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高級食材は100円以下
【No.12 高級食材は100円以下】
皆さんは世界三大高級食材(珍味)であるトリュフ、フォアグラ、キャビアを口にしたことはあるだろうか。
私は恥ずかしながら一度もない。
よってその食材はまずいといったイソップ物語の狐とブドウのような発言はしない。
※ブドウに手が届かないことを、ブドウは酸っぱくて不味いんだと届かない自分を正当化する様子。
しかし、それと似たようなことなら経験しているので伝えたい。
体感としてはイメージする高級食材よりも美味しいと思った。
それは皆さんも経験したことがあると思うが、環境要因が大きなキーとなる。
私は一人でキャンプツーリングをしたりするのだが、川のせせらぎを聞きながら木々に囲まれて食べるカレー味のカップヌードルが32年生きてきて、5本の指に入るくらい美味しいと思っている。
これはなんの強がりでもなく、実際に体験してそう思っていることだ。
他にも、コーヒーが好きなので今となっては様々な豆や抽出の仕方も覚えたが、どれだけ努力しても未だに超えられない一杯があるという話をさせて欲しい。
馬鹿な話だが、私は20代前半に職場の元同僚に勧められたセミナーでまんまと引っかかり、100万円以上の詐欺被害に遭ったことがある。
当時、社会人になって間もない私は家賃や光熱費、日々の食費などに追われてプライベートにすらお金を割けなかった状況だったので、消費者金融からお金を借りる事にした。
初めて作った青いカード。
コンビニのATMから一度に100万円がおろせない事もその時初めて知った。
同僚と連絡が取れなくなり、詐欺だと知ったのはしばらくしてからだった。
今でも連絡待ってるよ、野村くん!
その後は絶望した。
なぜなら当時の安月給で生活しながら、どう返済するのか目処が立たなかったからだ。
お金がなく、時にはキュキュットという台所用洗剤を頭にぶっかけて髪の毛を洗った日もあった。
結果的に私は転職し、3年間の期間従業員という工場の派遣に応募して昼夜問わず働く事にした。
もちろん詐欺にあったことなど親には伝えていなかった。
というより言えなかった。
寝ては起き、意味のない単調な作業の繰り返し、お金が良いだけあって作業は意外にも肉体労働であり、労働時間も長くハードだった。
いつしか親の味はすき家の玉かけ朝食になり、夜勤明けは毎朝すき家にお世話になった。
そうして時は流れ、一緒に入った仲間もほとんど辞める中、2年が経った。
期間従業員は半年おきに満了金という、ボーナスのようなまとまった金額が支払われる。
私は二年目の満了金を手にしたのを最後に、もうレイクに返済に行くことはなくなった。
あの日の夕焼け、吸っていたハイライトの煙まで、まだ鼻の奥に残っているくらい鮮明に覚えている。
全額返済をし、その後に隣のセブンイレブンで飲んだレギュラーサイズの100円コーヒーがとても美味しかった事は一生忘れないだろう。
あれからというもの、いつセブンイレブンに行っても、どんな豆や抽出方法を変えても、資格持ちのマイスターに淹れてもらっても、あの味は再現できない。
言うまでもなく、その一杯を淹れてくれたのは人ではない。
コンビニのコーヒーマシンなのだ。
皆さんも、中学のキャンプファイヤーを囲んで食べたカレーが美味しかったり、学生時代の部活終わりに先生が連れて行ってくれた安い焼肉が美味しかったりした経験はないだろうか。
そう、そこには経験という付加価値が発生しているのだ。
そういった経験は皆さんにもあるだろう。
そしてそういう時はお金では買えない価値があると思う。
少し言葉は古いかも知れないがプライスレスってやつだ。
お金に変換できない“経験”を大切にした方が高級食材や高級レストランに行くよりも価値があると思う。
特殊な例だが、ひょっとしたら私のようにたった100円でプロを超える美味しいコーヒーだって飲むことができる笑
私はまだキャンプ飯くらいしか知らないが、他にも工夫の仕方があると思う。
環境や経験という付加価値を考慮すれば、某家具店のような“お値段以上”の物だって味わえる。
風呂上がりのビールレベルで良い、是非とも工夫して値段以上の幸せを経験しよう。