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Bob James Quartet with Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra

 2025ライブ初めはBob James Quartet with Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestraを、高崎芸術劇場で。

 偉大なリビング・レジェンドBobの85thアニバーサリーを飾るスペシャルコンサート。
 連休最後の日曜日だというのに予定がふたつあり、移動も体力的にも問題はなさそうだが迷っていた。後ろ髪をひかれる思いで販売サイトを見た前日深夜、劇場公式サイトにまだ1席、しかも1階やや後方のチケットがあり購入。滑り込みの大正解だった。

 第1部がBob James Quartet、第2部がBlue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra directed by  Eric Miyashiro with special guest Bob Jamesという構成。

 第1部のBob James Quartetは気鋭のミュージシャンを揃えた最新の編成。4人揃ってまるでカーテンコールのようなお辞儀から、和やかなムードで始まった。
 マイケル・パラッツオーロはカナダから、ジェームズ・アドキンスはアメリカ、そして初来日というアンドレイ・シュムットはウクライナ出身でバラエティも豊か。奏でる音に太い芯がしっかり、それでいて洒脱で華がある。流石は御大の選んだメンバーといったところ。
 近年はカバー演奏によって耳にする機会が多かった「Westchester Lady」と「Feel Like Makin' Love」が生で聴けたのは、これはもうなんとも嬉しかった。さらにBobのソロ演奏も。

 第2部BNTオールスターも毎度ながら流石日本を代表するビッグバンド、うっとりするほど素晴らしい。定番曲に加え、ウエストサイドストーリーから「Something's Coming」など。新しいリズム、異なる国の要素、そして社会環境までをも音にしていく──そうした紹介からのSnarky Puppy「Lingus」。
 シルキーなボーカルも素敵な「Colibli」では、Incognitoで来日したばかりのBlueyとのエピソードも。パーキンソン病によって、指が動かなくなってきているBluey。しかし、ステージに立ちメンバーやお客さんからパワーを貰うと動くようになると。充実したステージの裏で動かなくなっていく指と向き合っているのだと思うと胸がつまる。
 まだ行けていない場所に、伝えきれていないメッセージ。いつも愛に満ちた希望と平和への思いをやさしい言葉で伝えてくれる人だからこそ、先の公演を思い出し胸がいっぱいになってしまった。どんなに実直に音と向き合っても、求められていても、病はやってきてしまう。今公演のColibliの演奏、アレンジもプレイも素晴らしかった。気持ちに寄り添い、音に乗せて想いを伝える友がいるのは素敵なことだ。
 Bobはスペシャルゲスト枠だから少しのコラボレーションなのかと思いきや、これがなんとたっぷり共演で嬉しいかぎり。大好きな「Spain」に胸が躍り、アンコールのソロ回しが楽しい定番ナンバー「Birdland」にもBobが参加。
 年明けからこれは本当に贅沢で幸せ。bravo とcongratulationsで、会場では盛大なスタンディングオベーションが起きていた。


Bob James Quartet

ボブ・ジェームス(Pf./Key.)
マイケル・パラッツォーロ(Ba.)
ジェームズ・アドキンス(Drs.)
アンドレイ・シュムット(Sax.)

Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra

エリック・ミヤシロ(Tp./指揮)
本田雅人(Sax.)
小池修(Sax.)
鈴木圭(Sax.)
渡邉瑠菜(Sax./Vo.)
中村響(Sax.)
佐久間勲(Tp.)
山崎千裕(Tp.)
具志堅創(Tp.)
宮城力(Tp.)
村田陽一(Trb.)
中川英二郎(Trb.)
藤村尚輝 (Trb.)
小椋瑞季(Trb.)
中川就登(Pf.)
川村竜(Ba.)
坂東慧(Drs.)
🔸special guest 🔸
ボブ・ジェームス(pf.)

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なつめ
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」