コロナ感染後の自殺 特殊清掃現場から

今朝のネットニュースより

毎朝の日課となっているネットニュース記事を読んでいると　「自分のせいで周りに迷惑」
コロナ感染 自宅療養の女性が自殺
との記事が目につきました。

記事によると東京都内のマンションの部屋で30代の女性が死亡しているのが見つかり女性は、新型コロナウイルスに感染したことが分かったあと自宅で療養していたということ。
現場の状況からみずから命を絶った形跡があり残されていたメモには「自分のせいで周りに迷惑をかけてしまい申し訳ない」という内容が書かれていたということ。　　　　　　　　　　　　　
女性は症状はほとんどありませんでしたが、周囲の人が感染したことについて「自分がうつしたかもしれない」などと悩んでいたということが書かれていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012827321000.html

感染したら悪者なのか・・？

東京都内では連日1000人を超える陽性者が発表され、私の住んでいる茨城でもこの数日は80人以上の陽性者が出ています。
家庭内感染・院内感染・職場内感染・部活内感染・・・
もういつだれが感染してもおかしくないような状況です。

【 手洗い・消毒・不要不急の外出自粛】
朝から町内放送で注意喚起がアナウンスされ、スーパーや衣料品売り場、学校や駅、行政機関の出入り口には当たり前のように消毒液が並べられ行きかう人が自主的に消毒をしている姿を目にします。

新型コロナウイルスの消毒作業を行っている私が陽性者の出た職場やご自宅の消毒作業に入っても、感染対策用のステッカーや消毒用アルコールが置いてあることがほとんどです。
1時間ごとに音のなる時計を購入し換気を行い毎朝の検温を実施している企業様も増えています。
どんなに気を付けていても感染してしまうことがあるということを現場目線でお伝えしておきたいです。

感染してしまった人が悪者なのではなく、感染してしまった人を悪者のように言う人こそ悪者なのではないでしょうか？

新型コロナ感染後の自殺について

ネットニュースにあった新型コロナウイルスに感染し自死または自殺未遂のための清掃ご依頼が弊社にもあります。
今回ニュース記事になっていて多くの皆さんが知るきっかけになったとは思いますが、実際のところ今に始まったことではありません。
私たちのような“特殊清掃”は表に出る機会は多くない為、みなさんに知ってもらいたい現実をあえて今回書かせていただきます。

感染者の自殺にはSNSでの反応も多く、たくさんの声がありました。
・私も職場で1番最初の感染者にはなりたくないな
・もう少しと頑張っているけど心が病むのが分かる気がする
・こんな悲しいことがおきませんように・・
・入院出来ていたら防げたのかな

十分な感染対策をし気を付けていても感染してしまい、他の誰かに写してしまったのではないか、職場や友人に迷惑をかけてしまったという罪悪感に押しつぶされそうになってしまったのかもしれません。
心のケアの大切さや職場内での対応も大きな課題だと思います。


今回のニュースでは感染判明後療養期間中とのことでしたが
実際は、治癒後の自殺者もいるということにも目を向けてほしいです。
感染判明後に職場の仲間や上司、友人に伝え、迷惑そうにされた、責められた・・そのことがきっかけとなり療養期間があけた後も職場復帰できず、生活も困窮し自身の居場所や価値が見いだせずに自らの命を絶つという選択をしてしまう方がいるという事実。
報道されていない事実があるということも知ってください。

特殊清掃の現場

私たちはコロナ感染が事前にわかっている現場で作業をすることもあります。普段の消毒作業と同様に感染対策を徹底しながらの作業です。
生前の検査にて陽性が分かっている場合や死後解剖により陽性が伝えられる場合などがあります。

特殊清掃を行っている私が個人的に一番つらく感じてしまうのが自死つまり自殺現場の清掃作業です。

ある現場では床や壁、天井にまで飛び散った部屋全体にわたる血しぶき。
強烈な血なまぐさい臭い。
苦しさと痛さで家じゅうを歩きまわったであろう形跡。

またある現場では、自身の死後迷惑をかけないようにと床一面に養生し用意周到に最期を迎える準備をした形跡。
遠くに住む実家の家族に宛てた生きることをあきらめてごめんなさいと書かれた1枚の手紙。

ご遺族の話を聞き一緒に涙を流してしまうそんな現場ばかりなのです。
コロナがなければこんなことにはならなかった、コロナにかからなかったら・・と悔しさをにじませながら故人様のお話をされるご遺族にかける言葉がみつかりません。
私たちにできることは、故人様との思い出が自死という悲惨な現場での最後ではなく、いい思い出であるよう室内の清掃を代わりに行うことくらいなのが悔しくも感じ、いつも以上に自分の無力さを感じるからです。

最後に

新型コロナウイルスが日本で騒がれだしてから約１年。
未知のウイルスに恐怖を感じながらもう１年。
自粛、自粛で終わりの見えない毎日に誰しもが心身ともに疲弊しストレスを感じてきた１年。
「○○のせいで・・」という考え方をやめませんか。
自分のせいでも、誰のせいでも、社会のせいでも、国のせいでもなく。
考え方のベクトルを変えてみましょう。

悲しいニュースが少しでも減るようにとの思いを込めて。
https://sweepers365.com/