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マーケティングの話を聞いて、涙がでた
このまえnoteさん主催の、こちらのイベントを視聴しました。
エステーの消臭力CMをつくられている宣伝部長である鹿毛康司さんとnoteプロデューサー徳力さんの対談。
鹿毛さんが『「心」が分かるとモノが売れる』の本を出版されたので、記念イベントでした。アーカイブ動画も、こちらのリンク先から観れます。
「マーケティングのイベントだから、ちょっと観てみよう」のノリで観たのですが、途中で鹿毛さんや徳力さんが感極まっている瞬間もあり、私も同じタイミングで泣いてしまいました。
これがまさに、この本で取り上げられている「心」の部分だなと実感しました。
マーケティングの話というと、データを分析してどうだったのか、戦略は? 施策は? それに対する効果は? といった話がほとんどで、自分の心が動かされることはこれまでなかったので、初めての経験でした。
このイベントが終わってから本を読み、鹿毛さんが登壇されているイベントの動画や記事をみました。私なりの気づきをまとめてみます。
マーケティングには「心」が大切
鹿毛さんはこれまで話題となるCMをいっぱいつくられています。
エステーの消臭力のCMと言えば、このCMが頭に浮かぶ。
このCMが撮影されたのは東日本大震災の直後。ほかの企業がCMを自粛していたときに、「エステーができることは、なんだろう?」を考え抜かれた。3日間ツイッターをずっと眺めていて、「心」を見ていたそうです。
その「心」とは、「日常に戻りたい」という気持ち。
これをCMで伝えるべく、すぐに企画をまとめて、その直後に撮影場所であるポルトガルのリスボンに行かれた。CMに出演されているミゲルくんとの運命的な出会いがある。
それだけではなく、リスボンは1755年に大地震と津波に見舞われ6万人以上の方が亡くなった歴史をもつ街で、復興した家なみを背景にこのCMは撮影されています。
CMの裏側にある一連のストーリーと、「心」を見つめつづけていた鹿毛さんの思い。そして、CMを見た方々の「心」が動かされたときの感想がいっぱい。このお話をされているあとに、うっすら涙を浮かべられていました。
じゃあ、どうやって「心」が分かるの?
ちなみに、「心」とは潜在意識のこと。人の行動の95%は潜在意識からきていると言われています。
つまり、人は論理的に行動しているようで、本人も気づいていないほど「心」から行動している。
これは潜在意識なので、インタビュー調査をしても本人からは引き出せない。じゃあ、どうやって「心」を知るのか?
鹿毛さんいわく、「自分のなかの"大衆"」から知る。
インタビューであれば、お客様が発した言葉から、自分の「心」を使いながら、お客様の心の奥深くに眠る「心」のツボを見つけていく。
本には、こう書かれています。
お客様を動かす「心のツボ」を探り当てるには、自分自身の心のツボを見つけるスキルを磨くのが先決
1日 10 分間で構わないので振り返り、言語化する時間をとってみてください。1カ月もたつとスムーズに思い出せるようになります。自分でも気付いていなかった事実を見つけられるようになると、自然とお客様の言動から新たな事実を拾い上げる力が鍛えられる
なにも「マーケティングのデータ分析や体系化された知識が必要ない」と言っているわけではなく、それはあくまでも土台。この土台があったうえで、心のツボを探り当てる。
「マーケティング」の本質とはなにか
私は、企業向けのマーケティングを担当しているのですが、「マーケティングとはなにか?」を見失っていたような気がします。
マーケティングでは、「ターゲットはだれか?」といったことが語られるのですが、違和感を持っていました。
データを見ることや分析することはもちろん大事なのですが、生身の人間であることを忘れてしまう。ターゲットという言葉も、これまで語られているマーケティング用語ではありますが、「的」を表す言葉なので、そこに人間を感じにくい表現だと思っています。
鹿毛さんの本には、こう書かれています。
売り上げとは単なる数字ではありません。お客様の「ありがとう」の総量なのです
今、マーケティングに最も求められているのは、企業、ブランドとお客様との幸せな関係を作ることです。
私はマーケティングとは「お客様に向き合い、喜びを提供すること」だと考えています。
「顧客」や「ターゲティング」「セグメンテーション」「ポジショニング」という言葉も使わないそうです。
「どんな視点で切り口を見つけたら、新しいお客様がいるのかな」
「どんなお客様を喜ばせたらいいのかな」
「お客様に何を認識してもらえばいいのかな」
といった形で言い換える。
お客様の前だけじゃなくて、社内で会話するときも同じ。
「ファン」も上下関係を連想させる言葉なので使わない。「エステー特命宣伝部」をつくり「部員」として、いっしょに活動している。
「心」を知ることは簡単ではないですが、まずは自分の「心」に向き合っていきたいです。
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