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音がして、そこに
パシャ、と独特の音がして振り返ると、そこにはカメラがあった。
今でもよく覚えている。不意打ちできょとんとしているわたしに、また構えられるカメラ。
──いやいや、わたしはそういう対象じゃないから。
慌てていると、先輩が間に入ってくれた。もうかなり昔の話になる。
撮っていいかどうかを予め尋ねられていたならば、別にそこまで驚かなかったかもしれない。スタッフと呼ばれる人にすらも、カメラを向けたりサインをねだる人がいるということを、知らないわけでもない。
でも、盗撮みたいなやり方はどうかなあ。しかもよりによって、わたしかあ。
結局その人は先輩に注意されてぺこり。後に素敵な写真を撮って、プレゼントしてくださった。勿論、事前に申し出を受けて。
表舞台に立つ人も、表舞台の顔をつくって万全の態勢でカメラの前にいたりする。
だからまあ、本当に相手を大切に思っているのだとしたら、声を掛けて許可をとるそのひと手間くらい造作ないことのはず。もしも断られることが怖いのだとしても、やっぱりそこは勇気の使いどころだと思う。
行き過ぎた感情や思い入れが、とんでもない方向に走り出してしまうことはある。
そんなとき、誰かの言葉でしなやかに方向修正できたら素敵だね。どんどん素敵になればいい。影すらも追いつけないほどにね。
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