8年ぶりフルマラソンに挑戦|松本マラソン
8年ぶりにフルマラソンを走った。松本市内を駆け抜け、登って下る。いつの間にかお隣の塩尻市も一部走っていたらしい。
勢いでエントリーして数ヶ月、当日はすぐにやってきた。
朝、5時20分起床。
準備をして最寄駅に向かって自転車を漕ぐ。帰りは足が棒になって絶対漕げないだろうな。そう思いながら。
6時半、電車で松本駅に到着。
7時過ぎまで、松本駅からスタート会場までの無料送迎バスが出てくれていた。20分ほどバスに揺られる。松本駅前の気温表示計は0度。
7時10分、スタート会場に到着。
更衣室あたりの空いているスペースでストレッチをしたり、栄養を補給したり。
学生時代駅伝を走っていた後輩に、「直前はカステラがいい◎」と聞いたので、持ってきた。確かに意外と口の中の水分を持っていかれないし、美味しいし、ありがたい情報。「いいですか?1本買って、むぎゅっと潰して、頬張るんですよ!!」と言っていたけれど。さすがにそんなことはせず、3切れほど食べた。
7時50分、手荷物を預けてスタート地点へ。
女子より男子の方が圧倒的に多いのだなと、手荷物預り所の列を見て思う。8時15分のスタートまで外で待機。寒い。
8時15分、号砲とともにスタート。
いよいよスタート。47.195km走るんだ。フルマラソンは2回目だけれど、21歳のわたしと現在のわたしの体力が同じであるわけはない。ほぼ未知の世界。
和太鼓演奏の団体が松本にはたくさん存在するのだろうか。スタート地点や松本城付近など、各所で和太鼓の音で応援をしてくれる方々が。心臓に響いて、なんだか心強さを感じた。走るリズムも作ってくれて、とてもパワーをもらった。
〜4km〜
ここからは地点ごとに。紅葉に染まる木々に囲まれる松本城。スマートフォンで各所で写真を撮りながら走るランナーさんもいた。松本市美術館を過ぎ、あがたの森公園に向かう。素敵な建物だなぁと横目に見ながら曲がる。旧松本高等学校本館だったよう。映像の世界で見る昔ながらの学校、今度改めて見に行こう。
〜10km〜
薄川沿いを走る。川に日々パワーをもらい高揚しているわたしだが、緊張のせいかいつもより感激度が少し低いような。10kmのファンランの方たちのゴールが近づいている。いいなぁもうゴールか。すでにそんなことを思ってしまっている。あと32kmもあるけれど大丈夫なのか?
〜16km〜
初めて通るけれど、見慣れている田舎道をずずずっと進む。上り坂もある。平坦な道になると初めての給食ゾーンが待っていた。さまざまな名物をいただく。りんごや野沢菜、おやき、山賊焼きなどなど。本当は一品ずつ味わいたい。
〜18km〜
2回目の給食ゾーンだっただろうか。丸いおやきだけではなく、スティックおやきというのもあった。初めての出会いなので、一本いただこう。坂道を歩いて下りながら食べた。次の給食は何があるのだろう。ただただそれだけを考える。
〜21km〜
5年ほど前にハーフマラソンも走ったことがあるのだが、途中で歩いた記憶。今回はここまでほぼ走れている。ハーフマラソンもまた出たいかも。最初から最後まで歩かずにゴールできる達成感を味わいたい。2時間切ってみたい。そんなことをフルを走りながら思った。
〜23km〜
足が痛くなってきた。もっと手前から痛かったかも。大学時代フルマラソンに挑戦する前、経験者である同期が言っていた「フルマラソンは息は全然続くけれど、足が持たなくなってくる」という言葉を思い出す。そうだったね……それにしても痛くなり始めるの早くないか。これが年を取るってこと?圧倒的トレーニング不足もあるか……
ここらから、歩いたり走ったりを繰り返し始める。一旦歩くと、長々と歩いてしまう。再び走り出してみるけれど、痛い。足の裏、膝の裏、太もも。
「とてもいい天気です!幸せ背負って走ろう!」(というニュアンス)と応援をくれるおじさまがいた。先ほどの和太鼓もそうだったのだが、急に目頭が熱くなる瞬間がある。心を打たれるというか。かなり辛いからだろうか(走ると決めたのは他でもない自分なのだが)
