ひとり
どんなにかなしいニュースが流れても、それはそれ、あなたはあなた、わたしはわたし。
あなたにはあなたの素晴らしいところがあって、どんな感傷だって非難だってそこは侵せない。
だから、あなたはあなたを認めてあげて。
それが難しいのならば、話をしよう。
とりとめのない話でいい、夜通しは流石にどうかなとも思うけれど、くだらない話をどこまでもしよう。その時間をください。
わたしはあなたの話を聞こう。お茶でも飲みながら、向かいに座って。
やがて空が白むならば、また一日がはじまる。
どんなに待ちたくない夜明けだって、その先に何が待っているかはわからない。誰にも。
血反吐にまみれたような夜を過ごして、全てを上手くやり過ごせなくなったとしても、どす黒い闇の中でわたしはあなたの話を聞く。
現実なんて残酷、そうだよ知ってる。
でも残酷さばかりではないのを、いつか思い出せるといい。
話したくないなら、傍らで時が満ちるのを待つよ。
月並みかも知れないけれど、あなたはひとりしかいないから、何度だって手を伸ばす。
たとえそれがただのエゴでも、手を伸ばすよ。
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なつめ
がんサバイバー。2018年に手術。
複数の病を持つ患者の家族でもあり
いわば「兼業患者」