではどうにもならず絶望的な状況のときも「きっと大丈夫だ」という希望を、どこかに秘めていてくれる気がして。そんなうっすらと垣間見える希望を追っていきたいんだ。見逃したくない。わたしが映画を観る理由もそれなのだろうか。
あとやはりお顔がかわいい。大正〜昭和の駆け出しの女優の役として、撮影所や私生活含めさまざまな服に身を包む姿を見ることができて、眼福である。遊園地ではしゃいでいるときの服装、好きだったな。(〇〇柄のスカーフの合わせが絶妙で、とか述べられるようにファッションの知識が欲しい)
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中也、泰子、小林。
ほぼ3人のシーンで構成されるストーリーの中に、燃え上がる感情がいくつもある。
心ここに在らずな物言いをするかと思えば、ほとばしってコントロールもできない。
わたし自身の人生がひどく穏やかであることも実感しながら、それはそれでよかったなと思えるような。
出会いにも意味があり、別れにも意味があるのだろう。
小林が、泰子にとっての中也と自身を、つっかえ棒と表現したあとに、泰子から去ることを決める。
最初は抵抗するも、その考えに説得力を感じたのか、中也の元にも戻らない泰子。
別れの意味を築き上げて、成長や自律に繋げていく様子にはっとさせられる。
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劇場の扉が開いて、光が入ってくる。その光に目が眩まないように、キタニさんの歌がある気がした。劇場の外へ見送られたわたしたちは、大阪の街に溶け込んでいく。
路上ライブの声が聞こえる。その一節に泰子の心境を思わず重ね合わせてしまった。