〜25km〜
素敵な国際カップルが前を走っている。お二人ともTシャツを白で合わせており、背も高くすらっとしていて。仲良く走る姿はとても目の保養になった。
学生時代は、折り返し地点で同じ部活の仲間とハイタッチしたり、沿道で応援してくれる仲間に手を振ったり。それだけでとても楽しくて頑張れたなと思い出し、少し切なくなる。
〜32km〜
確実にゴール付近にいる。スカイパークの緑がすぐ近くにあるのに、大回り、遠回りをする道のり。
スタート地点から冷たい手は、ずっと温まらない。時々、握っては開いてグーパーグーパーするのだが、全然温まらなかった。末端冷え性はここでも活躍するのか。
ずっと振っている腕も痛くなってきた。あぁ腹筋も腰も痛いかも。「なぜ走るのか」と何回思うのかなぁと走る前は想像していたけれど、こんなにボロボロなのに一回も思わなかった。そんな余裕もない、とも言える。
〜36km〜
5時間30分のペースランナーさんと、そこに着いていくランナーさんたちの群れが颯爽と走っていく。ここに着いていけば5時間半か。気づけば彼女たちの最後尾にくっついて走っていた。
まだこんなに足が動くのか、と少しびっくりした。着いていかないと、もう頑張れないかも。これ以外に今頑張れる理由がない。同じことを思ったかもしれない人たちが、また一人群れに増えたり、減ったりしていった。
〜37km〜
最後まで群れに居れたらよかったのだが、なかなか簡単にはいかないのだった。最後から2番目の給水ポイントで群れから逸れることになる。
「ここで出さなくていつ出すの!!」と全力応援の声がする。おそらく高校生かな。わかる……わかってる……出し切らなきゃだよね……でも足が……
〜39km〜
「39km地点」=「あと3km」ではない。「39km地点」看板を見てしばらく走ると、「あと3km」の看板が見えてくる。42kmではなく、ちゃんと42.195kmあるのだという当たり前を実感する。
あと3km、2km……確実にゴールは近づいているのに、なんだか全然嬉しくない。ひたすらに遠い。
〜40km〜
見覚えのある方が待っていて、こちらに手を振ってくれる。会社の上司の奥さまだった。その隣にはわたしにカメラを向けている上司。躊躇いもなくピースをしてしまう。なんだか小学生の運動会の時のよう。本当に嬉しかった。あぁもう少し頑張れる。ゴールまで走り続けよう。
……と思い走るのだが、やはり長いこと走れない。足がついてこない。また歩きに戻る。
〜42.195km〜
待ち望んだゴール。先ほどの上司ご夫婦が先回りしてくれていて、「お疲れさま」と声をかけてくれた。
前々日に、何時にゴール予定?と聞かれていた。もしかしてとは思ったが、「応援に行くね!」と言わずにそっと見守ってくれたのが、プレッシャーを感じずにとてもありがたかった。ゴール地点は駐車場で激混みだったらしい。そんななか、休日にわざわざ応援に足を運んでくれるなんて。何とお礼を言ったらいいのやら。
ボランティアの学生さんにタオルをかけてもらい、さらに完走メダルも。頭を差し出してメダルをかけてもらうのは初めてだったので、少し緊張した。
というわけでかれこれ5時間32分かかったわたしのフルマラソン。とんでもないスポーツだ。こんなに全身を使って疲れ切るのか。
8年前、初めてのゴールは「フル走ったんだ……!!」と達成感を味わえたけれど、今回はその時よりも感動が薄いような気がした。前回よりも早い段階で歩き始め、その距離も多かったからだと思う。
そんな悔しさもありつつ、なんとか無事にゴールできてよかった。職場にも走ることを宣言してしまっていたので、完走報告はできる。ひとまず安心。
そういえばランニングハイが来なかったな。やはり走り切りが足りなかったのかな。よくわからないけれど、足が回復したら、また次に向けて練習しよう。
マラソンの後は温泉に浸かりたい!ということで、前日に松本駅からバスで30分ほどの温泉宿を予約した。走った後の癒し旅は、次回の記事で綴りたいと思う。温泉街散策もとても満足するものとなったので、ぜひともお楽しみに。