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おかえりなさい
天才とうたわれ一時代を築いた音楽家が「次世代の天才」登場に愕然とし、失意を拭い去れないままトラブルを抱え、やがてその世界を去る。しかし「次世代の天才」曰く、邦楽で一番好きな曲は去った彼の代表作だと。
「次世代の天才」が手掛けたアーティストは、ある創作集団の設立者だった。その創作集団のメンバーが手掛けたのは、音符に愛された新たな天才。豊かな経験に裏打ちされた圧倒的なクオリティの高さに衝撃がはしる中、かつて一時代を築いた音楽家がカムバックを果たす。
こう書くとドラマみたいな展開だな、と思った。
違うな、現実はいつだって静かな、そして鮮やかなドラマに満ちている。そして目に見えない部分は計り知れない。
おかえりなさい。
器用なのに不器用で、音を通して自らの価値を確認しているかのようなひりひりとした印象を湛えた人。
確固たる自信がありそうに見えて、それなのにいつだって語る内容には成功の裏側にある焦燥感が潜んでいて。
おかえりなさい。
プライベートがどうであろうと、あなたはきっと音の世界に生きる人。
たくさんの人が、あなたを待っていました。
わたしもまた、そのひとりです。
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