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つかみどりのようなものです
ついつい欲張ってしまう局面は誰にもきっとあって、欲の薄いわたしでもそのつかみ取りイベントはちょっとテンションが上がった。
お子様限定お菓子つかみ取り放題!
まあ余り品は良くないのだけれど、だからこそ非日常感がワクワクするお祭りのワンコーナーで、幼いわたしは柄にもなく本気で欲張っていた。
友人たちにくらべてわたしは手が小さいから、結局たいして取れはしないのだ。でも、数々の小さなお菓子を手に、何となく戦果を得たような気持ちはしていた。
いつもなら選ばないだろう、強い色あいがくらくらするような、華やかなお菓子たち。ああ身体に良くないのかも!・・・・・・と思いつつ、やはりちょっとワクワクしていた。
欲張る気持ちが、時としてわたしの邪魔をすることもある。
まだできる、もっと出来るはずだ。
それは前向きな気持ちから生ずる思考だけれど、過ぎたるは何とやら、過度のプレッシャーや呪縛にもなることがあるのだ。
ちょっと落ち着いた方が、クオリティが上がる。
ちょっと離れて見た方が、全体を見渡せる。
ちょっと休んだ方がいい。
そんな状況であっても、前のめりになり過ぎると周りは見えなくなるのだから始末が悪い。
かなり引いて物事を見る癖のあるわたしでも、常に余裕があるとは限らない。
だから時々こう思う。
それは、きっとつかみ取りのようなもの。
沢山取ろうとすれば指の隙間や脇から零れ落ちてしまうように、物事には守るべき程度がある。
ちょうどよいが、いちばんよい。
気負い過ぎず、てらい過ぎず。のんびりゆっくり少しずつ、それもまた道の楽しみ方なのだから。
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