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あの頃、モダンジュズと。
村上“ポンタ”秀一さんが亡くなった、というニュースを目にしたのは、昼休みのことだ。
何を聴いても、どうしても歌詞が耳に入らなくなった時期がある。それが、多分これまでの人生で最も切羽詰まった時。進むも地獄退くも地獄。前門の虎、後門の狼。
どんな美しい言葉も、なぜだろう胸に届かない。インプットが全部上滑りしてしまうほどの有り様で、音からもかなり離れた。
そんな時に聴いていたのが、村上“ポンタ”秀一さん率いるPONTA BOXの「MODERN JUZZ」、ジャズじゃなくて、これはジュズ。
美しい音楽の中に潜む遊び心、にやりとするようなプレイ。あの頃いちばん欠けていた「余裕」みたいなものを、モダンジュズでギリギリ摂取していたのかもしれない。ヘビーローテーションで聴く車内、射し込む暮れ方の光。
ボーナストラックで、いつもちょっと笑ってしまうのだ。今日、訃報に触れてとても悲しかったのだけれど、やっぱり同じところで笑ってしまった。ああ、最高だなあ。
多分、これからまだキツいことだって色々あるだろう。でも、最高の音楽が手元にある。そしてボーナストラックの同じところで、わたしはきっと笑ってしまうのだろう。あの頃と同じように。
めちゃめちゃ連れまわしていたから、光にかざすとうっすら擦れているのがわかるデジパック。
あの頃もいまも、ずっと好きです。ありがとうございました。安らかに。
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